1.幼なじみ5人

そろそろ出ないと間に合わないなぁ。私はそう思いながら玄関に向かう。

「おばあちゃん、みんなと遊んでくるね」

居間にいるおばあちゃんに大きな声で声をかける。

「気を付けていくんだよ。舞ちゃん」

おばあちゃんは居間からゆっくり廊下に出てきて私に声をかけてくれた。

「うん、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

玄関を開けて外に出る。

待ち合わせ場所は私たちのいつもの場所。

村のみんなから『おおばあちゃん』と言われていたおばあさんの家の近くにあった道祖神の前。

私たちはこの『おおばあちゃん』が大好きだった。だから遊びに行ってはいろんな話を聞きに行ったり、いろんな遊びをおしえてもらったり、お菓子をもらったりといろいろかわいがってもらった。

でもその『おおばあちゃん』も私たちが小学5年生の時に亡くなってしまった。

今日は春から中学生になる私たちのちょっとした『肝試し』の為に5人で集まることにしたのだ。それも『おおばあちゃん』に聞いた話を確かめに行くために…。

「まあ、あんまり気が乗らないんだけど…」

つい独り言をつぶやいた。

どうせこの道にはあまり人は通らないから気にならない。

「舞ちゃん」

いきなり声をかけられてビクッとしてしまった。

「舞ちゃんごめん、そんなに驚くとは思わなかった」

夏南は私に申し訳なさそうに言った。

「いやごめん私も考え事しながら歩いてたから全然夏南がいたなんて思わなくて」

「舞ちゃんと一緒に行こうと思ってここで待ってたんだ」

夏南が待っていたのは私の家からちょっと離れた曲がり角。

「待っててくれたの?」

「うん、家まで行こうかなって思ったんだけどなんかここがいいなって思っちゃって。でもそんなに待ってないよ」

夏南はいたずっらっぽい笑顔を向けてくれた。

私はなんだか嬉しくなった。

「じゃあ、一緒に行こう」

「うん」

私たちは一緒に歩き出した。といってもあと2、3分歩けば待ち合わせ場所なのだが。

「舞ちゃんもやっぱり乗り気じゃないんだね」

夏南は私に言った。

「まあね、おおばあちゃんの話だからほんとかどうかわからないじゃない?それに…ちょっと恐いし…」

私は俯きながらそう答えると夏南は

「私もあまり行きたくないんでよね。『おまじないの話』とかはいいんだけど『あの話』はちょっとね。でも百合花ちゃんと美紅ちゃんは確かめたいみたいだし、文ちゃんも興味あったみたいだから行きたくないって言えなかった」

「わかるその気持ち!!」

「やっぱりそうだよね。よかった私だけかと思った」

「『あの話』は聞いてからしばらく1人でトイレに行けなかったんだ」

「私、夜寝るときしばらくお母さんと寝てたよ」

私たちは顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。

いろんな話をしながら歩いていると待ち合わせ場所に着いた。

「舞歌と夏南は来たね。あとは百合花だけか」

待っていたのは美紅と文乃だった。

「美紅ちゃんと文ちゃん早いね」

夏南がそういうと文乃が答える

「うちで本読んでたら美紅が呼びに来て一緒に来た」

それを聞いていた美紅が

「だって文ってば本読んでて時間を忘れること多いでしょだから迎えに行ったの」

ぷりぷり怒りながら言った。

「つい夢中になってしまって。いつも迎えに来てくれてありがとう」

美紅はその言葉にちょっと顔を赤くしながら小さく「べつに…」と答えていた。

そんな様子に私たちは笑ってしまった。

「ごめんね~待った」

大きな声で私達に手を降っている百合花はのんびりと歩いてきた。

これでいつも幼なじみ5人全員が揃ったのだ。














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