第18話

無事に一日目も終わり今日は二日目である。ということは、みんなの想像通りである。


「怜!今日はピアノを弾くんだろ!家のピアノを持っていけ!」


「そうね、いつも使ってる。慣れたピアノの方がいいでしょ!」


「無理だろ!ピアノだぞ!どうやって学校まで運ぶんだよ」


「そんなの運送業者に頼むのよ」


「そうだぞ!なんなら車に積んで行くか?」


「学校のピアノで十分だからやめてくれ!」


そうこの二人の相手である

家にピアノがある理由はお母さんがピアニストで家でも練習しているからである

他の楽器にも興味があるらしく色々置いてある


「そう?、怜ちゃんがいいならいいのよ」


「俺は家のピアノで演奏して欲しかったけどなあ」


「あんたは家にピアノがあることを自慢したいだけだろ!」


「そ、そんなわけ、な、ないだろう」


目線が泳ぎまくってんだよ!

はあー、ほんとに来てほしくないです

あっ、そうだ!


「お父さん、お母さん。昨日学校から帰ってカメラ買っといたよ。これへ動画撮影もできるみたいだから」


「えっ?、ケータイがあるわよ。もう必要ないわ、怜ちゃん」


「そうだぞ!怜。今の時代にはスマホがあるからな!これ一つでなんでもできるぞ!」


「うそ…だろ…」


「あっ!そうだ!松田さんに借りたカメラを返しに行かないとなあ」


いや、カメラじゃなくて顕微鏡だろ?


「そうだわ、借りてから三年は経つもの」


「は?三年?」


借りるっていうかパクリじゃね?

早く返しに行けよ!


「もう、忘れてるかしら?松田さん」


「貰っていいんじゃないか?三年間何も言われなかったんだから」


「いや、ダメだろー!返してこいって」


「なら、怜ちゃんが返してきてよー。お母さんね松田さんのこと少し苦手なのよ」


「借りたやつが返しに行くのが普通だろ?誰が借りたんだ顕微鏡?」


「それはお父さんよ」


「おい、お父さん。返しに行ってこいって」


あれ?どこいった?お父さん


「おーい、怜!お母さん!俺は先に車で学校行ってるから後から来てくれー!」


あんのやろう!

会話の流れ読んで先に逃げやがった!


「あらあら、お願い怜ちゃん。松田さんはご近所さんだからすぐに返しに行けるわ」


「いや、あんたも来いよ」


「まあ、『あんた』なんてお母さん泣いちゃうわ。私は家でまだやる事あるから、ほーら!返しに行ってきて!」


「は?」


近所ならすぐに返しに行けただろ!

何やってんだ!この二人は


そう思いながら、お母さんに指示された家に向かった




ここか…


そこにはお化け屋敷で使われそうな雰囲気のある家が建っていた


文化祭よりよっぽど怖いぞ!



ピンポーン



ガチャッ



「あっ、朝早くにすみません。古町って名前なんですけど、うちの両親が三年前に借りた顕微鏡を返してなかったらしいので返しに来ました」



「ケケケッ、それはオイラが三年前に盗まれた顕微鏡じゃねーか、ケケケッ。わざわざ返しに来たんか?泥棒」


「えっ?」


「警察呼ぶかー?ケケケッ」




ソー、バタン


俺は扉を閉め顕微鏡をその場に置き一目散に逃げ出した



借りたなんて嘘じゃねーか!



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