2.これって呪いのせいですか?②
*****
お礼の
少しだけ部屋で
光属性の
現在ラスは、純白のクロスがかけられた四角いテーブルを挟んで、アレンと二人きりで向き合っている。
驚くほど広いテーブルの上には白磁の食器が用意され、
(まさか……この国で一番と言っていいくらい高貴な身分の方と、食事をご
一昨日までの自分なら考えつきもしなかっただろう。緊張のあまり、きっと何を食べても味なんてわからなくなりそうだ。
(今だけ、今だけやり過ごしたら……! うっ、
なんだか、正面に座る方の顔を見るのも
「そんなに緊張しなくて大丈夫だから」
「……は、はい。王太子殿下」
(いえ、けどやっぱり緊張はします!)
ぐるぐると目を回しそうになっていると、アレンは少し思案した後、「そういえば」と口を開いた。
「貴女のこと、なんて呼べばいいかな? このままラケシス嬢、と呼んでも
「あ、はい、な、なんとでもお呼びください!」
「じゃ、私のこともアレンと。王太子殿下、だと
「え……は、はい。アレン殿下」
「殿下、はいらないよ?」
「…………あ、アレン……さま……」
単なる呼び方一つとっても、
押しが強いのは、この王宮にいる人の共通点なのだろうか。むしろミシェーラは
「それじゃ、ラケシス嬢。貴女の方からも、私に何か聞いておきたいことはある?」
こういう時の作法もわからずひたすら混乱してばかりだったラスだが、食前にと冷たい飲み物が運ばれてくる段になって、いよいよ腹を
「あの、殿下」
「アレンで」
「……アレンさま。勝手ながら
「もちろん、なんでも話して。かたくるしい
「……はい」
ごく、と
「王宮にご招待いただき、こうして色々ともったいないお
いったん言葉を切り、ラスは膝の上で小さく
「……このお食事が終わりましたら、私は樹海の自宅に
「どうして?」
「え、どうしてって」
逆に問い返されて、ラスは面食らった。
(どうしても何も、私が王宮にいるのはおかしいからですけど……!)
反論しようにも言葉の選び方がわからず、
「もう月が出ている時間だよ。貴女の家まで結構な距離がある。貴女の
「えっと……それじゃあ、明日とか……」
控えめに直近の帰宅予定を詰めようとすると、アレンは青い目をこちらに
「ひょっとして、昨晩ガイウスがよくない態度をとったから、君はそれを気にしている?」
「はい?」
少し心配そうに
(ガイウス、さんって……あ、昨日のメガネのお付きの方!)
──
その
「え、いえ」
確かに、あまり気分のいいことではない。いささか顔色が悪くなったラスに表情を改めると、「申し訳なかった」とアレンは謝罪した。
「彼──ガイウス・グリムは、俺……ではなくて、私の母方の
「い、いいえ! そこまででは……!」
──確かに怖かったし、その言い草に傷つかなかったといえば
(王太子殿下にわざわざ頭を下げさせるほどじゃないです!)
今日一日が目まぐるしすぎて、すっかり忘れていたほどだと
「そう言ってくれて気持ちが軽くなったよ。それで、もし君さえよかったら、……しばらく王宮に
「え、えっと」
「希望があったら侍女になんでも申し付けて。大体のことは
流れるように
(いつの間にか、お城に滞在する流れに自然に
「王都のはずれに
「ええ!?」
どうしてあんな下町に王子様が来ていたのだろうと、疑問に思っていたが。まさか、自分が原因の
「昨日は空手で帰ったから、ここで断られると、私も
「……!」
ニコニコしながらそんなことを続けられてしまえば、もうラスに言えることは何もなくなってしまう。
やがて、美しく盛り付けられた前菜の皿が目の前に運ばれてくる。冷めないうちにとアレンに
ことここに至って、半泣きになりながらラスは思う。
アレンは立ち居振る
(このかた……やっぱり、呪いにかかっちゃってませんか……!?)
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