第二章 勇者キモオタ
第47話 遭遇
★第二章開始です! 毎日投稿しますのでよろしくお願いいたします(^^)
日本近海、海底深くのダンジョン。
異世界での傷を負った魔王は数十年前、この世界に逃げてきてここで傷を癒している。
傷を治すために魔力が必要な魔王はこの世界にモンスターと魔力を持った人間を作った。
生物から少しづつ魔力を吸収し傷を癒している。
魔王の元に黒い伝書鳩が飛んでくる。
ネクロマンサーが死に際に飛ばした伝書鳩だ。
『……ほう、ネクロマンサーがやられたか……人間にそこまでやれる戦士がいるのか?
そこまで心配する必要はないだろうが……偵察くらいしておくか……』
魔王の影が人型に起き上がり、魔王そっくりな分身が出来上がる。
『ククク、分身でも半分くらいの力はあるかな?』
◆
僕の名前は木本オタフク、通称キモオタ。
高校3年生のちょっと太めの男の子だ。
冒険者に憧れた少年時代、レベル0と知り悲しんだ学生時代、
そして今、僕はレベル50、世界でも有数の冒険者になった。
相棒の精霊ガイドにだけレベルアップの案内が見える。
この世界でレベルアップ出来るのは精霊と契約できた僕だけだ。
魔王の側近、ネクロマンサーを倒した今、次の相手は魔王だ。
異世界での傷の回復ももうじき癒える頃だろう。
サクラちゃんの呪いが解けて数日後、
僕とガイドはまたレベルアップの日々だ。
僕のレベルは50。ハッキリ言って僕より上の冒険者は少ないだろう。
「ふーっ、ガイド、少し休憩しようか」
「えぇ? また休憩ですか!? キモオタくん、ちょっとたるんでませんか? またずっとたるんでますけどね……」
ガイドは僕の腹を見る。失礼な精霊だ。
「ふふふ、僕はネクロマンサーを倒した最強の冒険者だよ?」
「キモオタ君……調子に乗り始めましたね。次は魔王との戦いなんですよ?」
「……魔王ね……」
正直なところ、ネクロマンサーを倒して少し気が抜けていた。
「あっ! なんかネクロマンサーを倒してもう終わった気でいますね!?」
「うっ!?」
ガイドのはお見通しだ。
「いや……そういうわけじゃないんだけどさ」
ネクロマンサーを倒すのはアスカさんの妹で僕の憧れのアイドルのサクラちゃんを救うので必死だった。
しかし、魔王となると少し話が大きくなりすぎて現実感がなかった。
「もう! 魔王を倒さないとこの世界はお終いですよ! 私の世界だって魔王にボロボロにされたんですから……」
「……そうだったね」
魔王は数十年前、ガイドの世界を滅ぼそうとして負ったダメージをこの世界で癒している。
「でも、魔王を撃退するなんてガイドの世界の精霊は強いな」
「うーん……でも強かった精霊はその魔王との戦いで亡くなってしまいました……今の精霊では魔王はとても倒せませんよ」
「そんなに小さい体でみんな強かったんだね」
「私たち精霊も戦士は体を大きく出来たりしますね」
「そうなんだ。ガイドは?」
「私は戦士じゃないので元の世界でもこのままの大きさですよ」
「ほう、手のひらサイズね」
「だから私は戦争のときは直接戦いには参加していませんでした。後方支援や、負傷者の治療なんかがメインでしたね」
「そうなんだね……ん? それ何年前……?」
「えーっと……30年くらい前ですね? この世界にダンジョンが現れたころです」
「そ、そうか……」
ガイド……君はいったい何歳なんだい!?!?
「まあでも、僕が魔王もサクッと倒してみせるよ」
「……心配ですね」
『ピカッ』
その時、僕らのそばに黒い光が近づく。
「な、なんだ!?」
その光が人型に姿を変える。
「あ……あぁ……」
ガイドが顔を青白くする。
「なんだこれは?」
「ま、魔王です……」
「えっ!?」
目の前に姿を現した魔王。
背丈は僕と大して変わらない。全身を黒いローブに包んでいる男だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます