愛されたいだけ -6-
「そっか、
「あ、
「ん、あぁ
「ちは〜」
「…………。」
幸田さんもこの店の常連客だ。三人で
「幸田さんって毎日来てますよね」
「三人が来てる日に偶然来てるだけだよ」
なんて言いながら幸田さんはカウンター席に座る。アイコンタクトをしただけで、マスターはドリンクを作り始めた。言葉なしに飲みたい物を
「あ、そろそろ……帰らなきゃ……」
時計を見た
「えー、まだ語り足りないのに」
「あんたねぇ、杏には
「おお、それは困る困る」
「ご、ごめんね和希くん、また今度もっと詳しく聞かせてね」
申し訳なさそうにお
「逃げたわね」
「ん?どういうこと?」
「いいや、女には秘密の千や万もあるの」
「一つや二つじゃなくて?そんなにあんの?女怖ぇ〜」
逃げた、という表現を使ったにも関わらず、
そういえば夕日に照らされて明里以外気がつかなかったが、店を出る寸前の杏の
結局明里と和希はカフェに残り、そのまま夕食を取ることにした。
ここの料理はメイン、サラダ、ごはん、汁物のバランスがしっかりとしており、三食全てここで食べれば、食生活に
一体このマスターがまだ隠している武器は、どのくらいの数で、どのくらいの強さを持っているのか。底が見えない。
食べ終わり、さぁ今から帰ろうかとした瞬間。
「–––––––––––––––っっっっっ!」
「ぁ…………!!!」
不意に訪れた重圧に、二人は体を地面に
それだけではなく、全身を走る
見れば、窓の外が
「く、【
この感じ、多分すぐ近くで発現したのだろうか。
「あ、ああぁあんたが、はー話していたからぁあ」
「くっ、あぁえぁあー」
「二人とも、隠れていなさい。子供には少々刺激が強すぎるみたいです」
「ま、マスター……っ」
落ち着き払った様子で二人を奥のスタッフルームに案内したマスター。そのままマスターもその部屋に
「マスター、俺は杏ちゃんが安全に帰れたかどうか、確認してきます」
「はい、任せました幸田さん」
あれからいくら時間が経ったとはいえ、女の子一人でまだ帰路の途中にいたら大変なことだ。
幸田さんはマスターからの言葉を待たず、地面を強く蹴って真っ赤に染まる外の世界に踏み出した––––––!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます