仲間たちと②
更にウル達は奥へ進んだ。
本当にこの世界樹に出来た洞穴は大きく、広かった。元々は方舟の中央に存在した【真なるバベル】を素材としたのだから、大きいのは当然と言えば当然であるが、それにしたって広い。
あるいはこの場所自体が、迷宮の様に空間が歪んでいるのかも知れないなと思いながらえっちらおっちらと登っていくと、木の幹が解けた所から僅かに外の景観が見え始めた。
「高い……」
《おちたらしぬで?》
どうやら随分と高い位置にウル達はいたらしい。隙間から見える景色は随分と高所だ。真人達が探索の為に補強をかけた道順を慎重に進みながら、一つ一つ段差を乗り越えていく。そして、
「――そう、そっちも大丈夫そうなのね、シンタニ」
《ああ、なんとかね……》
「少しは気が晴れた?」
《流石に、そこまで単純にはいかない……だけど、ありがとう》
《データは残してあります故、戻り次第確認を、師よ》
恐らくはウーガとの連絡をとっているリーネの姿が見えた。彼女もこちらの姿に気がついたらしい。通信を切って、こちらを振り返り微笑んだ。
「あら、ウル。死んでないようでなにより」
「そっちこそ無事そうだ――――」
「ウルゥゥウウウウウ!!!!」
「おごほああ」
そんな挨拶を割り込んで、全力タックルがウルの横っ腹に直撃した。
誰が突っ込んできたか、なんて考えるまでもない。エシェルが泣きっ面でウルの腹に飛び込んでいた。最早慣れた手つきでウルはエシェルの頭をぶっ倒れたまま撫でた。
「良いタックル……元気そうでなにより」
《タックルでけんこうしらべとる?》
「毎度喰らうから分かってきた……」
回避するのも危ないので受け続けている内に恒例になりつつあった。頭を上げてエシェルの顔を見ると、やはり泣きっ面だが、それ以上に安堵した表情でウルに抱きついていた。
「よがっだ……無事で」
「ほんっとーに、俺もそう思う。奇跡だよ」
無論、死にに行くつもりなんてなかったが、さりとて何もかも無事に済むと確信できるような戦いでも無かった。覚悟も必要だったし、実際、欠いてしまった仲間もいる。失われたものも多い。そういう戦いだった。
だけどそれでも、こうして互いに無事を確かめることが出来たのは、幸運で、奇跡で、努力の賜だ。本当に互いよくやったと讃え合ってもバチは当たるまい。と、エシェルの頭を撫でるとエシェルは嬉しそうに頭を腹にくっつけて甘えた。
「お熱いこと、まあいつも通りで安心するけど」
そして、リーネもまた、姿を現した。すっかりダメになったエシェルに呆れた視線を向けながらも、ウルの身体をじっくりと確認している。
「おかしな呪いとかは残ってなさそうね」
「まあ、なんとかな。そっちも大丈夫か?」
「魔力枯渇でさっきまで身動き取れなかったけどね。流石に無茶したわ……貴方程じゃないけど」
エシェルを抱えたまま、ウルは身体を起こすと、リーネは手を差し出した。
握手を返す。打算もなにもない、まっすぐな親愛が向けられた。
「お疲れ様、ウル。私が、レイラインが、白の末裔がここまでたどり着けたのは貴方のお陰よ」
「お前がいなきゃ、俺なんてラストで死んでたからなあ……礼を言うならこっちだよ」
改まったリーネの礼に、ウルは頬を掻いた。
特にこの決戦は、一番重要な部分をリーネ達に頼りっぱなしだった。彼女たちがいなければ、そもそもどうすれば二人の勇者を救い出すことが出来るのか、とっかかりすらも掴むことはできなかっただろう。
本当に礼を言うべきは此方である。つくづく一人では何も出来ないと思い知る戦いだった。
「それを言い出すと、私たちも無茶を実行する現場がいないと、なにもままならなかったけどね」
「んじゃ、まあ互いに頑張ったことにしておくか」
「そうね。でも本当に、今回は良い機会だったわ」
そう言いながら、彼女は掌をかざした。グレーレが操っていた自立術式が掌で構築される。幾度となく彼女の術式を見てきたウルは、それが白王陣によって再現しようと試みていると理解出来た。
