第9話 電話と友達、もう遠慮しない

 ―謝るんだ、樹神君にちゃんと、謝るんだ……そしてそのあといっぱいお話しするんだ……えへへ、なんか謝罪の電話なのに、楽しみ。樹神君と、お話できる……それだけで楽しみだ、今日、避けちゃっててお話できなかったし……えへへ、楽しみだ、こんな状況にドキドキ、ワクワクしてる。


 ―なるだけ明るく話したいな、樹神君とは。ガチガチの謝罪じゃなくて、その……友達だから、私たち。そう言ってくれたから……だから明るく、楽しく……いっぱいお話したい。だから樹神君に、電話、かけて……


「もしもし、斉川さん? どうかした?」

 電話をかけてワンコール、すぐに樹神君が電話に出てくれる。

 昨日聞いた通りの優しくて、頼りになりそうで嬉しいそんな声。


「あうぅぅ……こ、樹神君ですか? あ、あうぅぅ……」

 でもその声は今の私には怖くて、ふわってなって。

 樹神君との約束破ってそれで樹神君怒ってて、それで私なんか……私なんか……


「ん? 斉川さん? 斉川さん?」


「ごめんなさい、ごめんなさい! ごめんなさい、樹神君……!」

 頭が真っ白になって、何も考えられなくて。

 わかんないまま、私はとにかく今伝えなきゃいけない言葉を口からこぼした。




 ☆


「ごめんなさい、樹神君、その、えっと……ご、ごめんなさい! ごめんなさい、樹神君、本当にごめんなさい!!! ごめんなさい、ごめんなさい……!」


「ちょ、斉川さん!? どうしたの斉川さん!?」

 初めて斉川さんからかかってきた電話に少しドキドキしながらスマホを耳に当てると、聞こえてくるのは悲痛な謝罪の声で……ちょいちょいちょいちょい、斉川さん!? 一体全体何の話!?


「ごめんなさい、樹神君、ごめんなさい……私の事嫌いになったかもしれない、けど、友達とかもう思ってないかもだけど……でも私は、、、ごめんなさい、樹神君、ごめんなさい! 許してもらおうとか思ってないけど、でも……でもでもでもぉ……」


「斉川さん! 斉川さん!? あの、僕嫌いとかそんな事何にも……怖い夢でも見たのかな? 大丈夫だよ、僕と斉川さんは友達だし、それに嫌いとか許すとかそう言うの何もないよ? 大丈夫、もう優しい現実だよ? 怖い夢は終わったよ?」


「ごめんなさい、私まだ樹神君と……まだ樹神君と話したいこと、たくさんある、それに初めて……だから何でもする、私にできることでも出来ないことでもなんでもするから、だから……また、私の事、友達って……でも、無理でも、私と……」


「おーい、斉川さん話聞いてる? 僕の話聞いてますか? 大丈夫よ、僕はどこにも行かないよ。ずっと斉川さんの友達だよ、安心して斉川さん! ほーら深呼吸深呼吸! 元気になるよ、すーはーすーはー」

 なんか錯乱してるというか、焦って周りが見えていないというか、そんな風に泣きそうな悲しい声で僕に訴えかけてくる斉川さんを落ち着かせるために、少しのんびりゆっくり話しかける。


 斉川さんを嫌いになるような事とかそんなの無かったと思うし、許すとか全く分かんないし。だから大丈夫だよ、安心して斉川さん。そんな怖い夢、もう覚めたよ。ここからは楽しい現実だよ。


「ごめんなさい、ごめんなさ……すーはーすーはー……そのえっと、あのごめ……」


「待って言わないで。しっかり僕の話聞いて、一人で突っ張らないで。もう斉川さんは一人じゃないよ、友達の僕がいる。だから、僕の話聞いてほしい」


「……ふぇ……はい、聞くます」

 僕の言う通りに深呼吸して、そのままあわあわ申し訳なさそうに話し出そうとした斉川さんを声で制す。

 このまま行ったらまたさっきとおんなじだ、今度は僕が話さないと!

