末路

「はーい、お疲れ様です。先日、戦隊ヒーローの廃止を訴えていた■■氏ですが、なんと児童虐待で逮捕されてしまうというまたざまぁなニュースがありまして……」

 俺は時事系の配信者の動画であのピンクの末路を知った。なんと自分の子供を自宅に監禁し学校にも行かせていなかったというとんでもないことが発覚していた。当然逮捕されたのだが、オウサマンの制作とスポンサーも実は水面下で業務妨害や名誉棄損の訴えを着々と進めており、そっちでも提訴されることとなった。

「で、その子供を助けたのはトライキマイラというストリーマー集団なんですけど……、なんと感謝状が二枚目なんだとか。その一人のユウヤさんは『人として当たり前のことをしただけだが、受け取り報じられることで世の中には困っている人を助けようとする人もいることを伝えたかった』と話していて、かっこいいよね」

 地上波での扱いはどうか知らないが、あのピンクは相当な反感を買っていたのかあちこちで取り上げられ、逮捕に喜びの声があった。

「先輩が相手にしていたの、相当ヤバイ奴でしたよ」

 俺は今、部室にいる。相変わらず先輩はレトロゲームにお熱だ。先輩の持ってる折り畳みのゲーム機、俺も持ってたかな。

「すまない、今■■■■とやりあっている!」

「あの、唯一神とやりあうゲームってなんすか……」

 おおよそお外で口にしていいと思えないセリフなんだが?

「しゃああああっ! 二度と来るなハゲぇええ!」

「信仰している人も多いだろう神をフルボッコにした挙句罵倒するのは先輩くらいですよ」

「いやな、戦争難易度だから下げられるんだがそれしたら負けた気がして」

 先輩にとっては現実のクレーマーなんかよりもゲームの神の方が厄介なのかもしれない。

「さて、次はどんな謎を追いかけようかな」

 先輩はまだ都市伝説を追いかける気なのか。謎の追及さえできれば動機やきっかけは問わないみたいだ。

「そういえば他にも幽霊部員がいるって話なんですけど、たまに来たりするんですか?」

「ん? 何を言ってるんだい?」

 俺はふと、先輩から前に聞いた幽霊部員のことを思い出す。せっかく部活にいるのなら顔の一つ合わせたいところだが。先輩は虚空を見つめる。

「今日も来てるじゃないか……ああ、そういえば普通幽霊は見えないのか」

「え? 幽霊部員ってそういう?」

 先輩は冗談か本当かわからないことを言い出す。ぶっちゃけ先輩のことだから本当に幽霊の部員がいても全くのジョークでも不思議がない。

「どうも霊感なくて……」

「恥じることはない。一般的に霊感があるとされる人は霊の影響を受けやすい、霊耐性がない者だからな。ん? どうした……そうか、君は霊障への耐性があるのか」

 先輩はいつもの調子だがどう見ても霊と話している。ひょっとして俺はとんでもない部活に入ったのではなかろうか。

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ミステリアスな先輩に目を付けられています 級長 @kyuutyou00

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