第8話

今日は文化祭初日、たくさんの人々がこの日のために準備してきた。文化祭は3日間開催され、俺達の合唱は二日目なのだが…



「お父さん早く準備して!怜ちゃんの活躍を見逃すわよ」

「いや、お母さん一年の合唱は二日目だから、今日は来なくていいよ」

「何を言ってるのよ?」

「なにをいってるのよ?」

「怜ちゃんの学校生活の様子を見る機会なんてそうそうないんだから!」

「そうだぞー、怜!俺もお母さんもおまえが楽しそうに学校生活を送っているところが見れるだけで幸せなんだからな!」

「…お父さん」

「はっ!そんな顔するな怜、早く学校に行こうではないか!」

「ちょっと待ってくれ、…お父さん、いや…親父」

「なんだ?怜」

「なんでスーツ姿なんだよ!?」

「ほんとよ、お父さんこの前かっこいい服を買ったばかりじゃない」

「あー、そうか、そういえばお母さんと買い物に行ったとき新しい服を買ったな!ちょっと待っていてくれ着替えてくるよ」

「早くしてくださいね」

「いや、今日は来なくていいんだよ!まじで」

「怜ちゃん、お父さんの気持ちも考えてあげて?あなたの様子が見たくて仕方ないのよ」

「…わかったよ」

「すまない、待たせたね!さあ出発しよう!」

「まあ、似合っているわよ!お父さん」

「なんだよ、照れるじゃないか」

「ふふふ」

「ははは」

「……ちょっと待てよ、親父」

「なんだ?またか怜」

「それ!喪服じゃねーか!何しに学校行く気なんだ?」

「「喪服?」」

「なんでお母さんもわかってないだよ?『似合ってるわよ!』じゃねーんだよ!」

「なんだよ、この服もダメなのか?」

「着替えてこい!おやじー!」

「そんなに怜が言うならしょうがないな」



はあ。誰かこの家族止めてくれ!頼むよ


「よし!、これならいいだろ!怜」


やっとお父さんは遊びに行けるくらいのラフな服で出てきた。


「うん、それならまあ、良いよ」

「あっ!お父さん!せっかく買った高いカメラを忘れてるわ」

「ほんとうだ!取ってくるよ」

「いいって!今日は出番ないんだから」


合唱会は二日目だと何度言えばわかるんだ


「重いなー、よいっしょっと。どうだ怜!おまえのために高いカメラを買っておいたんだ!」

「は?」

「ほんとに高かったのよねー、このカメラ」

「それにすっごく重いんだこれ!どうだ?怜も持ってみるか?」

「…いや、望遠鏡じゃねーか!それ!」

「かっこいいだろう、怜」

「カメラじゃねーよ、それ!」

「「えっ!?、カメラじゃないの?これ?」」

「ちげーよ!なに買ってんだよ?ほんとに」


どうやったらカメラと望遠鏡間違えるんだよ


「えー、どうしましょう?」

「んー、あっ、お母さん!松田さんに貸して頂いたカメラがあったな!」

「あー!そういえばあったわね!」


頼むぜ、松田さん!ちゃんとしたカメラを貸してやってくれー!


「これだな!」

「それよー、それそれ!」

「……二人とも…それはカメラじゃないよ…、それは顕微鏡だよ!」

「「もう、またー?」」


なんでだよ!

カメラ見たことないんか?こいつら


「なんで松田さん貸してくれたのかしら?」

「これもカメラじゃねーのか」

「顕微鏡貸すってなにー?、まつださーん?、めちゃくちゃこえーよ、ま つ だ さんー!」

「ご近所さんをそんな風に言ってはダメよ怜ちゃん!」

「うるせーよ!いい加減にしてくれー!」

「もう、怜ちゃん反抗期ー?」

「ちげーよ!、社会に反抗してるのはどっちだよ!」


かーんべーんしてくれー!!










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