センパーイ、迎えにきましたよー

 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン


「一体、何事?」


  いつもなら大音量で鳴る目覚ましに起こされるのだが、今日は大量のピンポンの音で起きた。


 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン


 収まる気がないのでとりあえず玄関に出てみることにした。


 ガチャ


「あっ、やっと出た。おはようございますセンパイ。って、わぁすごい寝癖ですねー」

「そりゃあ今起きたばっかりですからね」


 ピンポンピンポン連打していた人物は七瀬だった。

 格好は白黒デザインのブレザーにピンク色のベストに白シャツ。下は赤色のチェック柄のスカート。

 今日は学校に行く日なので別に制服姿なのは問題ない。


「なんで七瀬がいるんだ?」

「決まってるじゃないですか。一緒に学校に行くためですよ?」

「いや、俺が言いたいのはそうじゃなくて」

「?」

「なんでお前が俺の家を知ってるのかということだ」


 ここは一人暮らしのアパート。俺は七瀬に一人暮らしをしていると言ったこともないし、住所も教えたこともない。


「それは……センパイのことならなんでもお見通しですから♪」

「今の間はなんだ!? 一瞬目を背けたのはなんでだ!?」

「そんな焦るってことは……。センパイは私が家に来るとマズイことでもあるんですか?他の女の子とかあげたりしてませんよね? もしかして今、居るんですか? 入れてくださいよ?」


 相変わらず早口言葉がお上手な七瀬さん。


「落ち着け七瀬」

「落ち着いてられませんよ。センパイに私以外の他の女の子が…許せない」


 どんどん被害妄想が拡大していくなー。とりあえず頭を撫でて宥めてみる。


「センパイ頭撫でないでください。せっかくセットした髪が崩れちゃいます」

「心配すんな。俺はどんな七瀬でも可愛いと思ってるから」

「わ、私だってどんなセンパイでも格好良いと思ってますよ……って、話逸らさないでください!」


 頬をプクリと膨らませた七瀬もまた可愛い。


「要するに俺が言いたいのは、一人で来たら危ないってことだ」

「えっ?」

「七瀬は超絶美少女だから襲われる可能性だってあるんだぞ?」

「センパイ……。じゃあ今度遊びに来てもいいんですか?」

「遊びに来るのは構わんが、一人ではダメだ。俺が迎えに行くから一緒に行こう」

「センパイイケメン過ぎます……。大好きです♪」

 

 嬉しいそうに抱きついてきた七瀬。


 今日も微妙ヤンデレの七瀬は可愛いのであった。



 ちなみに何故、七瀬が住所を知っていたかというと、とある日の帰りに律の後をつけていたからである。

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