「本当に学びは多かった。本来秘匿とされた技術を包み隠さず知れたのは冥利に尽きるわね?」
「そりゃよかった――――」
「まだ満足はしてないけど」
ウルが何かを言う前に、リーネが即座に言葉を切った。彼女の瞳は戦いが終わったにもかかわらず爛々とした炎が点っていた。
「凄まじかったわね創造主の術式構築技術。アレ、一千年前の人類よ?一千年前!!だというのに私たちがそれを超えられないのは怠慢ねッ!!ああ、全く、早くウーガに戻って記録を確認しなきゃだわ……!!」
「怖い」
《やばいな?》
「怖いなあ」
エシェルとアカネはウルの背後に隠れた。
「世界は拓けた、苦難も幸いも全てが存在する新たなる大地!!調べることが一杯で最高ね!!」
そう言いながら、彼女は隙間から外を見つめる。今なお成長と、幾つもの自然が喰らい合い、急速に形を変え続けている。きっとこの変化が落ち着くことはしばらくは無いだろう。黎明の激動期に自分たちはいるのだ。その事にリーネは目を輝かせていた。
「グレーレの奴は、もうそれも始めちまったらしいがな」
「すぐに追い抜かすわよ。一千年前の老人に負けてられないわ」
「こえー女」
呆れて感想を告げると、リーネは振り返り、眉をつり上げた。
「あら、灰王様、私は貴方の魔術師よ?」
「訂正、頼もしいことこの上ないよ」
ウルは肩を竦めてそう言うと、リーネは心底愉快そうにニヤリと笑った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「エシェルもありがとうな。本当に助かったよ」
「分かってるけど本当に、ほんっとうにひやひやしたからな!!」
そのまま、背中に隠れたエシェルへと視線を向けると、彼女は顔を真っ赤っかにしてウルへと再び飛びついた。好奇心が爆発していたリーネとは別に、色々と我慢していたらしい。
「全然事前に話してた状況と違うし!!シズクとディズ以外にも眷属増えたし!もう、もう!!」
「ごめんて」
本当に、当初の目的では眷属化は二人の勇者から神を追い出すための手段であったはずなのだが、単純計算で二倍に数が増えてしまった。無論、止むなしであるということは彼女も理解している筈だが、それでも感情はそう簡単に収まらないらしい。そういう思いを包み隠さずに全部言ってしまうのは彼女の美徳でもあった。
「リーネ!私もウルの眷属になれない!?」
「なってどうするのよ。貴方の場合、むしろ眷属を増やす側よ。女王様」
「う゛-!!」
リーネに一蹴され、エシェルは泣いた。抗議するようにぐいぐいとウルを抱きしめるので、ウルはされるままに彼女の頭を何度も撫でていると、不意にピタリとその動きが止まる。
「どした?」
顔を上げて見てみると、彼女はどこか気が抜けたような表情になっていた。色々と衝動的に、言いたいことを全部言って、憤怒を一度吐き出した後、どこか怖がるような、安堵するような表情でウルを見つめていた。
「ウル」
そう言って、ウルを呼ぶ彼女の声は震えて、泣きそうだったので、そっと彼女の頬を撫でる。エシェルはウルの恐ろしい竜の掌を愛おしそうに触れながら、ぽろぽろと泣いた。
「シズクもディズも、取り戻せて、良かった……!」
「ああ」
「皆の家を守れて、良かった……!!」
「ああ、お前は凄いよ。エシェル」
ウルが最前線に飛び出す間、ウーガを守り切れるかどうかは、特にエシェルとリーネの二人にかかる責務は重大だった。ウルが相手する連中が誰も彼も、竜をも超える災害達であり、滅亡待ったなしの状況だった以上、振り返って助けに向かうことだけはできなかった。
それでも、ウルが躊躇わずに前へと進めたのは、ウーガの皆なら、エシェルならば大丈夫だと信じられたからだ。
「俺が帰る場所、守ってくれてありがとう」
「うん……!」
エシェルは何度も頷いて、そして涙が零れ続ける潤んだ瞳で、ウルを見つめた。
「あの時、私のことを、助けてくれてありがとう」
何時のことか、それは言わずとも分かった。
