第25話 エピローグ

 それから僕は、例の水族館へ潜り込み、怪しい所を全て探った。

 電波障害に阻まれるも、すぐに妨害システムを破壊。

 数人に頼み込んで得られた協力者との連携の末、大水槽に潜伏していた構成員を発見。気づかれないように彼らを捕縛し、情報を聞き出す。

 昼前に行われる抽選会の当選商品にブツを仕込んだとの情報を手に入れ、その会場にて待機。

 僕も客として抽選に参加したが外れた。三十人ほどいるギャラリーの中から二人が当選した。

 即座にその二人をマークし、尾行すると、当選者に不審に話しかける人物を発見。

 カメラの扱い方、体格、そして右足首に隠してあった拳銃から、その男が取引相手だと言うことを断定した。

 一人目に話しかけたが、目的のブツではなかったようだ。二人目の元へ向かう前に、僕は先回りしてブツを確保する。

 それを見つけた男は、開き直って拳銃を発砲。

 周囲に待機していた協力者が男を取り押さえ、取り引きの阻止に成功したのだ。





 さらに二か月後。

 全世界で隕石の報道がされた。

 結局、親父が危惧していた隕石は、後の研究で確実に地球に当たることが判明したのだ。

 予定通り、国の科学力を以て隕石の軌道を反らすことに成功し、一時は危ぶまれていたアジア消滅は免れたのだった。

 僕と親父はその後も、互いをよく知る一番の理解者として、最高のパートナーとしてこの世の平和を維持した。


 あの時、僕の口から出た愚父への本音から、随分と遠くまで来たものだ。

 そういうふうに思い返してしまうことが、たまにある。




 だがそれでよかったのだろうか。


 隕石より父親よりもっと大事なものを、ずっと昔に失ったような気がした。

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