Chapter 2 第3話 災、再度。

真心「んで、ここの情報はこれで十分か?」


狼子「まあ、集めきれたと思います。ここも平和そうで何より。」


真心「人間絡みの問題が出てきてくれると思わぬ収穫があったりするから楽なんだがな。」


狼子「楽ではないでしょ…」


というのも、さいきんは俺らにも《記憶》が見られるようになった。あの感じ、やはりこころと会ったときに話した強制弱体化転生の影響で間違いないだろう。


…そして、その強制弱体化転生が、人間の技術により生み出された未知なる魔法であること、俺らが人間ではなく半界、魔界、神界に住まう通称心恵人みけいにんだということまで判明。人間界第三世界で会ったスプラウト達に俺らは利用されていた、ということが推測される。


狼子「そういえば、最近記憶は見られるようになったのに一向に前世のことについては出てきませんね。」


真心「こころの口調、語彙力、性格の変わり方からしてあいつは前世の《記憶》の何らかの影響を受けてるだろうが…」


狼子「多分無意識のうちに前世のこころさんが出てきているのでは?」


真心「そう考えるのが一番自然か。ま、今はこんなこと考えても仕方ない。とりあえず近くにいる明らかに見たことのあるヤバそうな反応をどうにかするとしようか。」


狼子「そうですね…とにかく近くにいる明らかに見たことのあるヤバそうな反応をどうにか…ってこれ…!」


黒の厄災「なんだ。俺がこの世界にいて悪いか。半人の俺が。」


半人…そして剣を出さず、警戒もしない素振りから敵対的ではないと見た。


レティシア「セットのポテトみたいな存在なので私もいます。」


真心「なんだいきなり出てきて。お前らあの時戦線に参加してなかったか?」


黒の厄災「いきなり人間のやつらがヤバイ量の軍を進行させて来るわけだからそりゃあ焦るだろうよ。俺は前世の《記憶》も力もほぼ失っている。」


黒の厄災「まあ、そんなことはさておき…未だ名を名乗っていなかったな。俺はカシミアという。名字を…《記憶》の中に失ってしまった。古代にいたという情報は《記憶》から引き出したが…まあ、今は知らん。んで、お前らはあれだろ?に仕えていた従者トリオの二人だろ?そっくりなんだよ。」


真心「従者トリオ…《記憶》…!」


ケモミミ女性「女王!無謀です!」


騎士男性「退け!感情を沈めるんだ!」


…これは…新たな…前世…?《記憶》…


カシミア「おや、また新たな《記憶》を見ることができたか?そりゃあ良い仕事をしたもんだ。」


狼子「真心さん…?」


真心「その通り、俺らは従者トリオのうちの二人だ。トリオのうち、弱い方のな。」


レティシア「ピンポイントで思い出したみたいですね。」


真心「それより…何の用だ。」


カシミア「パーティでも組もうかと提案しに来た。新しく起こったことを除けば俺はこの世界について詳しい。お前らは賢人アリシアと戦龍フレアを探しているんだろう?その二人が見つかってまた古代の時代のように戦ってくれたら一気に勝機が見える。」


真心「そうか。まあ、お互い心恵人である以上敵対する意味はない。そちらがいいならばむしろこっちから組みたいくらいだが。」


カシミア「その答えを待っていた。」


と、俺らは手を握る。昨日の敵は今日の友。逆か?まあいい。あれだけの力を持つこの二人が仲間になるというならば、これほど心強いことはない。


レティシア「あれ、心恵の女王の分裂体さんはいないんですか?」


狼子「こころさんのことですか?あの方なら別の場所で仲間でもつくってると思いますよ。」


レティシア「なるほど。」


カシミア「んで、早速だがこの方向に少し行ったところに…」


その情報を聞き、俺は足を急がせた。

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