強敵の正体と新武器
「はぁぁー、よく寝たー、って……ここは何処だ?」
俺が目を開け周りも見渡してみても誰もいなく、あるのは数個のベットだけだった。
俺はなんでここにいる? その前に、何をしていたんだっけ?
えっと、確か緊急クエストを受けて、森に入り、子供を救出したのはいいけど、そこから…
「ああっ、そうだ! オーガみたいなやつと戦ったんだった!」
そうだそうだ、その後あいつを倒して、ギルドに報告し、そのまま気を失ったんだっけ。
よく勝てたな…俺、あんな強い奴と戦ったことも無かったし、もしあの子を守るという出来事がなければ、俺は諦めて死んでいたかもしれない。
ってか、EXスキルが使えなかったら俺死んでたな。ほんとラッキーだった。
それにしても挑戦者ってスキルまじ何なんだろう? ステータスが倍以上になってたし、あの硬いオーガを簡単に切れるなんて…、一回ステータスを見てみるか
「ステー…」
ステータスと言おうとして瞬間、この部屋にあるドアが開いた。
「おう! バン、起きてるようだな。調子はどうだ?」
空いたドアから、ガリッシュともう一人男の人が入ってきた。
「ガリッシュさん。さっき目が覚めたばっかりです。調子はお腹がすいてるぐらいで、問題は無いです。」
「そうかそうか、それならよかった。お前は丸一日寝てたんだぜ? あと、何箇所か骨折してたから、この町一番のヒーラーに直してもらった。一応、何もないと思うがそこにいる男に体見てもらえ」
そう言うと、男の人がバンの体を何かのスキルで調べ始めた。
「はい、ありがとうございます。あと、骨折を直した時の金額っていくらでしょうか? 手持ちのお金で間に合わなかったらいつか必ず払いますんで、少しだけ待ってくれないでしょうか?」
バンは真剣な表情でガリッシュにそう言うと
「がっはっは! そんくらいダイジョブだ! お前さんが気にすることじゃねぇよ、お前が倒したモンスターがあのまま森で暴れてたらもっと被害は甚大だったはずだ。それで帳消しさ。」
俺の背中を叩きながら、大きな声で笑いだし、そう言い放った。
「分かりました。助かります。それにしてもあのモンスターは何だったんですか?
あの辺にはレッサーラビットかゴブリンしか出ないはずなのに、あんな強いモンスターが現れるなんて…、俺死んだと思いましたよ? 本当に」
「そうだな、お前さんにも聞く権利はあるな。この町の住民を怖がらせたくないから連絡しなかったんだが、あのモンスターの名前は、ゴブリンジャイアントと呼ばれるゴブリンの変異個体だ。普通、変異個体はゴブリンキングと呼ばれる王個体が近くにいるか、それに連なる王の一族が関わってなくちゃ、変異しないんだがな。それに、最近のルーゼンの森のモンスターの出現数が減少してたって件はあいつのせいだな。多分、あいつが近くにいたせいであそこの地域にいたあいつより弱いモンスターが逃げちまったんだろう」
そう言うと、ガリッシュは一層真剣な顔をして、また話始めた。
「ここから本題だ。ルーゼンの森でゴブリンの変異個体が発見されたということは、ルーゼンの森の奥でゴブリンの王個体が出現した可能性が高い。俺はすぐさま王都の冒険者ギルド本部に連絡し、指示を仰いだ。遅くても一週間以内には王都から高ランクパーティが派遣されてくるはずだ。そのパーティが問題を解決するか異常がないかを確かめるまではルーゼンの森には入れないから気をつけろって話だ。お前に話しとかなくちゃ、知らずに入っていきそうだからな。まぁ、こんだけさ、じゃあ、もう少しここにいるなり帰るなり好きにしろ。体には問題なさそうだしな。あと、お前さんにプレゼントがある。そのプレゼントの中身なんだが…俺からは内緒にしておこう。多分、もうすぐお前さんのもとに使いの人がやってくるはずだから楽しみにしておけ。それじゃあな」
そう最後まで話すと、ガリッシュはニヤニヤしながら男の人と部屋から出ていった。
