第14話

オープニングも終わり、みんなクラスに戻ってきた…のだが、


「怜、めっちゃ良かったぞ!」

「僕たちには言っておいて欲しかったです!」

「ごめんて、校長先生と佐藤先生の三人の秘密だったんだよ」

「最後の最後で全部持っていったな!」

「みんなが見惚れてましたよ」

「あはは、ありがとう」




「佐藤先生めっちゃ演技うまかったです」

「歌もすごく綺麗だった」

「かわいかった先生」

「あ、あはは…、ありがとねみんな」


俺たちはみんなに囲まれていた



俺たちはあの地獄をなんとか切り抜くことができた。無理やり過ぎたかと思ったが、みんな信じているようだ。校長先生には頭が上がらない。


そして、みんなが気になっているであろう、俺のお父さんとお母さんは


「はあ、俺の発表どうだった?」

「怜ちゃんの発表すごく良かった!」

「見に来てよかったなあ、お母さん」

「今日の文化祭は初日だから俺と先生の発表で終わりなんだ」

「まあ、そうなの?」

「なんだ?、まだお昼ぐらいだぞ」

「でも、今日の文化祭はもう終わったんだ」


俺はそう言いくるめて、オープニングが終わった瞬間に呼んでおいたタクシーにのせて帰らせた。


「怜ちゃんも一緒に帰るわよ」

「そうだぞ!今日の発表は最高だったからな!なんか美味いもんでも食いに行こう」


もう無視だ!無視!


俺を連れて帰りたくて、なかなかタクシーに乗ろうとしない二人に

「すみません、この二人酔っ払ってて」

と言って、タクシー運転手さんにも手伝ってもらい無理やりタクシーに乗せた。



俺の勝ちだ!




「陰キャ!なかなか良かったじゃない」

「結構、歌上手なんですね」

「かっ、かっこよかったなんて思ってないんだからね」

「以外となんでもできるんですね」


もう、陽キャ女子軍団と呼ぶのはやめよう。

今日から君たちはチョロ軍団だ。

この名に恥じぬよう頑張りたまえ!


「あ、ありがとうございます」


「な、なによ!いつもみたいに言い返してきなさいよ!調子狂うわね」

「決してパーフェクトとは言っていませんので勘違いしないでください」

「普段とのギャップがまたいいだなんて考えてないんだから」

「あれで満足しないことね」


「わかってます。いつもアドバイスありがとうございます。」


「「「「だーかーらー!」」」」




「もういいだろ!俺たちと話させろ!」

「そうです!僕たちはもっと怜くんとお話ししたいんです!」


「なによ」

「文句でもお有りですか?」

「勇輝君と遥君に話しかけられちゃった」

「私たちは、まだそこの陰キャと話し足りないんです」



「なんだとー?」

「怜くんのこといつも陰キャってバカにして!許してませんよ、僕は」



「「「「そ、それは」」」」



おいおい、俺の取り合いみたいになってんな

ここは「俺のために争わないで」って言うべきなのか?

どうなんだろ?




「先生!朝、体育館に行かなかったことも打ち合わせか何かだったんですか?」

「ええっ!?」

「あれ?違うんですか?」

「ううん、合ってるよ!林田くん、俺は行かなかったけど佐藤先生は校長先生と最後の打ち合わせがあったんだ」

「あー、そうなんだ。なるほどね」

「そうですよね?先生(おい、言えよ?)」

「う、うん…、そうなの…」

「じゃあ、朝から役作りに入ってたんですね」

「…そう…なのよ」

「そうですよね!生徒に向かって『じゃましないでちょうだい!』なんて言わないですよね」

「……うん」



朝の反省にちょうどいいな!

もっと言え!みんな!



「おまえの家族はどうなったんだ?」

「もういないようですけど」

「あー、もう俺の出番は今日ないから二人とも帰ったよ」

「そうなのか」

「おもしろいご家族でしたね」

「それより、二年生の展示回らないか?」

「いいですね!今年はどこもレベルが高いって聞きますし」

「行こう、行こう」

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