第21話


ただ今9時半である

本当なら合唱コンクールが始まっている時間であり、静まった体育館に一年生の合唱が響き渡っているハズである…


だか、会場は異様な雰囲気に変わっていた



今日のプログラムや会場の注意事項の説明が終わり、いよいよ本番という時にステージの設営をすることになったらしい


なぜ?今から?

普通だったら前日に準備を終えて、今日の予定をスムーズに進行するべきだ

それに昨日の放課後、文化祭委員の人達と先生が協力して会場の設営を終わらせていたはずだ


まあ、考えても仕方ないか

あと少しで始まるだろ




「すみませーん、手の空いている野球部の人達は体育館の外に集合してください」


なんだ?

先生が呼びかけを始めたっぽいな


しかも、また野球部だ

何かあるたびにこき使われて大変そうだなあ




すると、館内が何故かザワザワし始めた。

気になって辺りを見回すと、集められた野球部がグランドピアノを体育館のステージに運んでいた


あんな重そうな物を運ぶ役割に、急遽抜擢される野球部やはりかわいそうだ


「やっぱ、部活に入らなくて正解だったな。

どっちにしろ入れなかったけど。」



ピアノを運ぶためにこんな待たれていたのか

学校にだってピアノはあるだろうに

なんで、わざわざ当日に外から?


まあ、いいか

ピアノも運ばれとうとう本番が始まるようだ




ん?てか、あのピアノ家のピアノと似てない?

同じなだけか?


いや、まさかそんなはずはない…

いくらあのバカ供も楽器を家からなんてそんなことは…



キーン


ッ、うるさっ何?



「怜ちゃーん、慣れたピアノの方がいいと思って家の持ってきたわー」


「怜!わかってんだろうなあー、優勝しかねーからな!」



ま、まま、マイク使ってやがる





「ちょっと!、勝手にマイク使わないでくださいよ!」


「「あー」」


「ゴホン、では熱いご家族による激励も貰ったところで、一年生による合唱コンクール開催です!」





あんのバカ供が!

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