抱き寄せて頭を撫でると頬に熱を帯びた雫がこぼれ落ちた。そうしていると彼女は暖かくて心地よかったが、いつまでもそうしているわけには行かない。ウルは身体を起こそうと――――
「さて、それじゃああいつらの顔も見てくる――――エシェル?」
――――したのだが、エシェルは顔をひっつけたまま、上目遣いで此方を見つめてきた。目つきが獲物を狙うかの如く強い眼光にかわっている。
「ウル」
「どした」
「「後で」って言った」
「言ったなあそういや……」
どうやら激闘の最中、咄嗟に口にした言葉を全く聞き逃していなかったらしい。そして彼女にとってそれはとてつもなく重大であるらしい。微塵もぶれる様子がなくて逆に安心してきた。
目線で「はやく」と訴えてるエシェルに呆れ、そのままウルは両腕を広げ迎えた。
「……ほれ」
そのまま飛びつかれて好き放題された内容については割愛する。
「今更どうこう言う気は無いけど、貴方、その調子だと刺されるわよ」
「既にユーリに死ぬほど刺されたなあ……ディズにもシズクにも」
《むかしからだから、だいぶけいこくおそいわよ?》
「じゃあ手遅れね。ご愁傷様」
「死んでる」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
散々エシェルに構った後、一旦二人と別れて、再びアカネと更に先へと進む。
とはいえ、そろそろこの洞窟も出口が近いらしい。隙間から零れるものとはちがう、明らかな外からの空気の流れを感じた。真人達の道しるべに従って、小高い壁をひょいと乗り越えると、開けた空間が出てきた。
世界樹、その頂上付近、頑強で力強く伸びた木枝で出来た広い広間が姿を現した。
なんとなく、バベルの空中庭園を思い出すような空間だとウルは思い出しながら、周囲を見渡すと、広間の端に、金色と白銀、二つの影が並んでいた。二人も此方に気づいたらしく、手を振ってきた。
「ウル様、アカネ様」
「やあ。起きたね」
「よう」
紆余曲折あったが、今回の戦いにおける最大の目的であった二人が仲良く並んで座っていることに、感慨深さを覚えない事はなかった。二人は自然とウルの為に場所を空けて、そこにアカネと一緒にウルは腰掛ける。
「で、何見てたんだ?」
「世界」
そう言って、ディズが指さすのは、広間の端から見渡せる外の世界だ。
見わたせる光景は、壮絶の一言に尽きる。
先の激闘の末に、廃墟となった方舟の中心都市国プラウディア。その崩壊した街並みに、何処から出現したのか植物達が芽吹いていた。色とりどりの花々や、建物を飲み込むほどの大樹まで存在した。青々と茂るそれらは人類の営みを容赦なく飲み込んでいた。それだけでなく、世界樹の木の根とおぼしきものが何処までも伸びて、痛ましい戦いの後を飲み込んでいた。
その現象は何処までも続く。都市の外、そして方舟の外へと更に続いていた。
魔界、と呼称されていた場所の景観も一変していた。
不気味な真っ黒な泥で満たされていた魔界の海も、今は力強く、蒼く輝いて見える。流石にここからでは海の中がどうなっているかはわからないが、黒い涙の中で封じられていた様々な生物が、再び溢れていることだろう。
大地も同じだ。草花の一つすらも拒絶するようなあの荒廃は最早何処にも見られない。草木が生い茂り、地形が隆起してて、何もかもが大自然へと還っていた。森林のあちこちで、既に様々な動物の気配を感じる。
「世界滅ぼしたなあ……」
「はい」
「だね」
ウルの言葉に、二人は静かに頷く。
紛れもなく、世界を滅ぼした。
今目の前に広がる大自然は、決して人類に対して優しくはないだろう。彼等からの恵みを掠めようとするだけでもきっと一苦労だ。うっかりすれば情け容赦なく、逆に滅ぼされてしまうような凶悪極まる世界。
これを救いと言うには、いささか険しすぎる。
ウルは暫くそれを見つめ続ける。するとアカネはウルを気遣うようその頭に乗って、尋ねた。
《こうかいしとる?》
「まさか」
アカネに問われ、ウルは笑った。