「俺にプレゼントだって? なんだろう? それに、王個体に王都の高ランクパーティか…、なんかいっぱいあったな。……、体には問題なさそうだし、宿に帰るか」
ガリッシュからのプレゼントに興味は持ったが、後でわかるだろうと思い、ベットから出て、少し体を動かし、体に問題がないことを確認すると、バンは部屋を後にした。
その後は、宿に戻りゆっくりしていると、ふと気になったことを考えていた。
「そーいえば俺、ステータスどうなったんだろう? あんな強敵と戦ったんだし、少しは強くなったと思うけど。」
「ステータス」
そう呟きながら、私はステータス画面を開いた。
名前:バン・アルフレッド
レベル:15
体力 :51/51
魔力 :24/24
物理攻撃力:29+3
魔法攻撃力:18
物理防御力:30+6
魔法防御力:20
速さ :32
補正値:20
幸運 :25
スキル:強打、逃走、プロテクト、直感(レベル1)
EXスキル:挑戦者
装備:鉄の剣(劣化)、皮の胸当て(劣化)、皮のズボン(劣化)
おおっ、なんかレベルが結構上がった。ほんと強敵だったんだなあいつ。前は8レべルだったのに、今は15だもんな。普通はこんな一気にレベル上がんないからな。
これなら、暗黒域で戦っている勇者の子孫や、高位の冒険者のレベルが高いのにも納得だわ。あいつらは毎回死と隣り合わせだもんな。
あとはステータスもすごい伸びたな。物理攻撃力もここまで上がれば、この辺にいるモンスターは一発で仕留められるだろうし、この物理防御力だったら、攻撃も並大抵の攻撃だったら通さないだろう。
そして、個人的に注目してほしいのは補正値だ! 補正値はいろいろなことに有効だから、冒険者なら上げておきたいステータス第1位なんだが、一番上がりずらいステータスもこの補正値ってやつなんだ。
まず、レベルが上がってもこの補正値ってやつは上がらないからな。上位の冒険者でも補正値だけは低いってのはよくある話だな。
だが、今回俺は、この補正値を大幅に上げることが出来た。理由は分からんが、強敵と戦っていけば自ずと上がっていくんじゃないだろうか? いや、俺はもうこりごりだぞ? あんな死闘を繰り広げるのはな!
他には新しいスキル、直感が増えたな。これなら知ってるスキルだな。このスキルは直感的にモンスターの気配を感じたり、罠の気配を感じ取ったりと中々便利なスキルだ。しかし、高位の隠密系スキルを使っているモンスターや人にはそれなりの直感スキルのレベルが高くないと、感じ取れないから過信しすぎると危険だな。
そんなこんなでスキルやステータスを確認していると
「バンさーん、バンさーん、少しいいですか?」
部屋の外からバンを呼ぶ声が掛けられた。
「はい? なんでしょう?」
そう返事し、扉を開けると、そこにはピンク色の髪を一つに結んだ、胸の強調がすさまじいが、顔はおっとりとした女性がいた。
「バンさんですよね? はじめまして、ガリオン武器店の店主の娘のアイリです。あなたのために武器をとガリッシュさんからご指名頂いたので、作らせてもらうのですが、今お時間大丈夫ですか?」
「私に武器を? と言うよりガリオン武器店ですか? はい、全然大丈夫ですよ」
私に武器を作るって話も驚きだが、それ以上にガリオン武具店に依頼をしたというのが驚きだ。
ガリオン武器店はこの町で一番武器の質がいいと言われている店で、一つの注文で金貨が数枚は吹き飛ぶ。それも安い武器でだ。
そんなの駆け出しの冒険者じゃ手が出るもんじゃないのだが、ガリッシュさん…何か企んでんじゃないのか? 後で金を払えって言われても嫌だよ俺、ジャイアントゴブリン戦で武器がボロボロになったから、変えようと思ってたからうれしいけどさ。
「では、店までご一緒にお願いします。では、行きましょう!」
そう言われ、俺はアイリさんと呼ばれる女性の後を追い、宿を後にした。
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