異世界の人の夢はでけぇぇぇぇ( 。゚Д゚。)!
ザイム先生の鑑定授業によりクラス全員が
「おまえら~そんなんじゃ、何にもなれねーぞ? 才能ってのは自分で見つけ出して
あきれた顔でそう言う悪魔ティーチャーは
「あっ、俺デートで忙しいから今日はこれで
お~わりっ」
と言って窓から飛び去った。
クラス全員が
(((なら、鑑定すんじゃねーよ! 悪魔ぁぁ)))
と思ったと思う。
異世界にも
☆☆☆
フィンは俺に学校を案内してくれた。
ゴラン以外はフィンは学校が好きらしく、説明する声ははずんでいる。
「 学校……楽しい? 」
「うん!
私は……できないこと沢山あるけど、それってこれから出来ることをいっぱい増やせるってことだからっ!
学べるのが嬉しい」
彼女の輝く目を見れば嘘はついていないことが分かる。
「フィンは前向きでいいね」
俺はそんな彼女の顔を
「私も学校嫌なときはあるよ? マモルも? 」
根本的に人間性が違うのに、彼女は
「俺は学校好きだったことなんてない」
視線にたえきれずに俺は本音を吐き捨てた。
「……なんで? 嫌なやつがいたの? 」
うつむく俺の顔をフィンは覗き込む。
「いや、俺が嫌いだったのは俺自身」
真剣な俺の表情にフィンは何かを
くぅっ
と子犬の鳴き声のようなフィンのお腹の音だった。自分のお昼ごはんを俺に分け与えたからお腹が空いたのだろう。
「あああー! マモル、うちに帰ろう!
あと……私は、今みたいに笑いをこらえてるマモルが好きだよっ! 」
その言葉の返事に俺は笑顔を返した。
街の外れの学校から街中を抜けて、草原を歩く。フィンの家は街の外にあるらしい。
「マモルは将来何になりたいの?」
気を取り直したフィンは俺に聞いてきた。
俺には昔からの夢がある。
でも口に出すのはためらわれた。
この世界では必要ないことかもしれないし。
答えない俺を不思議そうに見つめながら、フィンは明るく自身の夢を語り出す。
「 私はねぇ~、王宮で一番の魔法使いになって出世して、家族を楽させてあげるのっ!
そのあとは……王子さまと~って思ってたけど、マモルとでもいいかなぁ? 」
耳を赤くしながらフィンは俺の方をチラリと横目で見る。
なんか言いたげな目だが
ハッキリ言ってくれないと俺にはサッパリわからない。
「 俺と? 何? 」
首をかしげながら聞き返した俺に対し、フィンはほっぺたをふくらました。
「むぅ……そんなんだとモテないよ?
あっ、それでいいのか。それがいいのだ」
「 一緒に世界征服して、美味しいものたっくさん食べて、ず~っと幸せに暮らそうねっ! 」
【世界征服】は
でも、1つだけ聞きたい。
「 なぁ、フィン。
その夢が叶わなかったらどうするの? 」
真っ直ぐな彼女の気持ちを
傷つけるかもしれない。
怒るかもしれない。
この先一緒にいられなくなるかもしれない。
でも聞かずにはいられなかった。
一瞬真顔で考えたフィンの表情は、すぐ変わり口を開く。
「どうもしない!
死ぬまで諦めないかもしれないし、途中で他のことしたくなるかもしれない。
でも、私はいつも自分の気持ちに一番正直でいたいし、後悔はしたくないの」
フィンはムッシッシッと笑って、俺のほっぺたをぐいーんと伸ばした。
「 マモルは~、つっまんないこと聞くね?
やってみなきゃわかんないのに。
ワクワクしたくないの?
そんなビビりには、お仕置きだ~! 」
グニュンぐにゅんとほほ肉を揉みほぐされた俺は
彼女の手の動きに俺の心もやわらか~くなっていく。
「わひゅかっひゃよ(悪かったよ)
ひょ~ひゅひゅひて(もう許して)」
やっと解放してもらえたと思った頃には、俺たちはお腹を抱えて笑っていた。
こんなに心から笑うのはいつぶりだろうか?
「俺、ずっとここにいたいな……」
太陽はもう沈みかかり、空は青と赤がまざりあっている。
夢を口に出して言う。
たとえ才能がなくても、前に進もうとする努力を認めてもらえる。
そんな世界を俺はずっと望んでいた。
これが覚めてしまう夢でないことを願う。
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