第9話さて、どうしますかねぇ。下

車は郊外に向かい、所謂高級住宅街へ向かった。

一つ一つの家が大きく、庭も広い。

手入れとか大変そうだと、考えていると、飛び抜けてデカい門の家に車が入って行く。

門から、母家が見えないなんて、どんだけ庭が広いのか。

5分程そのまま車が進み、やっと玄関の前で車が停まる。

運転手さんがドアを開けてくれたので、車から

降りると、赤い絨毯の両脇にズラーっとメイドさんが並んでおり、俺にお辞儀をしながら、「川上様、ようこそ、いらっしゃいませ。」と全員一糸乱れず言っていた。

あー、こーゆーの、アニメ中だけだと思っていたよ。

現実で見ると、マジビビるわ。

セバスチャンの案内で、玄関前て来ると、岩崎さんの両親と思われる男女が立っていた。


「はじめまして、川上君。私は、岩崎 奈織人、鈴奈の父親だ。こちらは妻の美鈴だ。今日は急な誘いにも関わらず、よく来てくれたね。歓迎するよ。」

奈織人さんは、自己紹介と奥さんを紹介してくれる。


「はじめまして、川上さん。鈴奈の母、美鈴です。私からも歓迎致しますわ。」

美鈴さんからも、自己紹介を受ける。


「はじめまして。川上 裕二といいます。この度は、ご招待頂きまして、ありがとうございます。」

お互いの自己紹介が終わったところで、奈織人さんは、「立ち話もなんだから、後は食事でもしながら、ゆっくり話そう。」


俺は、奈織人さんの案内で、屋敷の食堂に案内される。

そこは、広く20畳ぐらいあるだろうか。

部屋の中央には、長テーブルがあった。

お誕生日席には、奈織人さんが座り、その左側に美鈴さんと、鈴奈さんが座った。

配膳の為か、数人のメイドさんが、美鈴さん達の背後、壁際に立っている。

俺は、奈織人さんの右隣へ案内され、着席すると、奈織人さん達岩崎家の面々が、がおもむろに立ち上がり、「食事の前に、今回は、当家の鈴奈が、大変なご迷惑をおかけいたしました。鈴奈の親として、深くお詫び致します。」と言って、深く俺に頭を下げる。

同時に美鈴さんや鈴奈さん、メイドさん達全員が、深く頭を下げている。

俺は、慌てて、「頭を上げて下さい!!鈴奈さんのけがも大した事無かったし、俺の車も何処も壊れていません。」俺は体の前で、両手を振る。


「しかし、免許停止処分を受けたと聞いているが…。仕事や再就職に影響があるのでは?」奈織人さんは、更に申し訳無さそうに、言ってくる。


俺は、とにかく頭を上げる様に言いながら、「免停30日なんて、講習1日で終わりです!それに、どんな形であれ、事故を起こしたのです。免許を持つものとして、処分は受けなくてはなりません。だから、もう気にしないで下さい。」


奈織人さんは、ようやく頭を上げて、「ありがとう、川上君。その様な覚悟を持ったドライバーは、中々いないだろう。君は懐の広い男なんだな。気に入ったよ。」

…なんか知らんが、奈織人さんに気に入られたらしい。

お金持ちの考えている事は、良く分からん。


その後、和やかに食事は進み、皆んなでデザートを食べながら、まったりしていると、奈織人さんから、「ところで式はいつにする?」と爆弾発言!

俺は、飲んでいたコーヒーが、変なところに入り、咽せてしまった。

「ゴホッ!な、何言っているんですか!?」


「いや…。鈴奈からは、裕二君と結婚すると聞いているが、違ったかね?」奈織人さんは、不思議そうな顔をしている。

俺は呆れながら、「普通、こんな何処の馬の骨とも分からない男と結婚したいなんて、反対しませんか?」


奈織人さんは、ポカンとしながら、「いや?鈴奈が選んだ男だ。そこは信頼している。まぁ、若干早い気もしないでもないが、若い2人の恋は、燃え上がってしまったのだろ?」とニヤリと笑う。


か、軽い。

四菱の総帥って、こんなに軽いの?

俺は、額を右手で覆いながら、チラッと鈴奈さんを見る。

ほんのり頬を染めながら、俺をチラチラ見ている。

あ、相変わらず可愛いって、違う!!

俺は、「大体、俺は一般庶民ですよ?鈴奈さんに釣り合いが取れないと思うのですが……。」


「そんな事は無い。妻の美鈴も、元は一般庶民だ。それに今迄家族以外の男に、殆ど口もきけす、目も合わせられなった鈴奈が、それは嬉しそうに、君の事を話してきた。」

そうなのか…。家族に俺のことをそんな風に…。


「他に意中の女性がいるのかね?」

「いえ、いません。」

「ウチの娘、可愛いだろう?」

「ええ、とても可愛いと思います。」

…なんだこの質問。外堀を埋められている気がする。


「もしかして、川上君のタイプじゃ無いのかね?」

「お父上にこんな事言うのはどうかと思いますが……正直、どストライクです。」

これを聞いた、美鈴さんと鈴奈さんは「「きゃー!」」と喜んでいる。


「どうだろう?鈴奈と結婚を前提に付き合ってみては?なに、すぐに結婚しろとは言わない。お互い合わないと思ったら、別れても構わないから。」

なんだ、その怪しいマルチの勧誘みたいなセリフ。

まぁ、なんだ。

そこまで言うなら、付き合ってみるか。

「判りました。では、鈴奈さんと結婚を前提にお付き合いさせていただきます。」


「そうか!!なら私の事は、お義父さんと呼んでくれて構わない。何なら親父やパパでも好きに読んでくれ!いや〜、私は息子と、酒を酌み交わすのが夢だったんだ!」

「裕二さん、私の事も、お義母さんと読んでね。勿論、ママでも良いわよ?」

とにかく、岩崎家としては、俺と鈴奈さんが結婚する事に、賛成らしい。


奈織人さんが手招きするので、耳を貸すと、「とりあえず、高校を卒業する迄は、避妊してくれれば、好きにS○Xして良いから」と言われた。


こうして、俺と鈴奈さんは、結婚を前提に付き合う事になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る