第19話少女は侵入禁止

「このピンク色のくし、なんで兄さんが持ってたんや」

 半永久的小学6年生は手のひらにくしを乗せたまま、素足をぶらぶらと揺らせた。


「僕も、まっちいちゃんがどこからこの部屋に入って来たのか気になるんだけど」

「畳の隙間からや」


 以前、気が付いたら入鹿コロネが僕のとなりで寝ていたということがあった。その時も「畳の隙間から入ってきた」と言っていたが魔女や魔法少女の業界では人間に侵入経路を質問されたら「畳の隙間からと答えよ」というマニュアルでもあるのだろう。


「このくしは、組織から魔女に一律支給されるものや。コロネちゃんは返納したはずだし、兄さんが持ってたのはどういうことなんか、聞かせてくれるか?」

 返答しないとただでは済まさない、と少女の眼差しが語っていた。


「見てしまったからには報告書つけて組織の担当者に届けなあかんのや。人間の知らんところであたしら、そういう教育受けてんねん」

「なら答えるけど、サキュバスのヒサメさんから貰った。ヒサメさん知ってる?」


「見たことないけど、兄さんが……あ、名前」

「僕?古代ハルマ。ハルマでいいよ」

「そや、ハルマさんやったな。ハルマさんが搾精されてるサキュバスがこのくしを持ってた?」


「そんなに不審なことなの?元々彼女のものでないなら、誰かから巻き上げたんじゃないかな」

「巻き上げたって、この県内でコロネちゃん以外の魔女がサキュバスに負けたってことになるけど、そんな話は聞いたこともないな」

「僕も彼女の私生活を全部把握してるわけじゃないし、分からないよ」

「なら、ヒサメさんとやらに直接……あっ」


 僕もまっちいちゃんこと魔法少女マチルダ同様声をひそめた。


 どっ、どっ、どっ、どっ、


 父さんが階段を登ってくる足音。夜中に女子小学6年生とふたりっきりなんて見られたら犯罪者扱いされる。


「まっちいちゃん、毛布かぶって」

「了解」

 身長140㎝、体重30㎏程度の体だ。あまり目立たないが、お約束で首筋にカナブンが張り付き、ゴキブリと勘違いした彼女が飛び出してくるかも。


「ハルマ、ちょっといいか」

 ノックをしてから父さんは遠慮がちにドアを開けた。


「母さんから聞いたんだが、カノジョが出来たそうだな」

「うん」

 ヒサメさんも入鹿コロネもカノジョというものではないが、適当に返事。


「オンナノコ任せはよくない。特に中学生だと言い出せんだろ」

 父さんが僕の手に黒いパッケージの箱を握らせた。なんだこれ。

「今度からは自分で買うんだぞ。じゃあおやすみ」


 父さんはそそくさと僕の部屋を出て、ドアをそっと閉めて階段を降りて行った。


「まっちいちゃん、もう出てきていいよ」

「ふひゃ?」

 こっちが緊張ではりつめた時をやり過ごしていたというのに、寝てやがった。


「堪忍な、こっちも明日早いところを……な、なにを手にしとんねん」

 顔色を変えて飛び起き、ベッドの上でハーフパンツを両手で引っ張り上げる魔法少女6年生。

 パッケージをよく見れば「新製品」「薄さ0.01ミリ」などの文字列が。これは、あのゴム製品じゃないか。


「変換魔法解いたるから、入れるんは止めてんか」

「あれってまだ有効なの?今普通なんだけど」

「大きくなったらまたチトセアメになるで。解除魔法、だらだらくちびる猫の舌~」

 少女は呪文らしきものを唱えつつ、両手をぱっと僕の股間に向けた。


 どくん、と股間に衝撃が走り硬くなった。瞬時に僕は理解した。

「まっちい、いやマチルダ?呪文間違えたろ」

「すまん、『だらだらいちびる』やった。やりなお......」

「やり直さなくていい。僕をオモチャにするな」

 僕はパジャマの下とパンツを脱ぎ捨てた。


 困惑顔の女子小学生の右横に座り、僕はパッケージを開けた。


「どうやってつけるんだろう」

「このくし、無条件で返すんで、それだけはぁ」

 僕は彼女からピンク色のくしを受け取り、枕のそばに置き、そして細い肩をベッドの上に抑え込んだ。


「つけ方が分からないんだ」

 少女のハーフパンツの隙間に僕の硬くなったものが入り、先端が木綿の下着を突っついた。足が細いな......絵柄犯罪者だけど、相手は何回小学校6年生をやったのか分からない万年魔法少女だ、無茶しちゃえ。


「見本みしたるから、手をのけて、な?」

 

 僕が手を離すと魔法少女6年生は「はぁ」と安堵のためいきをついた。おや、歯を矯正してない。すきっ歯気味だな。歯ブラシのCMに出てきそうな美少女なのにギャップ萌え。


「魔法少女はエッチを組織から禁止されてるんだよね。でも避妊したらよくない?」

「そういう問題でもないんや」


 戸惑いながらも少女は僕にゴムを被せた。

「どこでそんなこと覚えたの?」

「魔法少女合同訓練で......エッチもあかんけど子供が子供作ったらあかん、て叱られながら」


 ハーフパンツと下着を脱がせ、シャツの下から手を突っ込み、胸を触る。


「乱暴にせんといて」

 構わず膝を左右に押し広げ、見せてもらうと穴が小さい。ずしっと罪悪感。

「骨盤、壊れてしまうで」


 涙目で、両手を合わせて懇願される。しかしメスガキは分からせないと。


「ハルマさん、ダメよ」

 聞き覚えのある声。見上げれば紺色の競泳用水着姿の入鹿コロネ。ゴーグルを首から下げている。


「どこからはいっ......」

「畳の隙間から。まっちいさん、いや、マチルダさん。子供のカラダで夜這いですか?」


 握りしめた両手を震わせる中学2年生魔法少女。やはり裸足だ。でも夜中に騒がれてもな。


「ここに座って」

「はい」


 ベッドの端に座らせようとしたら、ベッドの上にこちらの方を向いて女座りになり、魔法少女マチルダの股間を覗きこんだ。


「最初から説明すると......」

「検査します」


 入鹿コロネはマチルダの話を全く聞かずに両足首をつかんで左右に広げ、そして右足首を左膝で押さえ込んだ。


「じっとして下さいね」

 魔法少女小学6年生の狭い入り口に、同じく魔法少女中学2年生が右手人差し指と中指をめり込ませた。

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