第15話
ゴブリンの襲撃から数日が経過した。
その後、街に被害もない。
私は、特別戦功とかで、金一封を貰った。
要らないんだけどな。
それと、本業を再開したい。
鷲に、肉の餌を与えた。こいつを手放すのは惜しい。大きめの鳥籠というか、納屋を改造して、飼っている。でも……、街周辺の地図を描けたら開放してやろうとも思っている。
そして、何時もの朝のルーチンを開始する。
でも、シーナさんは、掃除をしていた。
「買い出しには、行かないのですか?」
「まだ市場に食料は少ないんだよ? まあ、明日行ってみるよ」
そんなもんなのかな?
「今日も休みでいいですか?」
「それしかないだろう?」
まあ、資金はある筈だ。数日の休業は問題にならないと思う。
だけど、冒険者はなにを食べるんだ?
思案の結果、私は冒険者ギルドに行く事にした。
◇
ギルドは、ゴブリン退治の依頼がなくなっていた。
私を信用し過ぎだと思うんだけど、ここはあえて言わない。
ギルド長に、鳥をテイムした探索方法の詳細を記載した漫画を渡した。
「迎撃後の対応になります。良かったら使ってください」
ギルド長は、喜んでくれた。
「それで、ジャンヌさんを今日は見かけていないのですが……」
「ジャンヌか……。本来の仕事に戻ったよ?」
「本来?」
「ドラゴン退治さ。それで、A級冒険者を目指すんだそうだ」
……ドラゴン? あのドラゴン? 幻想の生物?
◇
ジャンヌさんは、ウォータードラゴン退治を目指しているんだそうだ。
かなり危険な魔物だけど、十分な調査と準備をしているらしい。
それを再開したのだとか。
あと、ドラゴンに助力を求めるゴブリンがいる可能性があるのだとか。
この辺は、わからないな。
「なんで、ドラゴンがゴブリンを助けるんだ?」
その後、スクロールという物を見せて貰った。冒険者が使っていた魔法の道具だ。
スキルなり、魔法なりが封印されているらしい。魔方陣が描かれている紙が近い表現かな。
即座に発動出来る魔法……、戦闘では生死を分けると思った。
それを写し取っていると、日暮れとなった。
ここで、ジャンヌさんが戻って来た。
視線が合う……。
「ドラゴン退治は、どうでしたか?」
「……近づけもしないさ。少なくとも沼地から引っ張り出さないとね。今は観察を行っている段階だね」
まだ、調査段階なんだな。
「引っ張り出すアイディアは、ありますか?」
驚くジャンヌさん。
「……採算度外視なら、方法もないんだけど」
ほう?
「魔法のスクロールで、沼を凍らせれば、出てくるらしいけど、沼が大きすぎてね。現実的じゃない」
スクロール……。スクロールか。
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