第13話 突然の同居生活!③ 

まるみは一人で夕ご飯を作ると言ったのだが、敦も手伝うと言いはり、そのまま二人で作り始める事になった。まるみは言った。


「では、スープを敦さんにお任せしてもいいですか?」


「オッケー!…ていうか、敬語やめてくれない?同い年でしょ?敦でいいよ。」


「いえ、なれないので。私は炒飯を担当しますね。」


「じゃあお願いしますよ。まるみ。」


(俺もやればできるところを、春香に見せてやらなきゃな!)


敦は腕まくりをすると、小鍋にお湯を沸かして冷蔵庫の方に向かった。


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台所では戦力外の春香は、居間のこたつで、王子と向き合って座っていた。


「あの、王子様。」


春香は、王子の顔をちらちらと見ながら切り出した。さっき、王子とまるみの間に流れていた空気は普通じゃなかったから…。


「何だ?」


「さっき、まるみちゃんと言い争っていたように見えたんですが。」


「いや、そんな事はない。争っていたわけではないんだ…。」


王子は困ったような顔をしている。春香は続けた。


「まるみちゃんは、私にっとって、一番大切な友達なんです。どんな時も、私のそばにいてくれて…すごく頼りになるんですよ!」


「そうか。それは、心強いな。」


「はい!そうなんです。それから、あの…」


「どうした?」


春香は少し迷ったが、さっきからもやもやしている事を思い切って聞いてみる事にした。


「王子様とまるみちゃんは、前からの知り合いだったりしますか?」


「私は記憶がないので、絶対とは言えないが…。多分、今日初めて会ったんだと思うのだが。」


「そ、そうですよね。すみません、変な事聞いて。」


「別に変なことじゃない。そんな緊張した顔をしなくていい。」


そう言って王子は、こたつ越しに優しく春香の頭をなでた。

その手はとても優しくて、眼差しがあたたかくて…春香は胸がぽかぽかと温まるのを感じた。


敦は何とかスープを完成させ、勢いこんで居間の入口に立った。春香と王子に声をかけようとして、動きが止まった。二人があんまり楽しそうに、自然に笑いあっていたから…。敦はお玉を持ったまま、その様子をじっと見ていた。


(俺は、何を遠慮してんだよ!)


敦は、笑いあう二人に必要以上に大きな声で呼びかけた。


「春香、王子様、夕飯できましたよ!」


(春香、なんでそんなに嬉しそうにするんだよ…。そんで、俺は、なんでこんなに

イライラしてるんだよ。)


そこに、まるみの声が追っかけてきた。


「王子様も、春香さんも手を洗って来て下さいね!」


「「はーい!」」


王子と春香は同時に返事をし、それがおかしくて、二人でまたクスクス笑いながら

洗面所へと向かった。春香は思った。


(何だか、なつかしい。

…え?何がなつかしいんだろう。王子様とは、まだ出会ったばかりなのに。)



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