第67話 VS魔王
「魔法の方も成長しているのかね?」
魔王は手のひらを向ける。
手のひらに黒い魔力が集まり、黒い弾丸が撃たれる。
「闇魔法……か? それなら」
僕も光の弾丸で応戦する。
弾丸は僕と魔王の間でぶつかり合い、爆発する。
部屋内が熱気と煙に包まれる。
「くくく、魔王に魔法で勝てると思うなよ!」
黒い弾丸の勢いが上がり、押し込まれる。
防ぎきれない……!
数発の弾丸が僕に向かい飛んでくる。
「くっ! 避けられない!」
「まだまだだな、木本君」
『ビュッ!』
僕の前で黒い弾丸が真っ二つに。
「ア、アスカさん!」
「私だって攻撃を防ぐくらいできるぞ!」
僕の前で弾丸を斬り落とすアスカさん。
「さすがです……頼りになります」
「ほう、その女なかなかやるな。勇者のハーレム要員ではないようだな」
「誰がハーレム要員よ!」
魔王の言葉に怒りながらサクラちゃんも斬りかかる。
良い攻撃だったが、魔王は斬撃を避ける。
「サ、サクラ! 相手は魔王だぞ……」
妹の攻撃に焦るアスカさん。
「うむ、そっちの女も大したものだ。私が回復している間にだいぶ人間も成長したようだな。だが……」
魔王の体が黒いオーラで満ちていく。魔力が上がっていくのが分かる。
「二人とも! 下がって!」
「ハァッ!」
魔王はさっきまでの弾丸とは比べ物にならないような炎を放つ。
「クソッ! 光の壁!」
分厚い光の壁が僕らの前に現れる。
黒い炎を光の壁が飲み込む。
防御魔法の力も前より格段に上がっているようだ。
「くくく、すごいぞ。私の闇の炎も防ぐか!」
久しぶりの戦いに上機嫌の魔王は魔王が宙に手に広げる。
黒い棒状の光が現れ、剣に形を変える。
「ウォーミングアップは終わりのようだ。行くぞ!」
魔王はその黒い剣剣を握りしめ、襲い掛かる。
「速い!」
たくさんのモンスターと戦ってきたが、トップレベルのスピードで向かって来る。
かろうじで魔王が振り下ろす剣を受け止める。
「ぐっ!」
受け止めた剣越しに僕の両手が痺れる。さすが魔王、剣技もパワーもとんでもない。
こうなったらしかたない。
「温存してる暇はなさそうだな……」
「温存……だと?」
魔王の表情が変わる。
僕は全身に魔力を集める。
「……やる気だな。木本君」
「ええ……あれは……魔人化です!」
僕の体が光り出す。
「これは……魔人化!? まさか人間ごときが?」
信じられないものを見るように驚く魔王。
「終わりだ、魔王!」
僕は地面を蹴り、飛び出す。
驚いたままの表情の魔王に体に剣を突き立てる。
瞬きをしているくらいの時間だ。
「ぐわあぁぁぁあ!」
うめき声をあげる魔王。いきなり剣が刺さり驚いただろう。ここで決める!
「うおぉぉぉお!」
魔人化した僕は高速で魔王に剣を振るう。
魔王は丸まり、防行体制をとっている。
「く、くそ……人間にここまでやられるとは……」
魔王の皮膚は鉄のように固く、なかなか刃が刺さらないが青い血が飛び散る。
「いけるぞ……!」
遠くから見守るアスカさんたちは勝利を期待している。
剣じゃ魔王に致命傷は与えられそうもないな……僕は両手に魔力を貯める。
「くらえ!」
魔力を凝縮した光の弾丸を魔王に打ち込む。
強大な爆発音が鳴り、ダンジョンが揺れる。
僕史上、最大の攻撃だろう。
魔王は吹き飛ばされ、地面に横たわる。
「勝った……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます