#30 きっと忘れない 





 翌朝、俺が一番に目が覚めたので、優木会長とアフロの二人を起こすと優木会長は朝は強い様で、バサッっと起きるとすぐさまトイレに駆け込み、10分もすると顔も洗ってシャキっとした表情で部屋に戻って来た。 逆にアフロの方は寝起きが悪く、くるまっていたタオルケットを強引に引き剝がすとようやく起きて、寝ぐせで普段よりも更に3割増しに爆発した天然アフロヘアのまま優木会長と入れ替わるようにトイレに閉じこもった。


 5分ほどで未だ寝ぼけ気味のアフロがトイレから出て来たので俺もトイレに行こうかと思ったが、流石に女性が使用した後すぐに入るのはマナー違反かと思い10分ほどわざと時間を空けてから俺も用を足しにトイレに行ったのだが、普段匂いが全然気にならない程クリーンな西尾家のトイレが激しいウンコ臭でナチスの毒ガス部屋と化していた。

 どうやら換気扇による10分程の換気や芳香剤の消臭パワーを凌駕りょうがする程のくさいウンコがココで産み落とされたことが容易に想像できた。


 部屋に戻り二人にそのことを告げると、アフロが「ウチが入った時には既にくさかったし!」と主張し、それに対して優木会長が「それじゃあまるで私が犯人みたいじゃない!この私のウンチがくさいハズないでしょ!適当なこと言ってると殺すぞ!」と過去見たこと無いほどの荒い口調と殺気をアフロに向けて反論した。


 二人がどちらのウンコがくさいかを取っ組み合って醜い言い争いを始めたので、俺は一人で部屋を離れて台所へ避難した。




 この日は土曜日でかーちゃんもとーちゃんも仕事休みで遅くまで寝ているので、自分で朝食を作ろうと考え、お米を3合洗米して炊飯ジャーにセットして、昨日の焼肉の残った食材を適当にカットしてブチ込んだ味噌汁を作った。


 ご飯が炊けるまで一人で食卓に座りスマホいじって時間を潰していると、炊飯ジャーの炊きあがりを知らせるメロディーが流れたので、3人で朝飯を食べようと思い、部屋に居る二人に声を掛けることにした。



 俺の部屋では相変わらず喧嘩が続いていて、優木会長は仰向けになって両足でアフロの首と左肩を挟みこんでトライアングルチョークという絞め技を完璧に決めていた。

 アフロが必死にタップしているが優木会長はアフロを本気で落とす(失神させる)気なのか、アフロのタップを無視している。


 慌てて止めに入り二人を引き離すと、アフロは失神しなかったが余程苦しかったのか四つん這いになってゼェハァゼェハァと声が出せない様子だ。



「会長、いくらなんでもやり過ぎですよ」


「だって!『アリサのウンチが臭過ぎて目に染みる』とか言い出すアフロが悪いんだし!」


「ウンコネタでケンカとか、アンタら小学生かよ」



「小学生かよ」と言って今更思い出したが、この二人、俺よりも年上で今年18で今度成人式なんだよな。 朝っぱらから他人の家でウンコが原因で大喧嘩するとか、ロクでもない成人だな。



 とりあえず二人をなだめて落ち着かせて、「朝飯作ったから食べようぜ」と言って立ち上がると、優木会長が俺に続いて立ち上がった。

 しかしアフロがその瞬間を狙いすましたかの様に優木会長の背後から「隙あり!」と叫びながら優木会長のボクサーパンツと下着を一緒に一気に足首までズリ下した。


 アフロの声にビックリして振り返ると、下半身丸出しのままの優木会長が何が起きたか理解出来ていない様子で立ちすくんでいた。


 優木会長の股間は、申し訳ない程度の薄い陰毛で隠れていて、西高イチの美貌であるその顔と同様にとても女性的で美しい股間は滅茶苦茶エロくて、俺は優木会長の美しい股間を凝視したまま硬直した。



