第18話 襲撃と絶望(モンスター討伐難度説明有)
宵闇の中、ロッド達の野営している盆地に急降下した闇の一族は、静かに馬車の上に降り立った。
そして一瞬だけ闇色に光ると
それは人間のようで人間ではなく、目は赤く充血し、肌は青白く、口には犬歯がそのまま伸びたように長い牙があり、その爪も鋭い。
そしてそれぞれが貴族のように綺羅びやかな装いをしていた。
闇の一族は人間からは
ーー
血液を飲まれた者は
※血だけ飲み使役しないケースもある
精霊に近い身体のため通常の武器では傷つかず、仮にダメージを負ってもあり得ないレベルで自然回復してしまう。
体を一時的に霧状にする事もできるので閉じ込める事も出来ない。
これは
ーー
〈モンスター討伐難度〉
モンスター討伐難度は下記表のようにE〜SSで定義されている。
討伐難度SSは人間ではほぼ勝てない相手となる。
また飛行するモンスターや海中のモンスターは討伐しにくいため実力に比べ討伐難度としては上になる傾向がある。
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討伐難度SS…
例:
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討伐難度S…
例:
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討伐難度A…
例:
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討伐難度B…
例:
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討伐難度C…
例:
----------------------------------------------------
討伐難度D…
例:
----------------------------------------------------
討伐難度E…条件なし
例:
ーーーーー
商隊の護衛冒険者で野営の見張番の男がふと何かの違和感を感じ、上を見ると自分達の荷馬車の屋根に人が立っていた。
顔や服装は暗くて確認出来ない。
男は誰かが悪ふざけでもしているのだろうと、イラついて声を掛ける。
「おい誰だ!馬車の屋根になんか乗りやがって!早く降りろ!」
最後に発言した者が素早く呪文を唱え、発動する。
〚
少し距離がある商隊の馬車の1台に黒色が入り混じった火柱が上がり、燃え上がる。
馬車が燃え上がったことで周囲が騒然となる。
寝ていた者も目を覚まし、何事が起こったのかを確認しようとした。
全員馬車の上から音もなく地上に降り立つ
「ひっ!なっ何だお前ら!」
最初に発見した見張りの男が5人の
「俺もやりたいようにやるぜ!」
よく見ると爪が異様に伸びて長めのナイフほどになっていた。
「ぎゃあああああ〜!あががががあ!」
見張りの男は切断されたところを押さえて絶叫するが、すぐに爪から入った麻痺毒で痙攣し始める。
商隊の護衛冒険者達が見張りの男の絶叫を聞き、集まってくる。
ーーーーー
精霊の扉のバーンはフランと組んで夜間の見張りをしていた。
そろそろ小腹が空いてきたので、夜食としてロッドが差し入れてくれたという物を食べようかと籠から出して手に取る。
プリンとかいうらしいこの食べ物は、中央に何か柔らかそうで弾力を感じる山のような物と、その周りに果物などが添えてあり見た目も良く、凄く美味しそうである。
そっと蓋を開け食べようとするバーン。
ふと視線を感じ、フランを見るとじっとバーンの手にあるプリンを見つめていた。
バーンは何となく危機感を覚え、フランに背を向けてプリンにスプーンを差し込み食べようとした時、異変が起こった。
バーンの耳にドン!と爆発音が聞こえた。
慌てて辺りを見回すと、商隊の野営場所の方が明るくなっている。
何かが燃えている様子だった。
フランと顔を見合わせるバーン。
「襲撃かもしれない。皆を起こせ!」
フランに指示し、バーンは爆発が起こった方角の様子を確認する。
