【鑑定スキル】はこえぇぇぇぇ( ノД`)…
「 マモル、こっち! 」
フィンに手を引っ張られながら、俺は足早に歩いていた。
「ごめんね、時間ギリギリになっちゃったからちょっと急がなきゃ!
はぐれないようにちゃんと手握っててね? 」
俺たちは人?の
なんか人っぽくない方々がいたからじっくり見たかったけれど仕方がない。
遅刻はこちらでも良くないのだろう。
フィンの手を引く力は増し、俺達は走り始めた。
英語部という我が校では帰宅部という意味の部活に入っている俺は、すぐに息が上がる。
「はぁっ、はぁっ」
「あっ、マモルしんどい?
じゃあ……【ツヨツヨきんにくーん★】!」
チラッと後ろ振り向いたフィンは、俺に向かって指を向け宙にクルルんと円を描いた。
しゃるるる――キラリリーンッ
頭の中に変な
「これで大丈夫! さぁ、急ごう」
前を走るフィンの膝丈ワンピースのがゆれる。
今、俺が手を繋いでいる女の子はめちゃくちゃ可愛い。心臓が色んな意味で痛い。
――かなり早いが結論を述べよう。
この世界は控えめに言って最高だ。
★☆★
町の外れに位置する学校は、少し大きめの家のような建物だった。
俺たちが入ると、中にいた生徒達が
フィンの手がぎゅっと握られ、顔が強ばるのが見えた。
「おい、フィン。なんだそいつ」
大柄の男の子がこちらに向かって歩いてくると、周りの生徒も固まる。
言動や
考えるよりも前に俺はフィンの前に立って、男の進路をふさいだ。
「おい、てめぇどけよ!
俺はフィンに聞いてんだよっ」
何か言い返したいが、何も言葉が出てこない。
そもそも、俺は常に【
俺よりも横にも縦にも頭ひとつ分は大きい彼を、じっと見つめることしか出来ない。
「 どけって言ってんだろ? 」
俺の背中に隠れたフィンの手は
彼女が学校に行きたくなかった理由は間違いなくこの男だろう。
「 おい、てめーフィンの何だよ? 」
ジロジロと
嫌な汗が止まらない。
ガラッ!
「ふわぁ~ねむっ。授業始めんぞ~! ほらっ、早く席につけ~」
緊張感はやってきた教師らしき人物? によって、ゆるりと壊された。
「んっ? お~い、ゴラン。
フィンのこと好きだからっていじめんな~」
「な、な、な……違いますっ! ザイム先生」
あっ……これ
俺はゴランに心から同情した。
「フィ、フィンのやつが知らないやつを学校に連れてきてたから、じ、事情を聞こうとしただけですからっ」
ゴランは口ごもりながらも、
そんな彼の心情は、頭から角をはやし
「違わなくないだろ? だってこの前――」
「 ワワワワワワわわーーーーッ! 」
ゴランは必死に悪魔の声をかき消した。
力の限り叫んだ彼の息は上がっている。
「 うわ~。もう、うるさいなぁ。
フィン! その子なにー? 」
教師の声にフィンは飛び上がるように返事する。
「彼はマモルと言って、私の大事な友達です。彼もここで学びたいんです」
学びたいなんて言ってはいないが、【大事な友達】という言葉が嬉しくて俺は口を出さない。
「そっか、りょ~か~い。
んじゃ、マモルの席はフィンの横な。
ゴラン、お前はうるさいから後ろの席に移動」
不器用ないじめっこの顔は固まった。
しれっと
「今日はみんなの能力を鑑定してみよ~。
自分をよく知るってのは大事なことだからな~」
ザイム先生の言葉に俺の胸は高鳴った。
よくあるじゃないか?
異世界にいったら平凡な人間でもチート並みに能力が上がるって。
俺は……どうなる?
――鑑定結果は言いたくない。
ちなみにザイム先生の【ズバッと言っちゃう鑑定】による能力値は数値ではなかった。
なんていうか彼なりの言葉による能力表現だった。
ひどい。
本当に。
マジで。いやほんとマジで!!
俺はゴランに同情した。
【知能】 15+7=22 ってわかる?
【体力】無駄にあるな。ムダに。
【魔法】ミジンコなら倒せるんじゃない?
【恋愛】フィンの顔見てみろ? ドンマイ!
【将来性】 先生は応援してるゾ★
授業の最後に
「これは現時点での能力だからな~。
頑張り次第で変わるから!
また鑑定して欲しいやつは言ってくれな」
思いのほか
鑑定スキルこえぇぇぇぇ( ノД`)……
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