Chapter2 第7話 我流闘術
その人の技は、素早く、力強く、そして何よりも美しかった。あの時、盗賊に斬られそうになった私を庇い、一瞬で9人の盗賊を薙ぎ倒した。
「近くにもう盗賊はいない。安心して家に帰れ。俺はもう帰るからな。」
優愛「あ…あの…!」
咄嗟に、その人を呼び止める。でも、何も考えずに止めたと言うわけではない。私は、今の一瞬で色々な決意をしたのだ。
優愛「私に…その戦い方教えてください…!」
その人は、無言で私の目を見つめた。私は、何をしていいのかわからず、その人の目を見つめ返す。
私がこう言ったのにもわけがある。さっきの盗賊を倒したときに使った技、ダイヤモンドやルビーなどといった宝石を模した弾幕で相手を圧倒する。その美しさは、どこに行っても類を見ない程の美しさ。私は、そんなこの戦い方に一目惚れした。
今まで、私は戦い方が確定していない。剣、斧、槌、槍、杖、指輪。様々なものを試したけど、未だ自分に合ったもの、極めたいと思ったものはなかった。だけど、これを見たとき、極めてみたいと思えた。
…薄いかも知れないけど、これが理由。
「…わかった。自己流だから粗いところもあるが、その目なら構わん。色々と話をしたいから、家まで送らせてくれ。」
優愛「…はい。」
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優愛「…ということなんだけど。」
琴音「唐突やな。まあ私は構わないぞ?お前がこれでやっていきたいっていうなら止めはしないさ。
晴瑠人「それなんだが、気質の管理やらこの闘術使うには色々と面倒でな。1から鍛練するとなるとこっちに住んでもらわないと色々と不都合なんだ。それさえ許可してくれれば、こちらは大丈夫だ。」
琴音「なるほど、気質の管理からやるのなら、かなりしっかりとした術だと見受ける。優愛がいいなら、私は止めない。」
優愛「私はどうなろうとも習う」
琴音「…とのことだ。晴瑠人、うちの子を頼めるか?」
晴瑠人「…了解した。責任を持って一人前に育ててやる。…とかいいつつ、そこまで心配する必要はないけどな…」
琴音「…どういうことだ?」
晴瑠人「いや、俺の家ちょうど隣なんだわ、こういうのって終わるまで会えないのが暗黙の了解みたいなところあるけど、ほぼ毎日会うことになる。」
琴音「なんだ、それじゃこんなはりつめた空気にする意味はないだろ。」
あの二人は何やってるんだか…まあ、優愛ちゃんの戦法が確立するのはいいこと。こっちは琴音ちゃんと心愛ちゃんの育成に集中できる。三人とも頑張り屋だから、間違った方向に育てなければ古代の英雄隊に並ぶのだって夢じゃない。
まあ、そのためにもさっさと《記憶》を思い出さないとだけど。
晴瑠人「…服とか用意して来いよ。部屋ならひとつ余ってるからそこを使え。お前が準備している間にこちらは部屋の片付けを済ませておく。」
と、晴瑠人くんは私達の家を後にした。
琴音「…じゃ、優愛、準備するぞ。」
優愛「あ、うんありがと。」
…あの二人、狼子ちゃんや真心くんからの連絡はしばらくない。黒の厄災…カシミヤくんだったかな、それと今は一緒にいるみたいだし多分無事。ということは何もないかどこかで拠点でも作ってるのかな。
とにかく、ここから数ヶ月、数年は鍛練に尽力しても良さそうだ。
そう思いながらコミュニケーター(連絡用のパソコンみたいなもの。連絡しかできないけど、慣れると便利。)を開くと、一通のメールが届いていた。
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