第3話 校内選抜戦

 「ポーラ、行けるね?」

 「はい、任せて下さい♪」

 

 ポーラと金太ペアが入場する。


 「えへへ、ミンミンちゃんだよ~♪」

 「ミンちゃん、頑張って♪」


 対戦相手のパンダ娘のミンミンと、そのマネージャーも入場する。


 パンダも立派なクマ娘だ。


 良く晴れた日曜日、校庭に設営された土俵にも似た特設リング。


 いよいよ足柄山カップに向けた校内選抜戦が始まった。


 寝技無し、リングアウトとスリップとワンダウンは一発負けで引き分け無し。


 一分以上膠着状態になったらどっちも負けと言う何処か相撲にも似たレギュレーションで試合は始まる。


 「ポーラちゃんか、ミンミンちゃん頑張る♪」

 「あざといですね、負けません!」

 「一回戦、始めっ!」


 リングインした二人が視線を交わし、レフリーが試合開始の合図を告げる。


 「拳法なら、ミンミンの所が本場なんだから!」


 黄色いカンフー着っぽい上着と黄色のスパッツを着たミンミン、体を開いて腰を落として掌を突き出す構えを取る。


 「ぶちかまします!」


 対する黒地に星空模様の勝負服姿のポーラも腰を落とすが、こちらは相撲のスタイルであった。


 「頑張れミンちゃん、君ならどんな攻撃も受け流せる!」

 「ポーラのパワーなら、行ける!」


 各々のパートナーを信じるマネージャー。


 リングの上の主役はクマ娘達、可能な限り彼女達をベストコンディションでリングに上げて彼女達が舞台に立ってからは応援するのが金太達マネージャーの仕事。


 「スキル発動、パンダロール♪」


 ミンミンが全身からパンダのオーラを出してジャンプ!


 空中で回転しながらポーラに突っ込む、構えからカウンターで倒すと見せかけての猛攻であった。


 「読んでましたよ!」


 だがポーラもその動きを呼んでいた、ぶちかますと見せかけて立ち上がりミンミンをキャッチしたポーラ。


 「リングアウトしてもらいます!」


 受け止めたミンミンの突進力を活かし、ポーラは綺麗なアーチを描いて体を反りミンミンをリングの外へと放り投げた!


 「アイエ~~~ッ!」

 「ミンちゃ~~~ん!」

 

 そのままゴロゴロと校庭の端まで転がるミンミンと彼女を追うマネージャー。


 「勝者、ポーラ!」

 「よっし、まずは一勝♪」

 「勝ちました♪」


 レフリーのジャッジが下り、喜ぶポーラと金太。


 「あわわ~! ごめんね~!」

 「ううん、怪我がなくて何よりだよ♪ 僕らは武器術大会に行こう♪」

 「うん、ミンミンの長棍さばきを見せるよ♪」


 敗れたミンミン達は即座に気持ちを切り替えて、別の大会での好成績を目指す事にして立ち去った。


 「さあ、次は僕達の勝負だよ小熊のマレーちゃん♪」

 「ムキ~ッ! 自分だって小柄なくせに!」


 次の試合はツキノワ対マレー、白いセーラー服風の勝負服の三日月模様。


 対するマレーは太陽の模様の勝負服、月と太陽の対決となった。


 「ツキノワ、調子に乗り過ぎちゃ駄目だ!」

 「マレーちゃん、挑発に乗らないで!」


 お互いのマネージャー達は、頭を痛めつつも応援する。


 試合開始の合図と共に両者突進っ!


 「喰らえ~っ!」


 ツキノワがパンチを繰り出す、だがマレーはニヤリと笑うとサイドに回り込む。


 「避けられたっ!」

 「行くよ、マレーの大回転っ!」


 小柄で身軽なマレーが、ツキノワの腕を鉄棒のように掴みグルリと回転。

 両足でツキノワの首を挟むと、全身を振り子のように揺らしてツキノワを倒した。


 「しまったっ!」

 「へっヘ~ん♪ ベトナム武術の技、ドンチャンだよ♪」

 「勝者、マレー!」


 見物していた者達は唖然となったが、マレーの勝利に拍手が上がった。


 「よっし、マレーちゃん流石♪」


 勝利に喜ぶマレーのマネージャー。


 「はあ、こっちはツキノワをどう慰めるかだな?」

 「う~っ! 悔しいよマネージャーッ!」

 「油断し過ぎ、相手の使った技を調べるぞ?」

 「え~っ! 慰めてよ~っ!」

 「反省しない子にはシャケ抜きだ!」

 「わかったよ、くすん」

 「嘘泣きは通じないからな?」


 ツキノワのマネージャーは、パートナーをいなしつつ去って行った。


 「次の相手は、アメリカさんですか?」

 「イエ~ス♪ 勝負よ、ポーラ♪」

 

 ポーラの次の相手は、アメリカグマのアメリカ。


 金髪碧眼に白い肌、大きな胸に大きい筋肉を星条旗ビキニと星条旗のスパッツで包んだまさにアメリカなクマ娘であった。


 ぶつかり合うポーラとアメリカ、肉がぶつかる音が響く。


 「お互い全力で行きましょう♪ スキル発動、バンプアップ♪」


 アメリカがスキルを発動し、さらに自分の筋肉を隆起させた。


 「……わかりました、スキル発動! ポーラーエクスプレス!」


 ポーラがスキルを発動させた瞬間、周囲の空気が冷たくなった。


 「ウップス! 私が寒気を感じた? 負けてたまるもんですか!」


 雄叫びを上げて自分を奮い立たせるアメリカ、だがその蛮勇にも負けずポーラはクールにシベリア超特急の如くぶちかましでぶつかった!


 「押し切れ、ポーラ!」

 「アメリカなら止められる!」

 

 金太とアメリカのマネージャーが同時に叫ぶ。


 ポーラとアメリカ、ぶつかり合うのは互いの肉体だけでなく体から出ているシロクマと金毛のアメリカグマのオーラも激しくぶつかり合う。


 膠着で二人共時間切れ敗北かと思われた時、ポーラがすっと力を抜いた。

 「ワッツ?」

 「今ですっ!」


 ポーラが力を抜いた時、自分も何故か力を抜いてしまったアメリカ。

 

 その隙を突いたポーラが、アメリカの顎へと肘を打ち上げた!


 その一撃を受けたアメリカはダウン。


 「勝者、ポーラ!」


 レフリーのジャッジが下り、ポーラが勝者となった。


 ダウンしたアメリカは気絶し、グラップルローダ―を使用した彼女のマネージャーにより医務室へと運ばれた。


 「お疲れ様、ポーラ」

 「金太さん、私は狡い子なんでしょうか?」

 「そんな事は無いよ、駆け引きも含めての勝負だから」

 

 かくして、ポーラは勝利を収めたがマレーのマネージャーが棄権を申し出た為団体戦の出場はなくなり個人戦のみポーラが代表として選抜された。

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