新武器の強さは如何に その1

昨日はいろいろあって宿に帰ってきてから寝ちゃったんだけど、昨日は濃密な一日だった。俺が生きてきて一番良かった日って言っても過言じゃない。ほんと、ガリッシュさんにだけは頭が上がらないよ。


 そんなこんなで今日も一日頑張っていこうと思う。

 と思ってたんだけど、ルーゼンの森は異常事態のせいで立ち入り禁止だし、新武器を披露する機会はまだ先になりそうだ。でも、新武器は使いたい! その結果、訪れた場所は…



「やっぱここになっちゃうよな…」

 俺が訪れた場所はそう、冒険者ギルドの訓練場だ


「って言っても、いるのはいつも通り俺だけなんだよな」

 ほんとにこの訓練場には人がいない。今は、お昼前で時間にしたら午前10時ってところだろう。

 ルーゼンの町の冒険者のほとんどはルーゼンの森で生計を立てているから、ルーゼン森が封鎖になった今、訓練場にも少しぐらいは人がいるかなと思ったけど、いないってほんとこの町にいる冒険者は何やってるんだろう? 


 まぁ、大体何やってるかわかるけどね。

 冒険者ってもんはまず、狩りには毎日いかない。毎日行ってるやつはただの戦闘好きか、アホのどちらかだ。で、俺は一日生きるのにも必至だったから毎日狩りに出かけていた。ってことは俺はアホってことか。


 その話は置いておいて、冒険者ってもんは1日必死に金を稼いで、2~3日は休みの期間を空けるんだ。俺もパーティを組んでいればそんなこともできたのかもしれないが、あいにく俺はパーティを組んでいない。


 1人でモンスター倒して、持ち運びするのも俺一人だぜ? レッサーラビットを数体狩ったら重さ数キロ。そんな状態でモンスターに出くわしたら荷物を降ろして戦うことになる。


 もし、モンスターがいるのに気付かないで背後から攻撃されたらどうなると思う? よけるのに荷物が邪魔で避けられないなんてことになる。数匹ならそんなことも無いだろうが、それ以上持つともうアウトだよな。それに、重いし。


 こんなことにならないように俺はレッサーラビットを狩るのは1日に5匹までと決めていた。1匹大体3銅貨で売れるから、この数狩れば一日を生きていけるし、ほんの少しだが装備のためのお金を貯めることが出来る。それに、5匹狩れない日もちょくちょくあるからな。だから、ソロでやっていくのはお勧めしない。ほんとは俺もパーティを組みたいんだが、前にちょっとパーティのいざこざがあってな…、でまぁ、俺はソロでやっている。


 なに? 狩り行かなくても金はダイジョブなんかって? よく聞いてくれた。なんとゴブリンジャイアントを討伐した報奨金が出たんで、そのおかげで、1週間は余裕で食っていけるお金が手に入ったんだ。昨日、ガリッシュさんに会いに行ったときに受け取ったんだけど、その時ガリッシュさん何って言ってたと思う?


「お前、明日からルーゼンの森が1週間ほど封鎖になるけど金ダイジョブか?」


「いぇ、それが明日明後日ぐらいならダイジョブですけど、1週間ってなるときついです」


「そう言うと思った。ほら、お前が倒したゴブリンジャイアントの報奨金、銀貨で15枚ある。それで当分の間過ごせ。」



 って言って、報奨金用意しといてくれたんだよ。これからはガリッシュさんに足向けて寝れないよ。ほんといい人だよな。あの人。顔は怖いけど。っと、こんな訳で1週間は余裕で生きていけるって訳だ。


 話は長くなったが、俺は訓練場に来ていた。


 日課のストレッチから入ると、そこからは軽く訓練場内を走り、剣の素振りに入る。ここで素振りをするときは自分の剣じゃなくて、訓練場備え付けの剣を振る。それも、自分が持ってる剣よりも少し重い奴な。軽い奴だと戦闘するときに違和感があってな。ここで重めの剣を振って、いざ戦闘が始まった時に自分の剣を振るといつもより軽く感じて調子がいいんだ。


 この素振りは縦からの振り下ろし、両斜めの振り落としなど、戦闘を想定してそれぞれ自分が納得のいくまで振っていることが多い。これだけで数時間は振っている。


 そうこうしているうちにお昼の時間になるから、冒険者ギルド備え付けの食堂へ行き、レッサーラビットの唐揚げを食うのが最近の楽しみになっている。このレッサーラビットの肉は油が少なく、味がしつこくない。それなのに味はしっかりとついており、ビールと合わせて飲んだらこれはもう最高なんだ! さすがに昼からビールは飲まないぞ? そんな金は無いしな。でも、報奨金が出たから今度飲んでみようかな。

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