「覚悟はしてたさ…………まあただ、振り返ると――――」
冒険者を志して、活動を開始してから何をしてきたかは大体覚えているし、別にその過程で理解できなかったことはなかった。全部自分が選んだことで、決めたことだ。それは分かっているのだが――――その上で、こんな所までたどり着いてしまった事実にやや戦慄していた。
「ちょっと…………駆け足過ぎたな」
《ちょっと?》
銅貨の枚数数えて四苦八苦していた頃に懐かしさを全く覚えない。つい最近の話なのだから。
「まあ生き急いだねえ……」
「そうだな原因その1」
「私はその2ですか?」
「アカネがその3だな」
《コッチのセリフやで?》
「じゃあ俺がその4で」
全員生き急ぎ野郎だった。反省点は多い。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
それから暫く四人で、沈んでいく太陽を眺めた。
イスラリアの方舟から見える
ただ美しいのだけは確かだった。
「さて、これから何かやりたいことあるか?」
その景観を眺めながら、ウルは尋ねる。
暢気な事を言うようだが重要なことではある。
神を超え、世界は滅ぼした。ディズとシズクを助け出し、目的は全て果たした。勿論、世界をこの形へと定めた事に対する義務は残っている。やるべき事をやらねばユーリにぶち殺されるので、それを忘れるつもりは無い。
が、そういった義務とは別に、自分の中の“やりたいこと”をウルは尋ねた。
「はいはーい。私、色んなヒトを助けたーい」
すると、ディズが真っ先に手を上げた。
「おねだりボイスから繰り出される聖女みたいな願望」
「私の趣味だし」
「眷属堕ちした所為か知らんが滅茶苦茶割り切るようになったな……」
思わず呆れたが、ディズは冗談を言うような様子は無かった。彼女はまるで焼き付けるように目の前の黄昏の美しさを見つめた。
「自分を曲げて、片方の世界を棄てようとしてしまったけど、今度こそ沢山の人たちの幸せを、手助けしたいんだ」
「俺達は万能じゃない。やっぱり全員を助け出すことは難しいかもだぞ」
「それでもだね。私は多分、きっとそれで傷つくし、悲しむと思うけど――――」
そのままディズはウルを見て、少しだけ躊躇うようにしながらも、言った。
「――――そうなったら、慰めてくれる?」
「いいよ」
ウルは即答すると、ディズは表情を綻ばせて、ウルの腕に飛びついた。
「あ、後、ウルとデートしたい!」
「今度はすっごい乙女」
《でもディズ、デートのしかたとかわかるん?》
「わかんない!」
《わかんないかあ……》
幼い頃から勇者として活動していた彼女に子供らしい遊びなど分かろう筈も無かった。そういえばラストで酷く遊び方がヘタクソであったことをウルは思い出した。
「どうしたら良いんだろう?魔物退治とか一緒に行けばいいの?」
「バイオレンスぅ。もう少し平和的に行けよ」
「じゃあ、魂の接触?」
「じゃあ、で出す提案か?」
《0か100かしかないん???》
ディズに関してはもう少し、常識的な年頃の少女の塩梅を学んだ方が良いのかも知れない。知れないが、考えてみるとウルの周りもウル自身もかなり非常識である事を考えると、それも難しいかも知れない。
まあ少しずつ慣れるほかないかとウルが悩んでいると、今度はアカネがウルを見つめた。
《にーたんは?》
「ひとまずウーガに戻ったら休みたい、心底……」
《よくぼうがわかりやすいわね?》
「いや、流石にマジで疲れたわ。三日くらい部屋から出る気しねえよ……」
本当に、心の底から疲れ果てたし、普通にプレッシャーも凄まじかった。
勿論、今も世界の形を変えてしまったことに対する重さがのしかかっている気がするし、それはきっと忘れてはいけないことなのだろうが、忘れはしないから少しは休ませて欲しい。
「じゃあ、引き籠もってアレする?女の子侍らせてシュチニクリン?」
「中の