何やらその辺りから絶叫のような叫び声も聞こえてくる。
これは只事ではないと判断したバーンは、全員起きて武装したのを確認した後、まずは護衛対象であるジュリアン達の野営場所に向かう事にした。
ーー
バーンがジュリアン達の野営場所に着くと、既に異変を感じて全員が起きており、ロッドを中心に集まっていた。
皆神妙な面持ちをしている。
「無事か!この盆地が襲撃されているかもしれない」
バーンは全員に襲撃されている可能性がある事を説明する。
ロッドがバーンに頷き答える。
「さっき商隊の野営場所の方で爆発があったようだ。魔法による攻撃かもしれない」
バーンが皆に指示する。
「俺達は状況の確認の為、商隊の野営場所に行ってくる。ロッドとアイリスはここでリーンステアさんと一緒にジュリアン様達の護衛を頼む。念の為、いつでもここを出られるよう馬車の準備をしておいてくれ」
ロッドは了承して頷く。
精霊の扉は全員で襲撃されたと思われる商隊の野営場所に急行する事にした。
ーー
精霊の扉が商隊の護衛の野営場所に着くとそこには地獄のような光景が繰り広げられていた。
馬車は焼かれ、脚や腕を失って倒れている者、腹を切り裂かれ腸が出ている者、重度の火傷を負っている者など商隊の護衛冒険者が皆どこかしら傷つけられた状態でまだ生かされているようであった。
その近くには3人の綺羅びやかなドレスを着た人物が後ろ向きで立っている。
その光景を見たバーンが叫ぶ。
「お前らは誰だ!何をやっている!」
その声に振り向いた者達は青白い顔に赤い目を爛々とさせ、口からは犬歯が伸びたような牙が生えていた。
「バーン!彼らは
精霊の扉のマックスがバーンに叫ぶように教える。
マックスは精霊の扉では一番歳が若くまだ19歳であったが、知識欲は旺盛で勉強熱心であり、冒険者ギルドと魔法師ギルド両方の資料に記載されている魔物は大体記憶していた。
「
「
クラインが絶句し、エスティアが呟く。
彼らも
マックスがパーティーに向け説明する。
「
「おいおい冗談だろ!」
ザイアスが怯えて少し後ずさる。
「くっ!隙を見て撤退してロッド達と合流するぞ。少なくとも俺達だけでは勝てない」
バーンが状況を判断して撤退の命令を下した。
「「「「「了解!」」」」」
バーン達は
そこへ
「うっ!増えたぞ。5体だと!」
クラインが盾を握り締めて呻く。
どうやら
「くっ。まずいぞ!ロッド達が危ない!」
バーンが飛んでいく
脚を斬られている護衛冒険者の女性は、か細い声で泣きながら命乞いをする。
その光景を見て胸糞が悪くなると同時にバーン達は絶望を感じる。
そう言うと嬉々として両手を広げ精霊の扉に飛びかかる
精霊の扉は盆地中央に向け、戦列を撤退気味に下げる。
その中でクラインが
ザイアスは戦斧を振り上げて斬撃を放つ。
〚
ザイアスの放った斬撃は確かに
「やったぞ!」
ところが一瞬後に
「何っ!」
それを見て驚愕するザイアス。
「ザイアス!
マックスが
「キャーッ!」
いつの間にかフランの後ろに回り込んだ
フランは武器を落とし、痛みに目を瞑り歯を食いしばっている。
「フラン!」
エスティアが悲痛な声を上げる。
「くそーっ!」
バーンが半ば自暴自棄になったように
「無駄だよ。さっきのお友達の話しを聞いていなかったのかい?うん。まあいいか。フランとか言ったね、この男を殺すんだ!」
血を吸われた後、項垂れていたフランが
フランは青白い顔をして赤い目を輝かせ口には短い牙が生えていた。
そこにいたのはもう以前のフランではなく、
フランを見て驚愕するバーン。
「
マックスがフランに何が起こったのかを説明する。
「そんな……フラン!」
「フラン!くそおっ!」
「そんな馬鹿な!フラン!」
「…」
エスティアが涙し、バーン、クラインが変わってしまったフランを見て悲痛な叫び声を上げた。ザイアスは声も出ないようであった。
「シャーーッ!」
鋭い爪となった両手を上げ、牙を剥きフランがパーティーに襲い掛かかる。
残されたパーティーメンバーはそれを絶望した瞳で見つめるのであった。
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