第41話 【SIDE:ミカゲ】手ごわすぎる相手
「ファルシアさん! 私、ミカゲさんとお友達になる事ができました……嬉しいです」
「あらあら。良かったわね。私とも、とっくにお友達よリリーちゃん」
そう言って、どさくさでリリーを抱きしめるファルシアをミカゲは止める事すらできなかった。
呆然とする。
一世一代の告白だと思ったのに、全く伝わっていなかったとは。
ファルシアはミカゲの事を見て、ふふんと笑う。
「私にも、まだチャンスがあるって事かしらね」
「ねえよ!」
「ファルシアさん、何のチャンスですか?」
「もっと、仲良くなりたいって事よ」
全く分かってなさそうだけれど、嬉しそうに笑うリリーの顔がまぶしい。
凄く凄く不満だけれど、今はとりあえずここでいいかと息を吐く。
「リリー」
呼びかけると、嬉しそうに駆け寄ってきた。そのリリーを抱き留め、ぐるぐると回した。
「わーなんですかこれー子供みたい! ふふふ」
それこそ子供みたいにリリーが笑っている。
「俺とは、もっとずっとずっと仲良くなろうな」
降ろすときに、そっと耳元でささやくように言うと、リリーは耳を押さえて、頬を赤くした。
ミカゲは満足して、もう一度リリーを抱きしめた。
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そうして、あの後アンジュはスラート伯爵にお返しした。
もちろん、ミカゲが持っている証拠をちらつかせて両親ともに見張るように伝えた。これでもうリリーの前に顔を出すことはないだろう。
スラート伯爵は、盗賊と繋がっている証拠をミカゲが持っている事を知らなかったようで、大層不快な顔をしていた。それでも、逆らってはいけない事はわかっているのか、態度は恭しくしていたけれど。
リリーは、ミカゲの家から店舗に通っている。
ファルシアは驚くべき速さで、店の守りを強化している。もしあの店を売りに出した場合は、付加価値がすごいだろう。
そして、リリーの店は来週開店となる。
どんな店になるのか、ミカゲもリリーも、とても楽しみにしている。
性能が高すぎるポーションに、大騒動になるのは割ともうすぐ。
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ここまでで本編は完結となります!
面白いと感じて頂けたら★やブックマークで応援頂けると嬉しいです。
この作品で、カクヨムコンで特別賞をいただくことができました。
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本当にありがとうございます。
また、『悪役令嬢は冷徹な師団長に何故か溺愛される』という作品を
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(こちらは投稿作品にはありません)
他にも完結済みの長編があるので、良ければ読んでみてください。
また、今年もカクコンに向けて新作を書いているところですので、
応援頂けると大変嬉しいです(∩´∀`@)⊃
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