第12話 最悪

僕は何度も何度も技を出し続けた。光と闇は体力を多く使われる。なら、複数の技をかけ合わせれば・・・。そう考えての行動だったがなかなか上手く行かない。


(水と雷はうまくいく。ただ、これは大して強力ではない。おそらく3つ以上をかけ合わせるか、火と水といった相反する属性を組み合わせれば・・・。)


そう思いながら技をかけ合わせていくが、いつも直前で失敗する。水を出した状態で火を出そうとすると水が熱湯になるだけで、火を出した状態で水を出すと火が消える。僕が考えているのは、水の刀身に火がまとわりつき、敵に当てたときに爆発を起こすというものだ。どうすればいいのか。そう考えていたとき、”ド〜ン”と爆発音が聞こえた。


「!」


今の音は!?とにかく向かわないと。あの音の方角は・・・校門だ。


急いで校門に向かうと、そこには同じく爆発音を聞いて駆けつけた生徒や、倒れているゴイル、スミソリア、アリスがいた。


「!ゴイル!スミソリア!アリス!どうしたの!」


僕は駆け寄り、全員に鑑定をかけ、気がついた。


「・・・嘘。あの野郎!」


「亀谷くん。・・・まさか、スミソリアさんたちも!」


クリスさんが、口に手を当て、嘘でしょというふうに顔を青ざめた。


周りの生徒はどういうことというふうに顔を見合わせている。そうか、詳しいことをクリスさん以外に伝えていなかったな。


「・・・いや、目覚めないということではないよ。ただ、・・・現状が最悪に等しいというだから。」


そう言ってから、僕は全員に回復をした。


【浮遊】


そして、魔法で浮かせてから、教室に向かっていった。


「みんな、机くっつけてくれる?ゴイルたちを横にさせておきたいから。」


そういうと、その場にいた生徒が皆協力してくれた。


「ありがと。さて、離れてて。・・・近くにいたら焦げるよ。」


僕はそう言い、周りにいた生徒が離れたのを確認してから、魔法を放った。


【強力電流・放電】


すると、ゴイル・スミソリア・アリスは雷が全身に纏わりついたため、ショックで飛び起きた。


「「「いった〜〜〜〜い!」」」


「良かった。起きた。」


僕は満面の笑みで言ったのだが、僕の向かい側にいた生徒は顔を引き攣らせていた。なんでだろう。


「良かったじゃないですわ。ミズル様。危うく髪が焦げ付くところでしたわ。」


アリスはそう言ってきた。ああ、雷を受けても焦げ付かなかったアリスたちに驚いてたのかさっきの子は。


「大丈夫でしょ。このくらいの雷は。」


「そうですけど。どうせならミズル様に優しく起こしてほしかったですわ。」


アリスと言い合っているとようやくゴイルとスミソリアも状況がわかってきたのか、僕にどういうことか、質問を投げかけてきた。


「はぁ、とりあえず、どうして、爆発音が起きたのか話してくれる?」


そして、話を聞くと、大方予想の通りで言ってみれば最悪だった。


「つまり、魔物を狩りに行こうと校門を通り抜けた瞬間、爆発が起きたということだね。」


確認すると、3人は頷いた。


「・・・いい、3人とも落ち着いて聞いて。3人はこの学校から出ることができない。」


その事実を伝えた瞬間、3人はどういうことだと考え、数十秒後、僕に”どういうこと!”と詰め寄ってきた。


そして、もみくちゃになりながらも落ち着かせた僕は、詳しい内容を話すことにした。


「・・・3人だけ、いや、ケインも魔王の呪いを受けている。その内容は、・・・この学校を囲っている結界から出ることはできないという内容だ。」


それを聞いた、3人は絶望の顔をし、自分のステータスを見た。


そして、スミソリアが僕の考えていた最悪について語った。


「え、それじゃあ、私達は魔王を倒すことやミズルに着いていくこともできない上に、ここから一生出ることもできないの!?」


「・・・・・。そう。この呪いは魔王を倒さない限り、永遠に発動する。おまけにたちの悪いことに、この呪いは、魔法にも感染する上子孫に遺伝する。」


ああ、ホントに魔王は最悪なプレゼントを残していった。僕達はそう思った。

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