第4話
この学校では六月の下旬に文化祭があるらしい文化祭のクラス発表は一年生は合唱、二年生は展示、三年生は演劇らしい。
「今日は合唱の役割を決めたいと思います。伴奏に立候補したい人はいないでしょうか?」
「伴奏が決まらないと練習も始められないので、できればピアノを弾ける方は立候補をお願いします。」
前に立って司会を務めるのは学級委員長の林田 和哉(はやしだ かずや)君と学級副委員長の長友 葵(ながとも あおい)さんだ。
リーダーシップを取り話し合い進めている。
だが、誰も手を上げようとはしない。みんな面倒事は嫌いらしい。
一年生の合唱は、課題曲と自由曲の二つを歌い、それぞれに先生や審査委員の方が点数をつけ、その合計の点数で競う仕組みらしい。伴奏は二曲とも同じ人が弾いてもいいし、違う人が一人一曲弾いてもいいらしい。
「このままじゃ練習が始められないのでとりあえずピアノが弾ける方は手を上げてもらってもいいですか?」
「やりたくないのはわかりますが出てもらわないと話が進まないので、お願いします。」
ここで手が3人上がる
「3名の方ありがとうございます。僕は伴奏のことは分からないので、どういう分担にするかその3名で集まって決めてもらえませんか?」
「ほんとに助かりました。ありがとう」
あの3人の中で決まりそうだな、よし必ず参加と言われた文化祭も適当に過ごして終わらせよう。
「ちょっといいですか?」
「どうされました?」
「私古町君がめっちゃピアノ得意っていうのを噂で聞きました。」
「それ、私も聞いたことある!」
「私もー」
は?何を言ってるんだあいつら
もうー、だるいってー
「でも、古町君はピアノ経験者か聞いた時に手を上げなかったじゃないか」
「あんな陰キャがこんなに大勢の前で堂々と手を挙げられるわけないじゃん」
「そうよ!だいたいあの3人も自分からやりたいわけじゃないらしいし、ピアノが上手いって言われてる古町君に伴奏してもらった方がいい発表になるよ」
「いや、でもピアノを弾けるようには見えないですが」
「いいから」
「先生、文化祭の伴奏は古町君がいいと思いまーす。」
「アハハ、たしかに、そいつピアノ得意とか言ってましたー。」
「やりたい人もいないし、みんな古町君が伴奏で賛成だよねー?」
はあ。めんどくさい。
レベルの高い学校だから真面目な人ばかりかと思っていたが、こういう人もいるのか勉強になったな。
周り見てみろよ、君達が別格とか言ってたイケメン君二人もドン引きしてるじゃないか。
「古町君、あなた伴奏できるの?」
「はい、できます。先生」
「あなた伴奏でもいいかしら?」
「はい、大丈夫です。」
「わかったわ。なら合唱の伴奏は古町君で決まりね。」
「ちょっと待ってくださいよ、先生」
「そうです。それだとあまりにも古町君が可哀想ですよ。」
「じゃあ、あなた達二人は伴奏できるの?」
「いや、それは…」
「できませんけど」
「彼がやるって言ってるんだから彼に任せましょ。はい、今日はもう解散」
「本気ですか?」
「大丈夫だよ、林田君。ピアノが得意なのは本当のことだから、ありがとね」
「古町君がそう言うならいいけど」
「じゃ、今日は解散」
「「「「「ありがとうございました」」」」」
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