 こんな面白くない話じゃなくて、もっと楽しい話をしないと!


「あのね、斉川さん。斉川さんに何があったか僕にはわかんないけど、でも僕は斉川さんの事嫌いとか、友達じゃないとか、許す許さないとか……そんな事、何も思ってないよ。それに斉川さんにそんな事された覚えもない」


「……で、でも、私……」


「でもじゃないよ。僕はそんなこと思ってないし、斉川さんもそんなことしてない。斉川さんは話してて楽しいし、趣味も会う、そんな楽しい友達だと思ってるよ」


「……で、でも私……そ、その約束、破った。それに無視、した……樹神君との約束破って、それが後ろめたくて、〆られるの怖くて樹神君に話しかけられても無視して……最低な事した。私樹神君を……友達を裏切って、厚意を無駄にする最低なことした。私、最低だよ……最低で友達なんて……ごめんなさい、本当に」


「ん……ああ、お昼ご飯の事? 別に気にしてないよ、そんな事。それに無視されたかも全然気にしてない。工藤さんたちとも友達になりたかったんだよね? 全然気にしてないよ、最低とかも思ってない! 話しかけてすごい! って思ってるよ! 勇気出したんだよね、斉川さん! 謝らなくていい、むしろ誇ったらいいこと! もっと自信もちなよ!」

 お昼ご飯の約束はただの斉川さん主導の軽い口約束だったし。

 それに無視されたってのも緊張してただけだと思うし全然気にしてないよ! 


 むしろ斉川さんに友達が出来て良かった、仲良くなれたみたいで良かった!

 人づきあい苦手で怖いって言ってたのに凄いよ、斉川さん! 斉川さんは頑張ってるよ、謝らなくていいよ!


「……そうは言っても、でも樹神君との約束破っちゃったし、無視、したし、そ、それに……私があの二人に話しかけたのそんなキレイな理由じゃないし。私が真夏ちゃんと工藤さんに話しかけたのは、その……怖かったから。樹神君に話しかけて、色々邪魔して、それで……怖くて逃げちゃって、でも一人は嫌で……だから私はすごくない、全然勇気もない……ただの臆病で弱くて、自分勝手で、それで……そんなバカな人間だよ。私は誇っちゃダメだよ……」

 でも返ってきた斉川さんの声は弱弱しく、辛そうな声で。

 自分を責めるようにぽつぽつと悲しい声を電話口から漏らして……邪魔? 何が?


「……樹神君と、工藤さんの事……ラブラブな二人を私は邪魔できないから。樹神君は私に気を遣って付き合ってない、って言ってたけど、でもラブラブで、やっぱり仲良しいちゃいちゃカップルさんで……私がそれを邪魔して二人の関係に溝が出来て〆られたりするの怖いから。だから樹神君を無視して、お弁当の約束を破って……ごめんなさい、樹神君……本当にごめんなさい」


「……斉川さん、それ本当に勘違いだよ。何度も言うけど、僕と工藤さん、付き合ってないよ!」


「……気を遣わなくてもいいよ、樹神君。私はその、別に……でもやっぱり寂しかった。昨日樹神君と話していっぱい楽しくて嬉しくて……初めての友達で舞い上がってて、だから一人は寂しかった……それで約束破ったのに、一人は嫌だから真夏ちゃんたちと……本当に自分勝手だよね。本当に、バカだよね、私……ダメダメだよね、私……」

 消えそうな声で、ゆらゆらと揺れる声で。

 風前の灯火のように震える言葉は少し触れれば壊れそうで……そんなに自分を責めないでよ!


