2.ちょっと昔

私たち5人は小さいときからの幼なじみとして育った。

この地区にいるのはこの5人だけ。

ほどほどな大きさの村の中に保育園と小学校と中学校は1つずつある。

だから私たちはずーっと一緒。

おしゃれ好きで話し好きな百合花。

しっかり者でスポーツが得意な美紅。

マイペースで読書好きな文乃。

みんなにやさしく植物が好きな夏南。

料理が好きでおばあちゃん子な舞歌。

みんな好きなことは違うが近所に住んでいるから自然と小さいときから5人で遊ぶことが多かった。

そんな幼なじみ5人はちょっと坂道の途中に住んでいた。おおばあちゃんが好きだった。5人の親たちや近所のおじさんやおばさんもおおばあちゃんのお世話になった人が多い。なのでおおばあちゃんは地区の人たちには頼りにされていたし尊敬されていた。

おおばあちゃんはいろんな人の話に耳を傾けて適切なアドバイスをくれた。昔からの習わしや野菜作りのアドバイス、縁談までいろいろと世話をしてくれた人だ。腰が90度に曲がってきても外でせっせと働いていた人。そんなおおばあちゃんはみんなに好かれていた。おおばあちゃんのうちに遊びに行くときは大人たちも「気を付けていってくるのよ」といって送り出してくれた。

私たちはおおばあちゃんのうちに行くといろんなことを教えてもらった。桑の実をとって食べたりおおばあちゃんの小さいころの遊びを教えてもらったりして遊んだ。もちろんおおばあちゃんのお手伝いをしたこともあった。もちろん私たちができる範囲で。

そして私たちが最も好きだったのがおおばあちゃんのお話。楽しい話や面白い話や泣ける話。いろいろな話をしてくれた。私たちはその話が大好きだった。

みんなで泣いたり、笑ったりした。おおばあちゃんは私たちをいつも笑顔で見ていた。

そんな時いよいよ私たちは小学生になる時が来た。入学式の2日前、おおばあちゃんの家に遊びに行った私たち。

「おおばあちゃん、遊びに来たよ」

玄関で声をかけたのは夏南だった。夏南は特におおばあちゃんが大好きでしょっちゅう遊びに行っていた。

廊下の奥の部屋からおおばあちゃんが出てきた。

「いらっしゃい。みんなよく来たね。さあ、お上がり。ちょうどおやつを作ってたところなんだよ」

「わーい」

「「おじゃまします」」

「わたしてつだうよ」

「わたしもてつだう」

みんな玄関に靴を脱いで家の中にあがる。

「手伝ってくれるのかいありがとう」

おおばあちゃんは笑顔を向けてそう言ってくれた。















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