第5話お嬢様の本気?上

岩崎さんの見舞いから帰宅すると、早速彼女から、退院が明日の15時に決まったとメッセージが来ていた。

俺は『了解〜。んじゃ、14時半頃にそっちに行くよ。』と返信した。


まだ会社からは連絡は来ていない。

正式には、まだ俺はあのブラックな会社に所属している為、職安に行くわけにはいかない。

クソッ!クビにするなら、サッサとしやがれ!!


大久保や今井が、今回の事を大事にして、損害賠償請求とかしてきたら、マジでパワハラと、労基法違反で、労働基準監督署と、裁判所に訴えてやる!!

なんたってあの会社、サビ残は当たり前、ひどい時には、勝手にタイムカード切るは、有給を消化した事にして出社させるなんて事は当たり前。

ノルマをクリアできなきゃ、長時間会議室に拘束し、人格否定。

特に大久保は、暴力まで振るいやがる。


だから、精神を病んで辞めていく人間が多い。

俺も入社直後からやられたので、ネットで対策の情報を集め、いざという時の為に、証拠を集めた。


とりあえず、今日は転職支援サイトに登録、ネットに履歴書と職務経歴書をアップした。

しかし、毎回思うが、ネットに履歴書や職務経歴書をアップしているのに、更に手書きの物を要求するのかね?

無駄な労力だと思ってしまう。


翌日、俺は約束通り、14時半に岩崎の病院に到着、事前に纏めていた荷物の運び出しを手伝った。(荷物は車で家に運ぶそうだ)


すると岩崎さんが、「今日のお礼に、川上さん、夕食をご一緒しませんか?」と誘われてたが、今日の所は遠慮させてもらった。


岩崎さんは不満そうだったが、友達と言ってもまだ知り合ったばかりだし、お嬢様の女子高生が喜ぶ店なんて、分からない。

俺にもリサーチの時間は必要だ。


しかし、それならせめてお茶だけでもと、食い下がられたので、病院近くにある、喫茶店に入る事にした。

そこは、個人経営の昔ながらの喫茶店の様で、店内に置かれている、アンティークなどがいい雰囲気を出していた。

俺は、ブレンドを頼み、岩崎さんは紅茶を頼んだ。

暫くすると、注文した商品が運ばれてきた。

一口コーヒーを口に含めば、芳醇な香りと、程よい酸味と苦味が口いっぱいに広がる。

するとマスターが、サービスと言って、スコーンを出してくれた。


2人でお茶を楽しんでいたら、岩崎さんが悲痛な顔をして、ゴメンなさいと謝ってきた。

俺は、突然の謝罪に驚き理由を尋ねると、岩崎さんは、「実は昨日、川上さんが、暫く会社をお休みになると聞いて、気になったので調べさせていただきました。お休みというより、私のせいで停職なんですよね?」

俺は驚き、川上さんに尋ねた。

「え?俺が話したのって、Li○eのID交換した時だよね?こんなに早く調べられるものなの?」

「そうですね。普通は無理でしょうね。国内の中小企業の内部情報程度であれば、恐らく数時間から、半日程度ので調べる事が可能です。一部上場企業なら、1日程度、国家機密レベルでも、数日で可能です。」

俺は正直驚きを隠せなかった。


鈴奈さんは、涙を零しながら、「引きましたよね…?」と俺に聞いてくる。


俺は、彼女の正体を不気味に思い、正直に答えた。

「あ、う、うん。若干ね。君は一体何者なんだ?」

「四菱グループはご存知でしょう?」

「ああ、日本で知らない人間ないないと思うよ。」

「創始者の名前は?」

「う〜ん、知らないなぁ。」

「旧四菱財閥創始者な名前は、岩崎 藤五郎。私のひいお爺様になります。戦後に旧財閥は解体されましたが、現在でも四菱グループ総帥は、代々岩崎本家の直系が継いでいます。私は現四菱グループ総帥、岩崎 奈織人の一人娘です。」

「君が?あの四菱の総帥の娘!?」

俺は今日一番驚いた。

もう、目ん玉飛び出るくらい。


俺は、そんなお嬢様の事を撥ねたのか!(いや、実際は接触して無いんだけど…。)

つか、俺、消されない?大丈夫??

え?そんな深窓の令嬢を、こんな場末の喫茶店とか連れて来て良かったのか?(マスター場末とか言ってゴメン!)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る