始まり 鬼ヶ島脱出作戦
「
「も、桃太郎!?」
家事をしていた鬼子ちゃんの手がピタッと止まる。
「あ、あの桃太郎がついにこっちまでに来るの!?」
「そうなんだ! 今、桃太郎の部下が大鬼さまに電報を持ってきて!」
「そ、そんなぁ」
鬼子ちゃんが、薬指にはめた指輪をもう片方の手でぎゅっと握りしめた。
大鬼さまのおかげで買えた大きなダイヤ入りの指輪だった。
「お、俺! 絶対に鬼子ちゃんのことは守るから!」
「あ、あなた」
鬼子ちゃんの震えている肩をしっかりと抱きしめる。
お、俺はどうなってもいい!
鬼子ちゃんのことだけは何としてでも守らないと!
「……鬼子ちゃん。鬼ヶ島から一緒に逃げよう」
「で、でも……どうやって……?」
「鬼ヶ島の南側に船着き場があるんだ! 船も何隻かあったかと思う! ちょっと見てくるよ!」
「ま、待って! 私も一緒に行くわ!」
「鬼子ちゃん……」
「私たちはもう一蓮托生よ……。私のことを置いてかないで……」
「……分かったよ、鬼子ちゃん! 一緒に船着き場に行ってみよう!」
鬼子ちゃんの手を強く握りしめ、俺たちは船着き場に向かった。
※※※
「そ、そんなぁ……」
鬼子ちゃんと船着き場に着くと、愕然とする光景が広がっていた。
「ふ、船が全部破壊されている!?」
凄惨な現場だった。
全ての船が木っ端みじんに破壊されているのだ!
「あなたどうしましょう……」
鬼子ちゃんが心配そうに俺に声をかけてきた。
俺は思わず次の言葉を出していた。
1 「だ、誰がこんなことを……」
2 「違う脱出方法を考えないと……」
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