【完結】微ヤンデレ後輩彼女、七瀬ちゃんっ!

悠/陽波ゆうい

俺の後輩彼女は微ヤンデレ

「なあ七瀬。そろそろ離れてくれないか?」

「嫌です。離れたらセンパイが他の女の子のところに行っちゃいます」


 放課後の教室。生徒が帰って誰もいないこの場所で俺、篠宮律しのみやりつは今、一つ年下の後輩である橘七瀬たちばなななせに抱きつかれて身動きが取れない状況にある。

 

 七瀬の容姿は薄紫色のサイドテールにピンク色の瞳。絹のように白い肌に抜群のプロポーション。容姿端麗、成績優秀、明るく人懐っこい学園で一二を争うほどの美少女である。


 そんな七瀬は俺の彼女である。


 出会いは……ってこんな悠長に考えている場合ではないな。抱きしめる力がどんどん強くなってる……。


「なんでそんな怒ってるの?」

「それはセンパイが」

「俺が?」

「他の女の子と話していたからです」


 うーん、あれは先生なのだが?


「ちなみにどうしたら許してくれる?」

「………ぎゅってしてくれたら許します」


 つまり抱きしめろということか。


「はい。ぎゅー」

「足りないです」

「ん? 抱きしめる力がか?」

「愛が」

「愛ねぇー…」


 愛とはなんだ? とりあえず大好きって気持ちを伝えればいいのか?


「大好きだよ七瀬」

「センパイ……私も大好きですっ♪」


 こうして平穏が守られた。

 


【ヤンデレ】

 病んでいるデレの略。

 相手への好意が強く高まり過ぎた結果、病的に一途となり、さらには関係が壊れることを恐れるあまり病んだような精神状態になってしまうこと。もしくはそうした精神状態を指す。


 それに比べて【微ヤンデレ】というのはヤンデレ要素があるとはいえ、いわば過保護に近いものだと俺は思う。


「にふふ〜♪センパイ〜♪」


 何故こんな説明したのか。それは俺の彼女、橘七瀬が微ヤンデレであるからだ。





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