 5秒ほどして遅れるように「いやぁぁぁぁ!」と悲鳴を上げ、パンツを引上げながらしゃがみ込む優木会長。


「・・・・」と無言になってしまう俺。


「あ、マゴイチンコ、フル勃起してる」と何故か冷静なアフロ。



 次の瞬間、怒りMAXとなった優木会長が目にも止まらぬ素早い動きでアフロの背後に回ると、体操服のえりを両手で交差するように絞り込み、数十秒程でアフロの意識を刈り取った。


 アフロが気を失ったのを確認すると、脱力しているアフロの体を仰向けで寝かせて楽な姿勢に向きを直して、下に履いているジャージと俺が貸した赤いパンツを一緒にズリ下げて脚から抜き取り、アフロの下半身を完全なスッポンポンの状態にした。


 アフロの陰毛は天然チリジリパーマでは無く、一般的なウェーブの掛かったクセ毛だったが毛の量が多めで黒々としており、それはそれでとてもエロかった。



 その後、優木会長は再びアフロが意識が無いのを確認すると、寝ているアフロの両方の足首を真っ直ぐ上に持ち上げた。


 スッポンポンなのに直に電気アンマでもするのか!?と容赦ない優木会長に一瞬おののくが、「こうやって足持ち上げておくと失神から目を覚ますのよ。無理矢理起こすのは危険だからね」と冷静な口調で教えてくれた。

 普通、目の前で人が失神したりすると動揺したり焦ると思うが、この優木会長の落ち着いてて手際の良い様子から、これまでも何度も相手を失神させたことがあると見た。 犠牲者は弟のタカシくん辺りか?


 余談だが、この時アフロの大事な所が見えそうだったが、陰毛が濃いせいで良く見えなかった。


 しばらくすると優木会長が言う通り、アフロは目を覚ました。

 目を覚ましたアフロは何が起きたのか分からない様子でキョトンとしていたが、自分が下半身丸出しなのに気が付くと、色々と思い出した様子で、もぞもぞと俺が貸していた中学ジャージを履いた。 因みにパンツを履かずにノーパンのままジャージを履いたのを俺は見逃さなかった。


 お互い無言でそっぽを向いている優木会長とアフロ。

 俺は優木会長の恐ろしさよりも、生で見てしまった二人の股間の衝撃に未だドキドキが止まらなかったが、このままだと二人の喧嘩がエンドレスに続くので、仲裁に入ることにした。



「二人とも、そろそろ喧嘩するの止めてくれ。 折角の楽しいお泊り会が台無しになるじゃないか。 会長もアフロもお互い争っちゃいけないって初対面で感じあったんでしょ?これ以上続けても不毛なだけだ。仲直りしてくれよ」


「そうね・・・悪かったわ、アフロ。私もやりすぎた。ごめん」


「ウチもごめん。調子にのって揶揄いすぎた」


 そう言って二人は萬福軒での初対面の時の様に、抱き合って仲直りをした。


 しかし俺は俺で、二人の股間をナマでバッチリ目撃したことをもし指摘された際に他意が無かった意思表示をする為と、二人を仲直りさせるのに第三者として冷静な態度を装っていたが、実際には二人の生々しい股間のビジュアルが頭の中に焼付いて離れず、俺の股間は既に冷静さを失っていた。




 その後は台所の食卓で俺が作った朝飯を3人で仲良く食べた。

 股間丸出しの件に関しては誰も触れることはしなかった。

 食事中は二人とも口を揃えて俺が作った味噌汁を「美味しい!」と言って食べてくれた。

 美味い物を食べると心を豊かにしてくれて気持ちに余裕が生まれるのだろう。もうすっかり二人は仲直り出来た様子でお喋りしている。


 だが俺の脳内と股間だけはメシを食べても相変わらずだったので、いち早く食事を終えると片付けを二人に任せて俺は一人トイレに駆け込み、ずっと我慢していた股間のリビドーを解き放った。





 俺はきっとこの日のことを忘れない。


 俺はこの日、かーちゃん以外の女性の股間と陰毛を初めてこの目にしたのだ。しかも超美人と超セクシーブスの二人の現役JKの陰毛をナマで、だ。

 俺はこの日を『陰毛記念日』と名付けて、この目に焼き付けた二人の股間に生えた陰毛を、大人になってもきっと忘れないだろう。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る