新武器の強さは如何に その2

 いつもならここで終了して宿に帰るんだが、今日の目的である、新武器、バーンフレイムを振っていこうと思う。


「まずは、バーンフレイムを装備してっと。それにしてもカッコいいなこの剣。」

 何度見ても惚れ惚れする形と色。そして、軽いのに手にはしっかりとフィットするこの感じ。前の剣とは大違いだ。そー言えば、この剣のステータス確認してないな。俺は鑑定が使えないから、詳細なデータは見れないけど、装備して、自分のステータスがどのくらい上昇したかは分かるから、それで判断する。


「ステータス」

 そう呟くと


 

 名前:バン・アルフレッド


 レベル:15

 体力 :51/51

 魔力 :24/24

 物理攻撃力:29+20

 魔法攻撃力:18+10

 物理防御力:30+6

 魔法防御力:20

 速さ :32

 補正値:20

 幸運 :25

 

 スキル:強打、逃走、プロテクト、直感(レベル1)

 EXスキル:挑戦者

 装備:バーンフレイム、皮の胸当て(劣化)、皮のズボン(劣化)



 目を疑うようなステータスが表示されていた。


「なんだこれ!!」

 前の剣は物理攻撃力に+5だったのに対し、バーンフレイムは+20。それに加えて魔法攻撃力にも+10されている。ほんと破格の性能である。


「というかこれ、マルチソードだったんだ。」

 マルチソードとは、物理攻撃力と魔法攻撃力の両方のステータスを上昇させる武器で、とても高価な物ばかりである。


「前の武器の4倍の物理攻撃力、それに加えて魔法攻撃力も上がってるし。ほんといいものを俺に作ってくれたんだな。」

 そう言って、俺はバーンフレイムを振り始める。


「前の武器よりも軽いのに威力はデカい。それに加えて、とても振りやすい。まるで、俺の事を知り尽くして作られた。そんな武器に思える。」

 バンの言っていることはあながち間違いではない。ガリッシュはバンの癖や何やらをいろいろアイリのお父さんに話しており、アイリの父親はそこまでを考慮して作られた剣だからだ。むしろ、バンのために作られた武器と言ってもいいぐらいで、他の人が使ってもバンよりも使いやすいと感じる人はいないであろう。


 バンはゆっくりと丁寧にいつも通りの素振りをなぞるように振っていく。

 そしてバンは、1時間に及ぶ素振りを突然やめ、突然叫んだ。


「なんだよこの武器! 見た目だけじゃなく性能もバケモンじゃねぇかよ! 本当にありがとう! アイリのお父さん!」

 俺は叫ばずにはいられなかった。


「なんだよこれ、振ったらわかるが本当に俺の事を知り尽くした人が作ったんじゃねぇかってぐらいに振りやすい、ホント最高だわ…」

 そう言うと、バンは自分の世界に没頭していった…




~数時間後~


「おいバン! またお前こんな所に居やがった。ってか、今何時だと思ってやがる。6時だぞ。ったく、お前の気持ちは分からんでも無いが…」

 そう言いかけると、バンが突然


「ガリッシュさん? ガリッシュさんじゃないですか!? 聞いてくださいよ! この剣ホント最高なんです! この剣のこのフォルムもそうですし、振った時の感触が………」

 バンは一方的にガリッシュにバーンフレイムの凄さを早口で話し始めた。


「だぁー、分かった分かった。聞いてやるからもう少しゆっくり喋れ。それじゃ聞こえるもんも聞こえん」

 ガリッシュはあきれたようにバンの方を見ていたが、口の端だけは上がっていた。


「……なんですよ。ほんと凄いんですこの剣は。それにしてもアイリのお父さん凄いですね。こんな剣を作れるなんて」


「あぁ、あいつはすげぇ、なんでこの町にいるか分からんほどにな。あいつなら王都でも全然やっていけるのにな。だが、あれでこそ俺の親友だ!」

 ガリッシュはうれしそうな顔でそう話した。


「それにしてもガリッシュさんどうしたんです? こんなところに来て?」


「そうだそうだ忘れてた。俺がここに来たのはお前に会うためにだ。どうせお前ならここにいるだろうって思ったからな。ほら、これをお前にって嬢ちゃんが届けに来てくれた」

 ガリッシュは先ほどから手に持っていた大きな包みをバンへと手渡した。


「なんですかこれ? 大きさの割には少し重いですし…」


「いいから開けてみろ。お前さんが今一番欲しい奴だと思うぜ」


「なんだろう…、これは!」

 バンは大きな包みを綺麗に破り、中身を広げた。中には紫色と黒のが入り混じった装備が出てきた。


「それはお前さんが倒したゴブリンジャイアントの皮で作った装備らしい。嬢ちゃんがゴブリンジャイアントの余りの素材を使って作ってくれたらしいぞ。良かったな。」


「そうか…、だからあの時俺の体の採寸をしてたのか。一回着てみていいですか?」


「おうっ、着てみろ!」


 バンは今着ている装備を脱いでゴブジャイ装備を装備してみる。


「うん。着やすい。それに想像よりも重くないし動きやすい。気に入りました。」


「そうか、そりゃよかったな。」


 そしてバンは、この装備のステータスが気になり


「ステータス」



 名前:バン・アルフレッド


 レベル:15

 体力 :51/51

 魔力 :24/24

 物理攻撃力:29+20

 魔法攻撃力:18+10

 物理防御力:30+20

 魔法防御力:20+4

 速さ :32

 補正値:20

 幸運 :25

 

 スキル:強打、逃走、プロテクト、直感(レベル1)

 EXスキル:挑戦者

 装備:バーンフレイム、ゴブリンジャイアントの胸当て、ゴブリンジャイアントのズボン



 「うん、今までのやつより全然強い」

 俺はステータスを見てそう呟いた。

 前の装備は劣化前で物理防御力が+10だったのに対し、ゴブジャイ装備は+20であった。

 しかも、魔法防御力も+4入っており、さらに強化された。


「これでお前さんもCランク冒険者になれるかもな。今回の事件でお前さんの評価がすごい上がったから、そう遠からずランクアップするだろう。これからも頑張れよ」

 そう言い残し、ガリッシュは訓練場を後にした。


 それから俺は、新しいスキルであるプロテクトを使ってみて、効果を確かめた後、冒険者ギルドを後にした。


 *スキル:プロテクト;自分の体の表面に魔力の層を作り、物理攻撃、魔法攻撃共に一定のダメージを無効にする。強い攻撃には多くの魔力を消費するので、コスパは非常に悪い。

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