異世界ってすげぇぇぇ(((o(*゚∀゚*)o)))

 もふもふライトと共に俺は異世界にやってきた。


 ここがなぜ異世界だとわかるかというと、空を飛んでいる人がいたり、頭に猫耳がついている人がいたりするからだ。


 ふよふよと動くにゃんこなしっぽに思わず、手を伸ばして触りたい衝動しょうどうおさえる。


 俺がいる場所はどうやら街の一角いっかくらしい。


「ねぇ……ねぇ、お~い……ぉ~ぃ」


 見なれぬ建物と通り過ぎる変わった人々に目を取られた俺は、隣から聞こえる小さな声には気づかない。


「ぐすっ、ねぇ……」


 弱々しくシャツを引っ張られて、ようやくすぐ側に誰かがいることに気づく。


 彼女は俺のことを見上げていた。


 背丈は俺の肩ほどしかない。

 エメラルド色の瞳は涙でうるんでいる。


「 へっ? 」


 ろくに女子と話したことのない俺にとってこの距離は近すぎる。


 制服のシャツが、引っ張られ過ぎてズボンから出てきたんだが……


 日の光に金髪がキラキラしてキレイだなぁ。


 ゆる~くウェーブして、いかにも柔らかそうな髪…… なんか甘い匂いもする。


 んっ? ……なんでそんなに俺のこと見つめるの?


「ねぇ……、あなたはんでしょ? なんでな~んにも言ってくれないのぉ?! 」


 にらむように見つめられても、急展開過ぎてコミュ障の俺にはハードルが高いんだが?


「え~っと、う~んと……

『来てくれた』? 」


 とりあえず彼女が言った言葉が気になったので聞き返してみる。


「そう! あなたは私と一緒に学校に行くためにどこかから『来てくれた』んでしょ?

 おばあちゃんに教えてくれた、【もふもふ魔法】が本当に使えると思ってなかったけど……私は涙が出るくらい嬉しかったよ~」


 ぽかんと口を開けた俺の顔はさぞマヌケ面だったろう。


「 学校……? 」


 俺が言えたのはそれだけ。

 俺の周りを黄色でふかふかしたヒヨコ達がピヨピヨ歩いているのにも気がつかない。


「そう、学校。

 私、学校が苦手で……でもあなたと一緒になら行ける気がするの」


 そう言うと彼女は白い歯を見せて笑った。


「 私、フィン。あなたの名前を教えて? 」


 俺は異世界に召還しょうかんされてしまったようだ。


 なぜ異世界まで来て『学校』に行かねばならぬのか……


「マモルって言うの? ステキな名前ねっ!」


 些細ささいな不満は、彼女の笑顔を見ていたらどうでもよくなった。


 異世界の学校って……面白そうじゃね?


 俺はここで一体何を学ぶのだろう。

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