「斉川さんはダメじゃない、ダメな人間なんかじゃないって! 斉川さんは凄いし、えらいし、それに優しい人だよ! 勘違いって言っても僕の心配してくれたんでしょ? 人の心配できるの凄いよ、すごく優しい人しかできないことだよ! だからそんな自分を責めちゃダメ! 斉川さんはその優しさを自分にも分けてあげて。そんな自分に厳しくしなくていいよ!」


「で、でもぉ……私は樹神君を裏切って、無下にして……だから優しくない……樹神君の事、私……」


「裏切ってないよ、大丈夫だって、心配しすぎだよ斉川さん! 僕は気にしてないし、だから斉川さんも気にしないで! むしろ斉川さんと深い友達関係になれたみたいでちょっと嬉しいし! 友達ならちょっとくらい約束くらい破ることもあるよ、心配しないで……やっぱり優しいよ、斉川さんは。心配性は優しさの裏返しみたいなもんだからね! 優しくていい人だよ、斉川さんは」

 人の心配するのも、色々考えすぎて傷つけたりするのが怖くて逃げちゃうのも根底にあるのは人への優しさだと思うから。

 だから斉川さんはすごく優しい人だ、昨日話してた時のオーラだけでもわかった!


「……私優しくなんかない。自分勝手で泣き虫で一人が好きでコミュ障で面白くなくて楽しくなくて……優しいなんて言われたことないよ」


「それじゃあみんなが気づいてなかっただけだよ! 斉川さんは優しいしそれに面白い! 斉川さんといると僕は自然に笑顔になるし! だからもっと自分に自信もって、そんな感じじゃダメだぞ! 友達がそんな感じだと、心配になっちゃうからさ! だからもっと笑顔で楽しく、ね?」

 斉川さんは一緒に居るとポカポカするって言うか、凄い楽しいというか。

 だからいつも笑顔でいて欲しい、みんながポカポカできるそんな笑顔でいて欲しい!


「……優しいのは樹神君の方だよ。こんなに私を励ましてくれて、いっぱい話してくれて、私を優しいとか褒めてくれて……こんな私を友達、って言ってくれて。こんなの初めて、私言われたことなくて、嬉しくて……だから私なんかより、樹神君の方がよっぽど……私は樹神君の足元にも、樹神君と友達なんて……今もこんな状況でも楽しくて嬉しいけど、でも……」


「そんな事考えなくていいよ、斉川さん。人と比べなくていいの、そんなことしなくていいよ! だからダウナー思考ダメ、もっと楽しいこと考えよう! ほら、好きなマンガとかお馬さんとか! そう言う楽しいこともっと話そうよ、せっかくの電話なんだから! ね、そう言う事話そ、そっちの方が斉川さんも楽しいでしょ?」


「……ごめんね、樹神君本当に……ごめんなさい、ごめんなさい……」


「もう、謝らないでよ斉川さん。斉川さんとは楽しくいたいんだ⋯⋯楽しくアニメの話したりマンガの話したり……そんな話、ずっとしていたい」

 斉川さんじゃないと話せない話もあるし!

 だから友達でいたい……それ以上でも。


 僕の言葉に、電話の向こうからふわっという息が洩れる。

 さっきまでの切羽詰まった焦った息じゃなくて、落ち着いた少しピンクの息で。

「……もう、そんな……私、樹神君の事……ね、ねえ樹神君、本当に私と友達でいてくれる? 私の事、また友達って言ってくれる?」


「もちろん! むしろいさせて、斉川さんと友達で……ていうか僕はずっと斉川さんの事友達って言ってたよ?」


「あうっ、そ、そうだけど……でも私は……私友達いなくてコミュ障で人避けちゃってて……面白くないし可愛くないし、すぐにてんぱる陰キャだよ? 今日みたいに約束破ったり樹神君の事困らせたり……そう言う事、いっぱいあると思うよ? 二人の仲の……邪魔、しちゃうかもしれないよ?」


「もう、全部逆! 斉川さんはコミュ障じゃないし面白いし可愛い! もっと自分の事自信もっていいよ、斉川さんは魅力的だから! 本当に面白いし、可愛いし……あ、そうだ、髪とか切ってみたら! 今の長い髪も似合ってるけど、でも僕的にはもっとショートの方が良いって言うか……ってごめん、なんか変なこと言ってる! さっきから変なこと言ってる、ごめん忘れて!!! と、取りあえず斉川さんは友達! 絶対友達だから! あと工藤さんとは付き合ってないから!」

 なんかやばいこと言った気がする!

