(7)
「どんな?」
食い気味に柴塚が返した。
それはほんの少しだけだったが、
「いや、本当に関係ないですよ? 最近ネットでちょっと話題になった事件、刑事さんならご存じじゃないかな? アレの話の中で引両紋が引き合いに出されてましてね」
アタリだ。
ツキが来ているらしい。柴塚は何ならこちらからもっと振っていくかと構えていたが、予想外に話がつながってくれている。
「『犯行声明』と噂されている一つですね? 確か、七本線だとか」
「おっ、ご存じですか? そうなんですよ、七つ引きの引両紋らしいんですけれどね、この県では珍しいはずなんですよね。七つ割の二引両ではなく、ですよ? 喰違い七つ引両紋かもしれませんが、それにしたって多くはない。もし喰違いではない七本線だとすると、この県では2つしかないと思うんですよね」
来た。
柴塚の目の色が変わる。
「2つとは?」
「一つは、昔に
「もう一つは?」
「知られていませんが、七つ引きを集落の紋としている土地があるんですよ。K市の海岸沖合にある『
聞き覚えがある。
これまでの捜査の中に『久七島』という言葉が有ったのではなかったか。引っかかる。自分が調べた中に、
【時田尚也の出身地】
脳の片隅からの指摘に、柴塚の目が見開かれた。
そうだ、
つながった。
「まあ、ご存じありませんよね。でもちょっと独特なんですよ。この島では『
また回線が入った加賀の話を聞き流しつつ、頭の整理に入る柴塚。
藤木からのヒントであり小野寺が裏をとった『犯行声明』の『七つ引きの引両紋』。これをネットに流したのは事件の
そして、今、『
久七島が、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます