食事の次は

 食事を終えたリアムとルォシーは居酒屋から退店し、町中の道をゆっくり歩いていく。


 そしてリアムは微笑みながら、


「うーん、今日は一緒に食事してくれてありがとう、楽しかったよ!」


「えっ、ほんと?」


「うん、これで借りは返されたよ! ということで、ルォシーはそろそろ家に帰る頃合いだね。俺が料金肩代わりするからタクシーで帰ってね」


「えぇー、イヤだよー。わたし、このままリアムのお家に泊まりたいなぁ?」


「ダメ! 帰るしか選択肢はないの!」


「えー、なんでー? 帰りたくないよー。リアムともっと一緒に居たい。……野宿してでもこの町に滞在しちゃおうかな?」


 リアムは目を見開きながら首と手を横に振り続け、


「あぁ、ダメダメ!」


「なんでよー?」


「野宿するくらいなら、俺ともっと一緒に夜を楽しもうよ!」


「うーん、それは嬉しいけどー。……泊めてはくれないの?」


「えっ、あぁ、うーん……」


 リアムは困った表情をしながら地面を見つめ続けた。


 ルォシーはため息をつき、柔らかい笑みを浮かべ、


「はぁ……。あっ、そうそう! わたしリアムの連絡先が知りたいんだけど、いいかな? 教えて欲しいなぁ?」


 リアムはたじろぎ、しばらく沈黙を貫いた。


 そして、首を横に振りながら、


「それは出来ない」


「えっ、どうして!?」


 リアムは難しい顔をしながら地面を睨みつる。


 そして、硬い笑みを作りながら肩をすくめ、


「……なんとなく」


「えっ!? もしかして、わたしのことそんなに好きじゃない?」


 リアムはしばらく苦しそうにしながら沈黙し続けた。


 それから、ゆっくり首を縦に振り、


「うん」


「……それなら、どうしてわたしと一緒に過ごしてくれているの?」


「えっと、うーん……」


 リアムは困った表情を浮かべながら黙り込んだ。


 ルォシーは悪意に満ちた笑みを浮かべて、


「……あっ、連絡先を交換してくれないなら、わたし野宿しようかなー?」


「ダメだって! 野宿はダメだって! する! するよ! 連絡先ね? 交換するって! だから野宿はしないで!」


 取り乱しながら語気を強めるリアム。


 ルォシーは明るい笑顔を作り、首からぶら下げているフォンダントペンダント型端末に触れる。

 すると、前方に長方形の映像が映し出された。


 リアムも同じように焦りながらフォンダントを操作していく。


 ルォシーは笑顔のまま頷き、


「やったー! リアムの連絡先手に入ったー! というわけで、わたしは野宿してきまぁす! また明日ねー!」


「ちょっとちょっと! 連絡先も交換したし、野宿は無しで!」


「だって宿もないし、リアムのお家にも泊めてくれないんでしょ? それなら野宿しか選択肢が残ってないよー」


 ルォシーは眉尻を下げ、乾いた笑みを浮かべる。


 リアムは頭を抱えながら辛そうな表情を浮かべ、


「俺はもっとルォシーと一緒に遊びたいんだ。だから付き合って欲しい。お願いだよ」


 ルォシーは夜空を眺めながら、


(本音が読めないなぁ。わたしのこと嫌いではなさそうな感じだけど。うーん、でも仲良くしたいって気持ちはよく伝わってくる。それを無視することはできないな)


 ルォシーはため息をつき、微笑みながら、


「うん。もうちょっと夜遊びしようかな。わたしもリアムと一緒にもっと遊びたい」


「えっ、本当に!? 良かったー」


「もう、そんなに不安ならもっと素直になればいいのに」


「え、あ、うん」


「それで、次はなにするの?」


「え、えっとぉ、そうだなぁ、電子バドミントンは俺やったことないし――」


「あ、それわたしやってみたい!」


「え!?」


「うん、その電子バドミントンやろう?」


「いや、俺やったことないんだよ」


「わたしがやりたいの! 連れてって?」


「……でも」


「大丈夫。わたしだってやったことないんだもん。一緒に頑張ろう、ね?」


「うーん……うん」


「ささ、リアム、案内してよ」


「あんまりやる気が出ないなぁ……」


 うなだれ気味のリアムの横をルォシーが歩きながら、二人はヒラチウヤの町中を進んでいった。

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