 可愛いとか魅力的とか……なんかすごいこと言った気がする!!!


 ほら、電話越しに慌ててる斉川さんの息遣いが聞こえるよ、ごめんね斉川さんそれも……ってストップ!

「あ、え、こ、こだ……あ、えええええっととも、だち! 私と樹神君、友達! 友達、だよね? 工藤さんとも、その……何も、ないんだよね? 友達、何だよね?」


「うううん! 友達! めっちゃ友達! 約束破ったとか無視とか関係ない! 友達、めっちゃ友達! 工藤さんとも友達! もう遠慮とかそう言うの良い! 友達だから!」


「……ともだち、友達……と、友達!!! 友達、友達! 樹神君と私、友達……えへへ、樹神君と、ちゃんと友達、遠慮なし……にへへ」


「うん、友達! だから友達、よろしくね斉川さん! 改めて、もう一度よろしく!」


「う、うん、よろしく、私も、もう一度……ごめんね、樹神君、私の勘違いで……そ、そのこれからは……もう遠慮しない。これからはもっと、樹神君といっぱい……今も、話したい。学校で無視しちゃった分⋯⋯今、話したい」


「……うん、僕も!」

 ゆらゆらと揺れて、でもさっきより嬉しそうな黄色い声の斉川さんに僕はそう答えた。



「えへへ……ごめんね、樹神君……ずっと楽しかったのに、謝ってる時も……でもずっと嘘、ついてた。遠慮、してた⋯⋯だから今、いっぱい話したい、樹神君と好きなこと」


「そっかそっか。でもいいよ、もう遠慮しないで。僕と工藤さん何もないから、もう遠慮しないで!」


「うん、わかった……もう絶対遠慮しない。樹神君とずっと……楽しくお話、したいから、だから……私、頑張る……頑張って、樹神君と……えへへ、頑張る」



 ☆


「あ、あの……お、おはよ、樹神君……おはよう、ございます……えへへ」

 次の日、いつも通り自転車で登校して下駄箱に向かっていると背中の方から声が聞こえる。昨日いっぱい、電話越しに聞いた声。


「うん、おはよ斉川さん……!?」


「お、おはよ樹神君……えへへ、そ、その……ど、どうかな?」

 色々誤解がとけてもう一度ちゃんと友達になったその声に振り返るとそこにいたのはやっぱり斉川さん……でもその印象は昨日までとは全然違って。


「……な、何か言ってよ……や、やっぱりその⋯⋯長い方が、良かったよね? そのこんな髪型私には……」


「……え、あ、ち、違う! そ、その……ちょっとびっくりしたから! えっと、あの……全然印象違くてびっくりしただけだから!!! めっちゃ似合ってる! めっちゃ似合ってるよ、斉川さん!!!」

 昨日まで長かった髪をバッサリと短く切ってふんわりショートヘアになったことで隠れていた顔がすべてあらわになっていて。


 くりくり大きな少し不安そうな瞳も、少し赤く染まった純白のほっぺも、すーっと通った鼻筋も小さく手可愛い耳も……昨日まで意識しないと見えなかったところが全部全部あらわになっていて。

 短い髪がそのキレイな顔立ちをさらに強くアシストしていて。


「……え、あ、そ、そう? ほ、本当に似合ってる?」


「う、うんめっちゃ似合ってる! そのえっと……す、すごく似合ってる! 前より断然良い感じ!!! すごく可愛くなってる!!!」


「似合ってる、可愛い……えへへ、良かった……良かった、樹神君にそう言ってもらえて……えへへ、嬉しいな、私樹神君に、喜んで……えへへ」

 ……めっちゃ可愛い!!!

 イメージ変わりすぎだよ、可愛くなりすぎだよ斉川さん!


