第6話

「…フゥ、だいぶ形になったかな」

「おまえピアノうま!」

「怜なんでもできるもんな」

「かっこいい!」



ここは『BULE NIGHT』が練習するときによく借りているスタジオだ。今日は新曲の振り付けの練習でみんな参加していた。最後に時間を借りてスタジオにあるピアノで練習をしていた。



俺はあの日の後から二週間、テレビ用のツアー動画だったり、写真集のための撮影会が重なったりしたことで学校に行けていない。



「怜、大丈夫か?学校イジメみたいな感じなんだろ」

「こっち転校してくる?僕達いつでも歓迎するよ」

「ありがとう、でも大丈夫だよ」

「無理すんなよ、何だったら俺たち怜の学校に殴り込みに行くぞ!」

「いいねー、でもそれだと舞が返り討ちにあっちゃうよ」

「なんでよ!僕ケンカ強いよ!」

「…いや、どう見ても舞は弱そうだよ」

「なんで怜くんまで…酷いよ」

「あ、いや強そう。めっちゃ強そう」

「ふふふ、そうでしょ!、僕めっちゃ強いからね!任せてよ怜くん」

「「「ふふふ(かわいいなあ)」」」






久しぶりの登校だ。出来るだけみんなに気付かれないようにしないと。俺はそっと教室の後ろのドアから入って自分の席を目指そうとしたとき、



「うわー、陰キャ今日学校いるじゃん」

「ほんとだー。逃げたくせにね」

「「「「アハハハ」」」」



気づくのはやー!俺のこと大好きやんけ、もうこいつら。


「今さら何しにきたん?」

「陰キャっぽく勉強しにきましたってか?」

「あんたがいなくて歌の練習進まなかったんだから」

「謝りなさいよ」



俺がいなくて練習にならなかったのは事実なんだろう。

そう考えるとあんまり間違ったこと言ってない気もするなあ。


見た目で人を判断するのはどうかと思うけどキモい見た目なのはほんとなんだし。

うーん、もしかしてこれがツンデレってやつか?現実にいるんだな、こんな人たち。


そう考えるとあんまり怖くないな。


「今まで学校に来れず迷惑をかけてしまい、ほんとうにすみません。ピアノは大丈夫なので合わせて練習をするのであればいつでもいけますよ。」

「ほんとかよ、こいつ」

「ぜっっったい、うそ!」

「「「「アハハハ」」」」



「それにしても、いつも俺に絡んできて?どうしたの?俺に構って欲しいの?」

「「「「は?」」」」

「ちがうの?」

「は?、はっ!?、ちげーよ!なに言ってんの?」

「キモ、キーモッ!」

「か、か、か勘違い激しすぎー」

「陰キャの発想キモ」



「すごい顔が真っ赤だよ?」

「「「「は、はーっ!?」」」」

「まじ勘違いキモい」

「こいつやべーって」

「やばすぎて、やばしくて、やばいやん」

「全然!かっこよく見えてなんか、にゃいんだから!」



「俺がずっと学校来なかったから寂しかったんだね?」

「「「「ちがうってば!」」」」

「はーい、朝から騒いでないで席座れー!」

「んー?、古町学校きたか、ピアノ弾けるよな?」

「はい、大丈夫です。先生」

「なら今日から全体練習始めるからみんなそのつもりでなー」

「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」





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