第1章 一年生歓迎対抗戦

1

レギュラーチーム


監督 宝田(3)


酒井(PR 3)

佐山(HO 3)

鷲川(PR 3)

須野田(LO 2)

小川(LO 2)

甲(FL 3)

芹川(NO8 3)

星野(SH 2)

二宮(SO 2)

鶴(CTB 3)

瀬上(CTB 3)

林(WTB 3)

能代(FB 2)



新人チーム


監督 荒山(3)


近堂(PR 3)

相田(PR 1)

古龍(HO 2)

杉畑(LO 1)

村上(FL 2)

西木(FL 1)

児玉(NO8 2)

テイラー(SH 1)

相模(SO 1)

佐藤(CTB 1)

原(WTB 2)

金田(WTB 1) 

犬伏(FB 1)



「おっ、間に合ったな」

 駆け寄ってくる青年を観ながら、荒山は笑った。

「よかった!」

 大きな声を出したのは西木だった。青年に向かって手を振る。

「ごめんなさい! 来るか迷ってて」

 背の低い、童顔の青年だった。ただ、荒山の視線は太ももから下へと向かっていた。

「君が犬伏君か」

「はい、犬伏カルアです」

「カルア。珍しいな」

「よく言われます」

「経験者と聞いてるけど。ポジションは?」

「スタンドオフが多いですけど、後ろなら、どこでもやります」

「そうか。今日はフルバックでいい?」

「えっ、あ、はい」

 荒山の前には、12人のラグビー部員がいた。カルアが来て、13人になった。

「まあ、相手はレギュラーチーム。絶対に勝てないんだけど、一泡吹かせてやりたいよね?」

 荒山は、ニヤリと笑った。

 ここにいるのは、1年生全員と、控えを中心とした先輩たちだった。グラウンドの反対側には、レギュラーたちが集まっている。

 今から、毎年恒例「新入生歓迎ゲーム」がおこなわれる。キャプテンが新人中心のチームを率いて、レギュラーチームとぶつかる。仲間の強さを知るとともに、ラグビーの奥深さを学ぼうというものである。

 ラグビーの試合は普通1チーム15人だが、現状部員が28人しかおらず、1人怪我で出場できない。そのため試合は、13人制で行われることとなった。

 1年生は7人。ラグビー未経験での入部が3人いた。佐藤はアメフトと間違えて入ってきたし、根田はスポーツ未経験である。3人はルールもまだわからない点が多く、普通に考えればレギュラーチームと勝負になるはずがない。

 だが、そんなチームをどう率いるか、というのがキャプテンの腕の見せ所である。いつもベストメンバーが組めるとは限らない。控えメンバーをどのように生かすか、このイベントはそれを学ぶ場でもあるのだ。

「キャプテン、点を取るだけなら、いけますよ」

 胸を張ってそう言ったのは、1年生の金田だった。新入生唯一の推薦入学で、天才的なウイングと言われている。

「頼もしい。じゃあいっちょ、やったるか」

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