 ショートになったことで顔とか見えなかった部分がしっかり見えるようになって、その眩しい天使の笑顔もしっかりはっきり見えるようになって、しかも髪型めっちゃ似合ってて……あー、やばいやばい可愛すぎます!!!


 斉川さん、その……やっぱりずるいよ斉川さん! なんかしかもリクエスト聞いてもらったみたいで……ああ、やばい! やばい!!!


「うふふふっ、樹神君の言ってくれた通りにしてよかった、喜んでもらえて……えへへ、これで自信もって、私と樹神君と話せる、かも。樹神君がそう言ってくれるなら……いっぱい自信もって、話せるかも」


「ううううん! いっぱい話して、話しましょう! そ、その斉川さん、あの……」


「おーい、佑司君おっはよー! 今日もいい天気だね……ってだれ、その子? 誰この可愛い子?」

 僕の言葉を遮るように工藤さんが大きな声であいさつしてくる。

 ちょっといい雰囲気……いや、一息付けて良かった!


「あ、おはよ工藤さん。斉川さんだよ」


「私がいるのに……って斉川さん!? え、斉川さん!?」

 ぷくーっとほっぺを膨らませていた工藤さんが僕の言葉を聞いて思わず斉川さんの方を二度見。そうだよね、びっくりするよね……でも斉川さん本人だよ!


「えへへ、おはようです、工藤さん……そ、そのに、にあって、ますか?」

 工藤さんの反応にぽりぽり嬉しそうにほっぺをかきながら斉川さんがそう聞く。

 目を飛び出さんばかりにビックリしていた工藤さんがその声でハッと戻ってきて。


「う、うん! び、びっくりした……全然、印象違うから! め、めっちゃ似合ってる! すごく可愛くなってる……なんか昔の……」


「えへへ、ありがと、工藤さん……やっぱり樹神君の言うとおりにしてよかった。樹神君がショートが似合う、って言ってくれたから……」


「……私見てる……ってええ? 佑司君……佑司君!? 何それ聞いてない聞いてない!!! 佑司君、私! 私、私!!!」

 何かをぼそぼそと呟いていた工藤さんが斉川さんの声を聞いて僕に掴みかかる様に喰いついてくる。


「あ、いや、その……工藤さんは今のままでいいと思うよ?」


「違う、そう言う事じゃない! 佑司君は私と、だから私だけ、私が一番、私と一緒に……って何!? 何、斉川さん!?」

 喚くように僕に話しかける工藤さんのスカートをちゅいっと握った斉川さんが、僕の方を見上げる。

 その目はいつもと違って自信ありげで、いきいきとしていて。


「……私、もう遠慮しない。私も、樹神君と友達、だから……だから遠慮しない。樹神君、今日も、その……いっぱい、お話、しようね?」


「むきゅーーーー!!! ダメダメ、佑司君、佑司君は私と話すの、私と一緒なの! ほら、教室行くよ、一緒に二人で教室行くよ!!!」


「……私も一緒に行く。私も、樹神君と友達、だもん……遠慮しないもん、一緒に、行くんだもん……ぎゅっ」


「ダメダメ斉川さん!!! 佑司君は私が……!」


「ダメじゃ、ないもん……私だって、樹神君と友達、だから。だから、その……私も一緒が良い。樹神君と一緒にいっぱい好きなことお話して……いいよね、樹神君?」


「ダメダメ! 私と一緒だよね、私と一緒だよね! 私とお話しするんだよね、私とだけだよね!!!」


「……あはは、どっちも一緒でいいんじゃないかな……アハハ」

 

 僕の腕を取って寂しいワンちゃんみたいに色々叫ぶ工藤さんと、少し自信ありげな表情で僕の制服の裾をぎゅっと握る可愛くなった斉川さん……ボクノコウコウセイカツスゴクタノシクナリソウダナー!!!



「佑司君、私! 私と一緒!!!」


「……えへへ、樹神君……またお話、一緒に……」



 ★★★

 長いです。

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