第3話

今日も俺は寝たふりをしている。


だいたい俺はこの学校に入学するつもりなんかなかった。ここから電車で一駅過ぎたところにマンモス高校なんて呼ばれている私立の高校があり、毎年1500人もの新入生が入学する。

さまざまな学科が存在し、勉強からたくさんのスポーツ特待、料理やパティシエ、美術や音楽さらに芸能科なんて学科にまで分かれているすごく大きな学校である。


アイドルメンバーである3人はもちろん芸能科に進み楽しい学校生活を送っているらしい。

芸能科には女優や俳優を目指す人や女子アイドル志望の子が在籍しているらしい。


なんて羨ましいんだ!

俺も一緒にそんな学校で青春をおくるはずだったのに…。




ことの始まりは

「どうせあんたは落ちるからレベルの高い県立を一つ受けときなさい」

と、家族に言われたことだ。

「芸能科に行きたいから、私立専願でいいだろ!」

と、言い返したが、

「いいから、記念受験よ記念受験」

「それは大学受験で使う言葉であって高校入試でやることじゃねーだろ」

「いいから」

そんなこんなで俺はレベルの高い県立高校を受けることになったのだ。




そして結果発表の日


俺は開いた口が塞がらなかった。

そこには俺の受験番号がしっかり載っていたのだ。母さんは俺と一緒で口を開けて固まっていたが、父さんはものすごく喜んでいた

嬉しいがそうじゃないだよ、父さん

「受かって…ますやん」

「…そう、みたいね…」

「よく頑張ったやんか!怜」

たしかに俺は入試の手応えを感じてはいた。

それなりに勉強は得意だったのでいけそうかも?と少し調子に乗っていたりもしたが…

まさかほんとに合格だなんて…

「芸能活動どうしよう?」

「とりあえず先生に相談しましょう」

「やったじゃねーか!怜、今日は合格祝いでおまえの好きなもの頼み放題だな!」

父さんには悪いが、今ほんとに違う!





そんなことにより俺はこの県立高校に入学することになった。

芸能活動を認めてもらうために家族で校長先生とお話をしたところ、校長先生は子供の将来の可能性を広げ、楽しい青春を送ってもらうことが学校が存在する理由だと語ってくれた。素晴らしい先生だと思った。

芸能活動で学校を休むことの承諾がおり、さらに変装による学校登校の許可まで頂けた。

ただし、学生の本文である勉強にしっかり励むこと、芸能活動が重ならない限り学校行事は必ず参加することが条件となった。



素晴らしい校長先生の学校だ!きっと俺にも夢のような学校生活が送れるに違いないなんて入学して二ヶ月くらいは希望を持ってはいたが

そんなに、うまいように世の中できてはいないらしい。今日も自称陽キャ女子軍団がお暇なことに絡んでくるのである。



「先生、文化祭の伴奏は古町君がいいと思いまーす」

「アハハ、たしかにそいつピアノが得意とか言ってました」

「やりたい人もいないしみんな賛成でいいってことだよねー?」



はあー。めんどくさい。







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