第15話

俺たち三人で二年生の展示を回ることにした。各学年6クラスあり、一クラス40人である。



「どこから回るか?」

「2年4組のお化け屋敷が怖いらしいですよ」

「定番だな」


学生が作るお化け屋敷ってたかが知れてるだろ?怖いことないと思うけどな



「すげー雰囲気あんな」

「噂が広がるだけありますね」

「教室なのによくこんなの作ったな」


そのお化け屋敷は行列ができていて順番待ちになっていた。結構な悲鳴が中から聞こえて来る。

いよいよ俺たちの番になった。


「うわー」


「おー、びっくりしたー!」


入った瞬間に驚かしてくる。

よくある手だなぁと黙っていたら…


「うわっ」

後ろから水をかけられた。最悪だ。



そのあとは無難な仕掛けで終わった。結局あんまり怖くはなかった。噂だけだったようだ。


「ちょっと濡れたからトイレ行ってくるわ」

「おけ」

「わかりました」



俺はひと気を避けるために外のトイレに向かった。トイレに入り誰もいないことを確認してカツラを外す。


「カツラが濡れたけど、どうやって乾かせばいいんだろ?とりあえずタオルで拭くか」


若干濡れているが幾分かマシにはなったように見える。

俺はカツラを被り鏡で整え


「行くか」


俺は男子トイレから出た時だった。

女子トイレのことなど頭になかった。

それは相手も同じだったらしい。


ドンッ


「「いたっ」」

「あ、すみません」

「いえ、私も前見てなかったので」


俺はそのまま顔を上げる


「姫乃 光(ひめの ひかり)」

「佐々木 怜」


「「え?」」


俺は自分の顔をまさぐりメガネが落ちていることに気づいた。


「「やば!メガネ」」

「「ふー、危なかった」」

「「え?」」

「「本物?」」


何でこんなにセリフが被るんだ


「「いや、違います」」

「え、えーと、さようなら」

「あ、はい。さようなら」




は?何でこの学校に大人気女優がいるんだ?



「遅かったな」

「なんかありました?」

「いや、特に。普通に遅かっただけだよ」

「そうですか」

「それより、メイド喫茶行こうぜ」

「メイド喫茶?」

「すごく人気があるらしいです」

「ほら、行くぞ!」

「行きましょう!」

めっちゃ、気合い入ってんな


「かわいくね?」

「これは人気もありますね」


そこでは先輩の女の子たちがフリフリヒラヒラのメイド服でニヤけている男子生徒の接客をしていた。

なんか既視感あるな

この真逆が俺たちなのか?

いや、舞ならメイド服ワンチャンあり!

いや、絶対似合う!着て欲しい!



「ん?」

「どうした?」

「いや、なんでも」


あの、メガネの先輩さっきの人じゃね?


え?大人気女優がメイドやってるやん


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