第9話 魔王 被害1
この世界の魔物が元の世界より強い。・・・そうなったら、僕達じゃ今の魔王に敵わない。基本的に魔王は全ての魔物の頂点に君臨し全ての魔物より高いレベルを持つ。そのため異世界ではレベルは99までで僕達と同じだったからこそ戦うことができた。え、全員が99までレベルを上げたならそう苦戦することなく戦えたのではないかって?そんなことはない。魔王というものの記憶はある程度受け継がれる。そのため戦いの経験が違う。例えでいうのなら、同じレベル、同じ種族、同じ性別、同じ体型のものと戦っても経験がある方が必ず勝つ。そういうことだ。
「・・・本当に?」
念の為に聞いた。
「ああ。ミズルは鑑定使えるだろう。俺のこと視てみろ。」
「分かった。」
【鑑定】
種族:異世界人(人間)
レベル:100/999
名前:ケイン・リュート
身長:170cm
体重:60kg
血液型:A型
特技:剣技
スキル:勇者・初級魔法・中級魔法・上級魔法
状態:良好
鑑定をして分かった。レベルの上限が999まである。
「どうだったミズル?」
「信じたくないけど、レベルの上限は999まであった。」
「ッ!・・・そうか。なら、俺たちがまた行くしかないようだな。」
「うん。」
そんな事を話していたら、雲が空を覆いなにかが浮かび上がった。
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」
その何かとは
{おお、久しいのぅ勇者パーティー諸君。}
「魔王...。」
{ふむ、異世界の気配を感じられるのは4人しかいないのう。そうか、一人魔法剣士がいたな。そいつは異世界のもののはず。なぜ、お前らがここにいるのかはわからないがその魔法剣士無しで我を止めることはもう不可能だろう。なぜなら、あのとき最も我を苦戦させたのは勇者、貴様とその魔法剣士のみだったのだからな。}
その言葉を聞き、アリスとスミソリアとゴイルはとても悔しそうだ。
{そこでだ、今の我にお前らが到底敵うとは思えんが、手は打っておこうと思ってな。}
その瞬間禍々しい魔力が一気に膨れ上がったのが分かった。
「「「「「全員離れて(なさい)!!!」」」」」
【水障壁】
【拳結界】
【聖域結界】
【風結界】
【ウォーターシールド】
{【暗黒の矢】}
僕達が一瞬にしてはった結界と魔王の攻撃がぶつかった。その瞬間今までにない爆発が起き結界は破られ、全員が吹き飛ばされた。
(やばい。全員死ぬ。)
【光刀 終の技 薄明光線】
技を出し、爆風により飛ばされたときの衝撃を和らげる。
{ふむ、全員生き残ったか。まぁいい。殺すのも面倒だしあの勇者パーティーの奴らには印はつけてある。そいつら以外は大丈夫だろう。}
そして、魔王は消えていった。
「う、う〜ん。・・・痛い。けど生きてる。」
目を覚ますと全身の痛みで体がこわばった。
「はぁーーー。やっぱり光と闇は使わないほうが良さそうだな。」
光の技を使った影響なのか体中が痛い。それよりみんなは大丈夫かな。
「みんなー。生きてるー?生きてたら起きてー。」
爆発の影響で体育館が崩れている。
【広域鑑定】
僕の視界に生命反応があるものが緑の点と赤の点で表せられる。緑の点は命に別条なし。赤の点は命に危険あり。生命反応がないものは黒で表せられるが・・・黒はいない。緑でいっぱいだ。・・・あ、いた。赤がいる。
【上昇気流】
【エリアハイヒール】
風の魔法で瓦礫をどかしたあと範囲の回復魔法を掛ける。これによって、大概の人は治った。だけど、赤の人はまだだ。僕は急いでその人のところに向かった。そして知った。頭から血を流し片腕がないのがケインだと。
〜〜〜〜〜〜数時間後〜〜〜〜〜〜〜
クリスSIDE
ここは、どこだろう。私は青い空を見ながら目を覚ました。数分後、私は気を失うまでのすべての記憶を思い出した。そして、あたりを見回すと亀谷くんが見えた。確か、あの爆発のとき亀谷くんがどこからか刀を取り出して見たことない技を出してみんなの衝撃を和らげてくれたのを思い出した。
私は立ち上がり、亀谷くんのところに向かった。
「・・・亀谷くん。」
呼びかけるとビクッとして亀谷くんが振り返った。
「ああ、クリスさんか。おはよう。体に異常はない?」
私もおはようといいかけた。いいかけたのはなぜか。それは、亀谷くんの前に明らかに重症のケインさんがいたからだ。
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