睡魔に負けてすいません

 丘から下りて町中に戻ってきたリアムとルォシーは当てもなく道を歩き続けていた。


 そして、リアムは手を叩きながら、


「うん! ということで、今日は夜景も楽しんだということで、ルォシーは帰る時間だね!」


「うん。今日はもう疲れちゃったな」


 ルォシーは両手で口を押さえながらあくびをし、


「ふぁぁ……ということだから、リアムのお家に泊まらせてほしいな? お願い!」


 ルォシーは顔の近くで両手を合わせる。


 リアムも手を顔付近で合わせながら、


「ダメ! タクシーの料金肩代わりするから、家に帰って欲しい! お願い!」


「……そう、ならもういい! 今日は野宿する!」


 ルォシーは体を反転させ、リアムから離れていく。


 リアムは戸惑いながら手をルォシーに向けて伸ばし、


「夜が明けるまでもっと一緒に居たい!」


「すぐまた会えるよ! おやすみ! またね!」


 ルォシーは振り返りながら軽く手を振り、あくびをしている姿を見せる。

 それから、小走りで人通りが多い町中を駆けていく。


 リアムは語気を強めて、


「好きだから、俺のところに戻ってきてくれ!」


「わたしもだよー!」


 ルォシーも大声を上げ、町角に姿を消していった。


 リアムはルォシーの後を追い、道を曲がる。


(うっ、しまった! 見失った!?)


 そして、そのまま走っていき、分かれ道の前で立ち止まり、


(ルォシーはどっちに行った!? うぅ、こっちかな?)


 リアムは真剣な表情を作りながら分かれた片道に全速力で進んでいき、慌ただしい足音を立てていった。

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