俺は最強だったぁぁぁぁヽ(o´3`o)ノ
「うん、好きなだけだけいればいいよっ」
フィンはそう言って俺を自分の家に連れていった。
【もふもふ魔法】を教えたおばあちゃんは、俺を見てシワに埋もれた目を見開いて驚く。
実はかなり高度テクニックが必要な魔法らしい。
フィンが王宮一の魔法使いになるのも叶わぬ夢ではないのかもしれない。
ただ、彼女はヒヨコ達をその場に放置してしまったために、父親からはこっぴどく叱られていた。
ピヨピヨ達はきっと冒険に旅立ったのだ……。
「 なんであんな街中で召喚しようと思ったの? 」
とフィンに聞くと
「えっ? 思いつきと勢い。
あと学校行きたくなかったから現実逃避」
とあっけらかんと言っていてビビる。
少女の思いつきで異世界に召還されてしまった俺だが、フィンの家族は彼女の暴挙の被害を受けた俺には優しくて、すんなりと溶け込むことが出来た。
それからの異世界生活は色々あった。
生きてるってこんなに楽しかったか?
俺ってこんな人間だったか?
あんなに嫌だった人との関わり、学校独自のルールも理不尽な先生も今では楽しい。
そして俺は自分の本来の夢を諦めたくなくなった。
この世界が俺を感化したのだ。
一度友達にバカにされてから、口にも出さなくなり一切行動に移さなかった夢。
「フィン」
俺の声に初めて会ったときよりも大人びた彼女が振り向く。
「なぁに、マモル」
俺の顔を見ると彼女の顔には笑みが浮かぶ。
それは俺も同じ。
「 俺の夢、聞いてくれる? 」
今まで何度聞かれても頑なに答えなかった俺の意外なお願いに、彼女は驚いて目を見開いたがそれも一瞬のこと。
いつも近くで見ていた彼女は俺の気持ちを知っていたのかな?
「 マモルの夢はなぁに? 」
俺を勇気づける柔らかな声と笑み。
「俺の夢は元の世界で小説家になること!
そして、俺のお嫁さんになったフィンと、この世界を征服することだっ!」
俺たちの時は止まり、俺の背中に強く爽やかな風が吹き抜ける。
フィンは今までで一番の笑顔で涙を浮かべてうなづいた。
「わかったよ、マモル。
まずは元の世界ね。
待ってるから、浮気しちゃダメだよっ」
★☆★
今日に戻り、俺は改めて学校へ行く。
真っ青な空はもうバカみたいには見えない。
フィンの魔法はご都合主義過ぎるけど、そんなのもありだろう。
ゆるぎない夢と信念がある限り、俺達はどこにいても最強だ。
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