第17話就職活動を始めたが、どうしてこうなった!?
鈴奈との初デートも無事に終わった。
初デートは、お嬢様相手ということもあり、かなり財布の中身に気合いを入れていたが、意外と金は掛からなかった。
2人で、大体1万弱といったところか。
鈴奈は、意外にもお嬢様然としておらず、所謂一般的な物を好むからだろうか。
ファーストフードでも大喜びだったし。
そう言えば、以前勤めていた会社だが、倒産は免れて、存続するらしい。
なんでも、四菱グループが買収して、事業を継続する事になったそうだ。
まぁ、悪いのは大久保、今井、社長の3人だけだし、それ以外の社員は、とばっちりなのだから、それも良いと思う。
これを期に、是非とも体制改善してもらえればと思う。
俺に出ていた停職などの処分も、全て取り消しとなり、会社に戻って来て欲しいと言われたが、結局退職する事にした。
正直、あの会社では色々ありすぎて、疲れてしまったし、新しい所で心機一転図りたいと思ったのだ。
幸い貯金もあるし、依願退職なので、退職金も出るらしい。
暫くは無収入でも、生活できるだろう。
早速、転職サイトに登録し、良さげな会社には、エントリーシートを送ってみた。
これで、何処かに入社出来れば良いのだが…。
すると、銀行から、入金通知のメールが届いたので、確認すると、退職した会社から、退職金が入金された様だった。
まぁ、2〜3年しか働いていない会社なので、大した金額では無いと思うが、それにしても、対応が早い。
早速スマホから、ネットバンキングで金額を確認したところ、やたら0の数が多い…。
なんだこれ?一、十、百、千、万……。
は?10億…?いやいや、いくらなんでも、見間違いでしょ…?
軽く生涯年収の3倍以上なんだが……。
え?これ、何かの間違いだよね?
慌てて、退職した会社に電話をかける。
「お電話ありがとうございます!四菱パーソナル精密でございます!」
「ああ、田中さん?退職した川上ですけど。」
「川上さん?今回は大変だったねぇ。んで、どうしたの?」
「実は、退職金が振り込まれたんですが、どうも金額がおかしくて…、総務経理の重松部長をお願いできます?」
「ん?重松部長?ちょっと待ってねぇ。」
暫し保留音が流れ、重松部長が出る。
「お電話変わりました。重松です。」
「ああ、重松部長?川上です。」
重松部長は、この会社で唯一話しの通じる経営側の人で、俺も在職中は凄く世話になった人だ。
「おお!川上君かぁ!どないしたん?やっぱり、会社辞めるの止めるんか?ウチは大歓迎やで?」
「いえ、そうではなくて…。実は振り込まれた退職金の事で、確認したい事があって…」
俺の退職金が10億振り込まれている事を伝えた。
「ああ、それな。間違いじゃないで。」
「は?だって、俺、2〜3年しか勤めてませんよ?生涯年収の3倍以上って、明らかにおかしいでしょ!?」
「わかる!わかるでぇ、川上君。実はそれ、四菱本部からの指示やねん。」
「四菱からの?」
「そ。君には、今回の件で、ホンマ迷惑かけたさかい、元々ウチからも色付けるつもりやったんやけど、四菱から金額の指示がきてな。しかもそれ、所得税やら、市県民税全てこっちで納付済みやさかい、10億丸々君のもんや。」
俺は、唖然とした。
だって、いきなり10億だ。
しかも、税金諸々納付済みで、丸々俺の金らしい。
ぶっちゃけ、残りの人生遊んで暮らせる金額だ。
「まぁ、いきなり大金を得た訳やけど、宝くじ当たった人が、身持ちを崩すって、よく聞くやん?川上君も、気ぃつけよ?」
「は、はい…。判りました…。」
「ほなな。あ、復職はいつでも大歓迎やさかい、いつでも言ってきてな。」
電話を切ってから、暫くは呆然としていた。
だってそうだろう?
いきなりの億万長者だ。
しかも、一生遊んで暮らせる金額だ。
確かに身持ちを崩してしまいそうなので、とりあえず就職活動は続けていこうと思う。
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