第7話
「えっ?めっちゃピアノ上手くない?」
「ほんとに弾けるなんて」
「すごい!ミス一つない!」
どうやらこの全体練習のおかげで俺の株はだいぶ上がったっぽい。
この前の騒ぎで『めちゃくちゃ痛い陰キャ』みたいな目で見られていたが、ピアノのおかげで周りの見る目も180度変わったらしい。
最近は普通に話しかけてくれる人も増えた。
自称陽キャ女子軍団の皆様も俺のことを遠くから眺めているだけで絡んでくることはなくなってしまった。
なくなったらなくなったでなんだか寂しい気もする。なんなんだろうなこの気持ちは。もしかしてこれが恋?なんて馬鹿なことを考えていると
「おい、古町ちょっときてくれ」
「?…はい」
佐藤先生からの呼び出しがかかった。俺なんかやらかしたかな?
「古町、校長先生が呼んでたわ」
「えっ、校長先生ですか?」
「なんかやらかしたの?」
「いや、身に覚えはないですけど」
「そう…、あと学校休みすぎじゃない?校長先生からは家庭の事情ということらしいけど、そんなに休むことある?」
「あー、まあそうですね」
「ほんとに家庭の事情なの?あまりこういうことに首を突っ込むのは嫌いだけど気になるのよね」
うーん、どうしよか?
担任の先生だし話してもいいかな
俺はカツラとメガネを取り顔をあげた
「すみません、ご存知ないかもしれませんが、俺『BULE NIGHT』っていうアイドルグループで佐々木怜って名前で活動していて、仕事とかぶって学校来れない日が多いんですよね」
「……さま…」
「?」
「生、怜さまー!」
「えっ?」
「本物?ほんものー!キャーー!この学校にいらっしゃったんですね!」
「えっ?しゃった?」
「他の3名の方は私立の芸能科にいらっしゃるのは知っていましたが、怜様だけ名前がないのが引っかかってたんですー!」
「あー、よくご存知で」
「えへへへ、私『BULE NIGHT』の大ファンなんですけど、中でも怜様推しなんですー!」
「あ、ありがとうございます」
「えへへへ、生怜さまー!かっこいいー!」
「ありがとうございます。うわー、キャラがブレブレっすね」
「えへへへ、生怜様、握手して下しゃい」
「あっ、はい」
「えへへへ、この手一生洗いましぇん」
「あっ、はい」
「あの、怜様この後…」
「校長先生のところ行ってきますね。失礼します。」
「あ、怜様ー」
あの教室にいるのはほんとにヤバい。命の危機を感じたよ。変装解いたのミスったな!まあなんとかなるか。
とりあえず校長先生のところにいくか
「古町怜くん、サプライズゲストとして変装を解いて文化祭の最終日の二時間くらいで何かやって貰えないだろうか?」
「あー、そういう話ですか。なんか怒られる様なことしたのかと思ってびびってましたよ。」
「いやいや、君は真面目な生徒だからね、怒るようなことはないよ。で、どうかな?」
「すごくありがたい話です。僕自身、名前を知って頂ける機会が増えたようなものですので」
「そうか、じゃあよろしく頼むよ」
「わかりました。ですが、具体的にどのようなことをすればいいんですかね?」
「君が得意なことをしてくれればいいよ。歌うなり踊るなり」
「そうですか。じゃあピアノにしますね」
「ピアノ?君は楽器も弾けるのかい?」
「まぁ、ほんのちょっとですけどね」
「そうかい、じゃあよろしく頼むよ。でも、ある程度のクオリティーはお願いするよ」
「そこは任せてください。アイドルですから」
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