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1回戦 対杣山そまやま高校戦オーダー



酒井(PR 3)

古龍(HO 2)

鷲川(PR 2)

須野田(LO 2)

小川(LO 2)

甲(FL 3)

西木(FL 1)

芹川(NO8 3)

テイラー(SH 1)

相模(SO 1)

鶴(CTB 3)

林(WTB 3)

原院(WTB 2) 

瀬上(CTB 2)

宝田(FB 3)



「ちょっとなめすぎじゃない。誰だよ相模って」

 蔭原が不満を述べる。

「いたかなあ」

 その横で小茂田は首をかしげていた。

「それに俺健吾ファンなんだけど。またテイラー君じゃん」

「怪我かなあ」

 総合先端未来創世高校の先発は、これまでになかった組み合わせだった。注目の一年生コンビ、カルアと金田は外されている。それは敗北した2チームの主将には、予想できないものだった。

「もしかしたら、東博多に勝つつもりの作戦かもしれん」

「えっ」

「手札を隠すために」

「はー。そんな余裕あるのかね?」

 試合が始まる。杣山高校のキックを、西木がキャッチした。そこから相模へとパスが渡る。

「かったいなあ」

「ど緊張やん」

 相模は周りをきょろきょろと見て、パスが出せずにいた。かと言って走るでもなく、立ち尽くしてしまった。

「相模!」

 センターの鶴が声を出す。はっとしたように、相模はそちらにパスを出した。なんとかボールがつながる。

「大丈夫なのか。うちらを倒しといてここで負けるなよー」

 蔭原が頭を抱えていた。



 東博多に勝つにはどうしたらいいか。

 鹿沢はまじめに考えたが、答えは見つからなかった。勝ち目はまったくないように思えた。

 ただ、最善は尽くしたい。

 まず、体調不良ではいけない。怪我あけの松上、荒山、星野は休ませたかった。また、前回の練習試合で見せていない金田というカードは隠しておきたかった。もちろん相手が地区予選まで調べていれば、完全に隠すことはできない。だが、直接見なければわからないすごさというものもある。

 リスクもあった。なにより、負けてしまっては意味がない。荒山たちに全国大会を経験させてやれないことにもないる。だが、メンバーを替えたからと言って格下に負けてしまうようなチームではない、と鹿沢は信じていた。

 とはいえ、そもそもその考えは自分たちにも当てはまる。東博多が控えメンバーを出してきたとしても、総合先端未来創世はきつい。それぐらい力の差はある。

 できるだけみんなをこの地に立たせてやりたい。そういう思いもあった。特に相模や佐藤は、出番が回ってこないことを受け入れているようなところがあった。そんな選手が二年生になったからと言って、急にチームを引っ張れるようにはならない。

 もう少し耐えろ、相模。鹿沢は心の中で応援していた。

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