体を動かした後は

 リアムは硬い表情を作りながら施設から出てきた。


 また、ルォシーも背伸びをしながらあくびをし、


「ふぁ~あっ……。うーん、楽しかったね?」


「うん……。ちょっと疲れちゃったね」


「うん、疲れちゃった。……わたし、そろそろリアムのお家に泊まりたいなぁ?」


 リアムは一瞬表情を固めさせ、首を横に振り、


「ダメだって」


「もう。お願い! リアムのお家に泊まらせて?」


「俺が料金払うから、そろそろタクシーで家に帰ろう?」


 ルォシーは眉尻を下げて、目元に手を添えながら、


「そんなにわたしに帰って欲しいの? わたしのこと嫌いになったの? どうして?」


「うっ……嫌いではないから、そんな顔しないでくれ」


「そう? それじゃあ野宿して、また会いに来るね」


 リアムは慌ててルォシーの腕をつかみ、


「ダメダメダメ! 野宿するくらいなら、もっと俺と一緒に夜を過ごそうよ!」


「うーん、リアムのその気持ちは嬉しいよ? でもわたし、そろそろ寝たいかなぁ。ふあぁー」


 ルォシーは気だるそうに口を大きく開けて、片手で口を隠す。


 リアムは神妙な面持おももちでルォシーを見つめ続ける。


 そして、硬い笑みを浮かべながら、


「今日はルォシーともっと一緒に居たいんだ。お願いだよ、俺を一人にしないでよ」


「うーん……」


 ルォシーは眉尻を下げながら頬をかき、


「……しかたないなぁ。そんなにわたしと一緒に居たいの?」


「……うん」


「出会って初日だけど、攻めるのね。うん、いいよ。もう少しリアムと夜を過ごすよ」


「ありがとう。あ、じゃあルォシーが喜びそうなところに連れてってあげる! というか連れていきたい! いいかな?」


 ルォシーは背中で手を組みながら首を少しかしげて、


「いいけど、どこに連れてってくれるの?」


「今言うわけないでしょ。ついてからのお楽しみってやつ」


 ルォシーは微笑みつつも口を少し尖らせ、


「少しくらい教えてくれたっていいでしょう? まぁでも、わくわくするね。期待できそう!」


「し過ぎも良くないけどね」


 リアムは肩をすくめ、ルォシーと共に暗闇の中で鮮明に輝く町中を歩いていった。

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