問われると、アカネはむにむにと自分の身体を引っ張り、動かした。今の妖精の姿の自分の形を変えるように動かしながら、頷いた。
《そろそろちょっとセイチョウしたいかなー。おっきくなるのすこしのあいだしかできん》
「できるのかね?」
《せかいほろぼすよかかんたんやろ?》
「それはそうだな。本当にそうだな」
世界を滅ぼすくらいのことをしたんだったらなんだって出来るだろう。アカネの場合何をもって成長と表現すべきかは不明であるが、一先ずは実行すべき目標の一つとしてウルは頭に入れた。
「というか、ヒトに戻りたい。とかじゃないんだ?」
《べんりだし》
「強いなあ……」
《まわりヒトやめてるやつばっかやし》
「それはそう」
精霊憑きは本来なら特異体質で孤独な存在である筈なのだが、最早精霊憑き程度であれば何一つとして特殊でなくなってしまっている。少なくともウーガの住民に彼女の体質を気にするような輩は一人も居ないだろう。懸念するだけ無駄だ。
ならばと最後に、一人じっと、景色を眺め続けるシズクへと視線を移した。
「シズクは?」
「……私?」
ウルに問われて、シズクはゆっくりと首を傾げた。
「私、難しくて」
《にーたんといっしょにいたい?》
「でも、それはもう叶って……」
来てから、シズクはずっとウルの手を握りしめていた。もうそれだけで十分だというように、その手を見つめながら、悩ましそうに声をだした。
「今でも十分幸福で、次が思いつかないんです」
そう言われて、ウルとアカネは視線を交わして、シズクに笑いかけた。
《いそがなくたっていいのよ?》
「なくちゃいけない訳じゃないしな」
願いは権利であって、義務ではない。
思いつかないなら、それでも十分だというのなら、それを無理に変えなければならないわけではない。健全な心身を取り戻せば、自然欲求とは生まれるものなのだから、無理に強いるものではない。
《ゆっくりさがしたらいいのよ?》
「……でも、私」
するとシズクは、暫く自分の内側を探るように黙った。沈黙は長かったが、彼女はちゃんと考えていると分かっていたので、ウルもディズもアカネもひたすらにその続きを待った。
そして、彼女はゆっくりと顔を上げて、言った。
「ウル様と、皆様と、また一緒に冒険がしたいです」
「――――――……んんんん……!」
ウルは悩んだ。
《にーたん、ふつうそこでなやむ?》
アカネは呆れた。
「わかってる、わかってるが……出来れば安全な冒険って辺りでなんとかならないか?」
「安全な冒険って何?」
《あきらめろにーたん》
「掛け金全部BETした焦げ付くレベルの大冒険はもういやだ……!!」
「まあ」
ウルは地面に寝転がり嘆いて、ディズはそんなウルの頬を突いて、アカネはウルの腹に乗って踏みつけた。シズクはそんな3人を見て、小さく、声をあげて笑った事に気づかなかった。
かくして、世界は滅び、救われた。
それを成し遂げた灰の王と堕ちた勇者達、その一行が、後に世界を壊した破壊者として、あるいは世界を救った救世主として、多くから祈り、呪われ、様々なトラブルに巻き込まれていくのだが――――それはまた、別の話である。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【達成不可能任務 灰王勅命 惑星破壊】
【及び】
【達成不可能任務 灰王勅命 惑星新生――――――達成】
【世界樹萌芽】
宣告
世界保護管理システム ノアより宣告
人類の未来は拓かれた
惑星は新生を果たした / ありがとう ございました
人々よ / みんな
拓かれた無限の荒野を進め / ころばないように きをつけて
道を創り、手を取り合い / ないてもいいから ときどきわらって
前進せよ、邁進せよ / どうか さきへとすすんでください
人類に栄光と、幸運あれ / どうか しあわせを みつけてください
その旅路に、祝福あれ / どうか よいたびを
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