第14話 突然の同居生活!④ 

レタスとピーマンとウインナーという、冷蔵庫の中のものプラスαで作った炒飯

(まるみ作…上出来!)と、乾燥わかめと卵のスープ(敦作…まぁまぁ。)を4人で黙々と食べた後、春香は食器洗いをかって出た。


「作る方は頼りになりませんが、洗う方はできます!」


春香は強く宣言して、3人を居間に追いやった。


(よし!これくらい役に立たなくては…)


春香は腕まくりをすると、スポンジに台所洗剤をプシュッと出した。

すると、敦が後ろから声をかけた。


「春香?手伝うか?」


振り向くと、すぐ近くに敦の顔があった。


「わっ!びっくりした。大丈夫だよ!それより、居間の空気をあっためきて!二人だけだと、何となく気まずそうだし…。」


「わかった。じゃあ、ちょっと3人で親睦しんぼくでも深めてくるよ。春香も終わったら合流しろよ!」


「もちろん!」


「それから…」


居間に行きかけた敦は、また戻ってくると、春香の片方の頬っぺたを軽くつまんで

言った。


「なにか困った事があったら、すぐに言うんだぞ!」


「うん。」


敦はニッと笑って、居間に戻っていった。


春香がが洗い物を終えて居間に行ってみると、3人が真剣な表情でババ抜きをしていた。敦と王子様は、こたつから出て、各々に崩した座り方でトランプを真剣に見つめている。まるみだけが、きちんと正座してこたつ布団の中におさまっていた。

ゲームの途中で割り込むのは気が引けて、春香はとりあえずテーブルの椅子に腰かけてその様子を見ていた。


(何だか、ちょっと疲れたな…。)


春香はいつの間にか、テーブルの上につっぷして眠っていた…。


・・・§§§・・・


誰かに、呼ばれたよう気がする。

振り返ると、一人の男がこちらに近づいてくる。でも、顔が見えない。

そしていつものように濃い霧に包まれる。

春香は大きな声で叫ぶ。


「あなたは誰なの?」


「    !」


そのが何か言っているのを感じる。


「なんて言ってるの?わからないよ!」


春香は、その人と話したかった。春香もその人に近づこうとした。

でも、足が動かない。


春香は苦しくて悲しくて…気が付くと目から涙がつたっていた。


「あなたは、誰なの?」


両手を思い切り、彼の方に差し出す。彼も春香に向かって手を差し伸べる。

でも、どうしても届かない…。






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